実験用休息椅子を試作し, クッションその他の弾性体の影響を除外し, ただ, 座の傾斜および背凭れ角の変化に伴なう坐り心地の良さの条件を体圧や接触面積 (座跡および背跡) の分布から検討した結果, つぎのことが明らかとなった。
(1) 官能検査の結果すなわち訴え数やその程度からみて, 座の傾斜では0°, 6°, 12°のうち6°が, また背凭れ角では, 座の傾斜にかかわらず111°が共通して坐り心地が最も良い。座面と背凭れ面との間の角度でみると, 座の傾斜0°の場合は111°, 6°の場合は104°, 12°の場合は98°~104°あたりが最も坐り心地がよい。
(2) このような坐り心地のよい状態の時は体圧分布からみると, 体重は坐骨結節の2点支持から, 仙尾椎端を加えた3点支持に移行する状態であり, この際の座跡をみると, 臀部と大腿上部にほぼ均等に体圧がかかっている状態である。
(3) また, 坐り心地のよい時の背跡は, その面積が最も広く, かつまた肩背部と腰部の背跡がともに広い状態である。背跡の形態からいうと, 高さがひくく, 幅は肩から腰部 (ウエストライン下方) にむかってゆるやかにせばまって行く状態の時である。
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