本研究では,モバイル機器の使用が歩行に与える影響を,取り出し動作や収納動作といった周辺動作を含めて検討することを目的とした.24名の実験協力者(全員20代男性)にモバイル機器の使用行動(取り出し,運搬,操作,収納)を課し自由歩行の場合と比較した.評価は歩行の安定性をモーションキャプチャを用いて運動学的な側面から検討した.この際,安定性を表す指標δ
stを新たに創案した.また下肢の筋電位分析によって生理学的側面から検討した.その他環境因子の影響について考察を加えた.この結果,モバイル機器使用時の歩行の安定性は,通常歩行の場合に比較して低下することが確認され,周辺動作時の安定性低下も確認された.また周辺動作時に下肢筋電位の上昇傾向が認められた.よって周辺動作を含めた歩行中使用の危険性を明示し啓発する必要がある.
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