人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
57 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
エディトリアル
原著論文
  • 鎌倉 宗史, 山本 澄子
    2021 年 57 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/12/22
    ジャーナル フリー

    本研究はトイレ環境内での起立動作に必要な運動様式を明らかにすることを目的に,平面の座面(以下,平面座面)と便座形状の座面(以下,便座座面)からの起立動作を計測して比較した.健常若年者20名を対象とし,平面座面と便座座面上での安静座位と起立動作を三次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した.平面座面と便座座面上での安静座位を比較した結果,便座座面で骨盤は後傾し,胸郭は前傾していた.起立動作では便座座面において,離殿前の体幹の屈曲運動は大きくなり,伸展運動に切り替わるタイミングは早かった.離殿時の股関節屈曲角度は便座座面で大きく,膝関節屈曲角度・足関節背屈角度は小さかった.また,離殿後の膝関節伸展モーメントは便座座面で小さかった.これらの結果から健常若年者での便座座面からの起立動作には平面座面と異なる運動様式があることが示された.

  • -ビジネスシューズおよびウォーキングシューズを例に-
    武末 慎, Ping Yeap LOH, 古達 浩史, 村木 里志
    2021 年 57 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/12/22
    ジャーナル フリー

    本研究は,足と靴のフィット性を評価するための指標としての足甲接触圧に対してよく用いられる2種の靴の違いが与える影響を検討することを目的とした.被験者は若年男性36名であった(年齢,22.6±1.2歳).足部寸法計測により選定したサイズの2種類の実験靴(ビジネスシューズおよびウォーキングシューズ)を用いて,普段通りの速度で歩行動作を行った.薄型圧力センサを用いてそれぞれの靴条件での歩行動作中の母趾球上面,第一趾脛側最突出点,腓側中足点,小趾球上面,第二楔状骨点および踵点の足甲接触圧を計測した.接触圧のデータは,歩行周期を荷重応答期,立脚中期,立脚終期,前遊脚期および遊脚期に分類し,各歩行相における平均値を算出した.対応のあるt検定の結果,荷重応答期における第二楔状骨点ではウォーキングシューズと比較してビジネスシューズの接触圧が有意に高値を示した.これはビジネスシューズでは荷重応答期における背屈モーメントの増大に伴い底屈運動の抑制が大きくなりウォーキングシューズに比べて第二楔状骨点の接触圧が増加したためと考えられる.

短報
  • 秋元 美咲, 依田 光正
    2021 年 57 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2021/12/22
    ジャーナル フリー

    歩行補助つえは,誰でも購入可能な福祉用具である.使用者が歩行補助つえ使用に至る「きっかけ」についての知見は,今後の選定および使用環境のデザインに関する判断基準のひとつとなる.さらに,使用者からみた歩行補助つえの認識を知ることは,使用者の身体状況および生活状況に適した歩行補助つえのデザインの知見に繋がる.本調査は,使用者にアンケート調査を実施し,歩行補助つえ使用の「きっかけ」および使用者の視点からの歩行補助つえの「役割」について基礎的な傾向を明らかにすることを目的とした.調査結果から,使用者は歩行に困難を有しており,歩行への不安から使用している人が多かった.歩行補助つえの役割については,「福祉用具」,「心理的な支え,安心」および「身体の一部」に回答結果を分類することができた.歩行補助つえは残存機能を引き出す「役割」もあることから,自身の身体の一部として認識している人も見受けられた.

feedback
Top