実用的な製品の機能評価の手法を検討することを目的として, 包丁の切味試験法を開発した. 日本人は包丁の感覚切味に敏感であり, 切味を機械特性として計測する問題は1つの研究課題であった. 本論文では, 切味の官能検査, 切味の機械的測定, 包丁の機械的特性の測定を行い, 感覚的切味, 機械的切味, 機械的特性との関連性を求めた. (1) 切味のイメージは2因子であり, (2) 多次元尺度構成法により求めた感覚切味が2因子であることと, ほぼ対応する. (3) この感覚的切味は包丁の2つの機械的特性と対応し, (4) この特性は包丁で試料を切断したときの力として, 切味試験機により求められる. (5) さらに, 包丁の劣化の過程では, 刃先角度が変化するからこれが感覚的切味の変化となると推定できる. (6) 以上の結果, 切味を機械的に計測することが可能となった.
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