2種類の筋群の表面筋電信号を同時に記録して, 両者の筋電信号の相互相関関数を求め, その信号を直接高速フーリェ変換して, クロススペクトルを抽出する. 2つの筋放電信号の同期性 (位相の一致状態) と同調性 (周波数に応じた振幅の一致状態) の特徴が自動制御理論の立場からボード線図によって, 筋運動調節状態が示され, 主働筋と拮抗筋の協調性機能が表された. そして一定の運動についての拮抗筋, 主働筋, 協応筋などの制御上の関係が示唆された. 運動負荷として8kgと16kgが課せられ, 上腕二頭筋, 三頭筋, 三角筋 (下端部) について調べられた. 表面筋電信号のクロススペクトルは15~85Hz間に分布し, 特に顕著な放電の同期性・同調性は40~55Hzにあり, 筋運動での制御状態を探るための資料になるだろう.
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