人間工学
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50 巻, 5 号
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表紙
総説
原著
  • 北村 奨悟, 村木 里志, 大江田 知子, 澤田 秀幸, 田原 将行, 植田 能茂, 渡久地 政志
    2014 年50 巻5 号 p. 265-270
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,パーキンソン病患者の起立動作を補助する椅子の設計を目的に,健常者との比較から,パーキンソン病患者の起立動作における関節角度および筋活動の特徴について検討した.被験者はパーキンソン病患者12名および健常者12名である.被験者に肘かけの着いた椅子から起立動作を行わせ,動作中の関節角度(股,膝,足関節),下肢筋活動(大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋)および床反力を測定した.その結果,各関節の伸展開始タイミングならびに最大屈曲角度には病気の影響は見られなかった.一方,下肢の筋活動では,パーキンソン病患者は前脛骨筋の活動開始から大腿直筋の活動開始までの時間が短くなり同時に活動を開始していた.以上のことから,パーキンソン病患者は特に筋活動の開始の順序に特徴が現れることが示唆された.
  • 鴻巣 努, 池田 誠, 江森 裕亮, Kitsana Pracharasniyom
    2014 年50 巻5 号 p. 271-279
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究では眼球運動計測により,タイ語の視覚情報処理特性について考察した.文章語読解においては,難易度の上昇により注視回数だけでなく,注視時間の増加が認められた.加えて,日本語や英語は形態的特徴のある単語の先頭に注視が集まる傾向があるが,タイ語は語末に注視が集まり,これには末子音にあたるドーサコットが関与していることが分かった.ドーサコットは通常使われる子音と同じ形態であり,日本語や英語のように形態的特徴だけでは,通常子音かドーサコットであるか区別ができないため,視覚探索においては語の認知処理が重要であると言える.また,単語認知過程に関する実験より,タイ語読解においては単語優位性効果が認められ,ドーサコットが単語を区別するトリガーとして機能し,読解処理を促進することが明らかになった.これにより,タイ語に要求される認知レベルの高さが示され,ドーサコットの認知処理がタイ語の視覚情報処理特性において重要であることが分かった.
  • -対象と手の配置における検討-
    多田 美香里
    2014 年50 巻5 号 p. 280-285
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は対象の配置および把持動作を実行する手の配置を操作し,どのような配置が行動に適した配置であると判断されるのかについて調べたものである.42名の実験参加者に手の写真と対象(マグカップやペンチなどの日用品)の写真を提示し,その配置が握りやすいかどうかについて評定させた.その結果,対象の種類や配置によって整列効果が認められない場合があることが示された.また手の配置の違いによっても握りやすさの評価は異なっており,必ずしも実験参加者の観察時の身体と適合した配置が握りやすいとは限らなかった.したがって,行動に適した配置は対象の形状や配置等の視覚特性に影響され,整列配置や身体との適合が常に有効であるとは限らないと言える.
  • 横田 知明, 村木 里志
    2014 年50 巻5 号 p. 286-293
    発行日: 2014/10/15
    公開日: 2015/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究は松葉杖使用時における手部および手関節の負担が少なく,握りやすい,松葉杖に適したグリップ径を求めることを目的とした.被験者は健常な若年成人男性16名であった.太さの異なる6条件(直径25,30,35,40,45,50 mm)のグリップを装着した松葉杖を用いて,左側下肢完全免荷3点歩行をした際の浅指屈筋および総指伸筋の筋電図,右手関節の掌背屈方向の角度変位,右手掌面に掛る圧力分布および松葉杖使用感に関する主観評価を計測し,負担を評価した.太いグリップ条件(40,45,50 mm)では手掌面への圧力が有意に低下した.また細いグリップ条件よりも手関節が背屈する傾向が見られた.一方で,細いグリップ条件(25,30 mm)では浅指屈筋の筋活動量が増加していた.太さが35 mmのグリップは最も握りやすく松葉杖が扱いやすいと評価された.以上の結果より,若年成人男性では,手長の19~22%にあたる直直径35~40 mmのグリップが松葉杖には適していることが示された.
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