本研究の目的は, 立位バランスの動特性を姿勢制御の随意性の観点から測定, 評価することである. ステップ目標値に追従して体重心を左右に移動させる実験を, 健常者と片麻痺患者について行った. 追従特性を定量化するため7個の評価パラメータを決め, 実験データを比較したところ, 次の結果が得られた.
1) 健常者には応答の左右差がない.
2) 健常者の年齢増加とともに応答が悪くなる傾向がみられた.
3) 片麻痺患者は健常者に比べ, 応答の速さ, 反復性, 保持が悪い.
4) この傾向は麻痺の症状が重くなるにつれ著しく, 臨床評価 (Br. ステージ) とに相関がみられた.
5) 片麻痺患者では, 患側へのステップ応答が非患側へのそれより悪い傾向がみられる.
臨床における客観的評価を容易にするため, hepta-gram と評点による患者結果の直観的・定量的記述法を提案する.
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