本研究は, 二眼式液晶シャッターを用いた時分割方式によって再生された二眼式立体 (3D) 映像を負荷した場合と, 平面 (2D) 映像を負荷した場合での, 負荷前後の瞳孔反応への影響を調べた. このとき, 鑑賞時に与えられた視距離 (2mと4m) と室内の照度の設定条件により, 縮瞳量に変化が認められるか否かを検討した. 瞳孔面積の変化は, 赤外線オプトメータに付帯したピューピロアナライザーで測定した. その結果, 以下の事実がわかり, それらの結果から二眼式3D映像鑑賞にあたり, より良い鑑賞の仕方 (距離や照明のあり方) を人間工学的に考察した.
(1) 2D映像, 二眼式3D映像ともに負荷前より負荷後に縮瞳量が増した.
(2) 2D映像, 二眼式3D映像のいずれの負荷においても, 縮瞳量の変化に対して, 室内照明の有・無による影響が認められた. 特に, 二眼式3D映像負荷時の照明の有無は, 瞳孔機能に大きな影響があることがわかった.
(3) 二眼式3D映像を観察するにあたっては, 瞳孔機能の結果だけを考えた場合, 室内照明をつけたほうが良いと考えられた.
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