この研究はエネルギ消費の面から, 群集中を歩行する際の生理的負担度について調べることを目的として行なった.
3名の青年男子を被験者として, 実際にいろいろな密度 (0.75~1.69人/m
2) をもつ群集の中を種々の速度 (30~100m/min) で歩行させて, その時のエネルギ代謝率 (R. M. R.) を測定した. さらに, 比較の基準とするため, 別途無人域単独歩行の場合のR. M. R. についても測定した. その結果から, つぎのようなことがいえる.
1. 群集の流れに沿って歩く場合のR. M. R. は群集と同じ速度で歩いても, 無人域単独歩行の場合よりも大きく, その増加分は群集密度のおよそ3乗に比例している.
2. 群集速度より速い速度で歩くときは, さらにR. M. R. は増大し, この増加分は群集との相対速度の2乗と群集密度の3乗におよそ比例する.
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