人間工学
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51 巻, 6 号
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表紙
総説
原著
  • -物体形状,物体サイズ,母指押し付け力の影響-
    嶋脇 聡, 中林 正隆
    2015 年51 巻6 号 p. 420-427
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー
    ヒト手指による物体把持において,母指の爪が重要な役割を有している.本研究の目的は,物体(円柱,球,平板)を把持した際の母指爪ひずみを計測し,橈尺方向に非対称なひずみ分布が発生するかどうか調査することであった.また,物体サイズと母指押し付け力の影響も調査した.母指爪表面の3箇所(中央,橈側,尺側)に2軸交叉ひずみゲージを貼付した.2軸交叉ひずみゲージの各軸は指軸方向と横断軸方向と一致させた.物体サイズが小さい場合,指軸および横断軸の両方のひずみ分布が非対称であったが,物体サイズが大きくなると,どちらかの軸のひずみ分布の非対称性が解消された.母指押し付け力は尺側ひずみに影響を与えるが,橈側ひずみには影響を与えなかった.小さい物体を把持する場合,母指指腹部尺側面が主要な接触面であることが,橈尺方向に非対称なひずみ分布の要因であった.大きい物体を把持する場合,接触面は指腹部中央へ移動するが,母指内部構造の非対称性によりひずみ分布の非対称が生じたと推測された.
  • 浦谷 裕樹, 大須賀 美恵子
    2015 年51 巻6 号 p. 428-434
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー
    自然災害や事故・事件等の影響により,その後心の病である心的外傷後ストレス障害(PTSD:posttraumatic stress disorder)を発症する子どもたちがいる.心身を落ち着ける呼吸法の習得によりPTSDの症状を改善できるといわれている.そこで,子どもたちがリラックスできるように,2つのエアバッグを用いて呼吸計測をしながら,腹部を上下させて呼吸誘導ができる呼吸誘導ぬいぐるみを開発した.7 ~10歳の健康な女児12名を対象に評価実験を実施した結果,エアバッグのセンサで呼吸計測ができ,ぬいぐるみの腹部の動きによる呼吸誘導が可能であることが示された.開発した呼吸誘導ぬいぐるみによるリラクセーション効果の検証は今後の課題である.
資料
  • 山下 利之, 近藤 真悟, 岡崎 章
    2015 年51 巻6 号 p. 435-440
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー
    患児のためのプレパレーションとは,一般の患者に対するインフォームド・コンセントに対応する.入院患児のプレパレーションのためには,彼らが家族から離れて病棟で過ごすことに起因する不安やストレス,手術に対する不安,病気による痛みなどを,医師や看護師が正確に把握し,適切に対処する必要がある.しかし,入院患児は大人のように,自分の状態をことばで正確に伝えることが困難であることが多いため, 現状では,看護師による患児の行動や言動の観察に頼る判断がほとんどである.そこで,筆者らは.入院患児が楽しみながら,自分の不安やストレスなどの程度を表現することのできる簡便なツールの開発を行ってきた.本研究においては,入院患児が痛みの程度を伝えることができる痛み評価ツールの開発を行った.痛み評価ツールによる痛みの表現を,VAS(Visual Analogue Scale),マグニチュード推定法,AHPによって比較考察することによって,ツールの有効性を確認した.
  • 小長谷 百絵, 林 みつる, いとう たけひこ, 小川 鑛一
    2015 年51 巻6 号 p. 441-448
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    高齢者にとって点眼容器の使いにくさは治療のアドヒアランスを阻害する要因であるにもかかわらず,薬剤の効果の研究に比べると容器のユーザビリティへの注目度は低いと言える.そこで,治療目的で点眼をしている高齢者に点眼動作の困難性と点眼容器の使用性についてインタビューを行い,テキストマイニング法を用いて点眼容器の使用性に関する評価項目を抽出することを目的とした.その結果,点眼容器の使用性の評価基準として①キャップの「開けやすさ」,②容器の「硬さ-柔らかさ」,③容器の「大きさ」,④容器の形状「平型」「丸型」,⑤容器のフィルムの剥がしやすさ,⑥ワンプッシュが1滴,⑦1滴の適量,⑧プッシュから滴下の時間の8項目があげられた.容器の柔らかさへの言及は75歳以上の高齢者に多く,1回のプッシュで,一定の速度ですみやかに眼球に1滴だけが注入できる容器が望ましいことが示唆された.

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