人間工学
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38 巻, 4 号
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  • 植竹 篤志, 村田 厚生
    2002 年 38 巻 4 号 p. 187-195
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    事象関連電位 (Event Related Potential: ERP) を用いた精神疲労の評価手法は十分に確立されていない. ERP波形から精神疲労を評価するためのパラメータとして, 主成分分析による波形成分抽出や相互相関を用いた加算波形に対する個別波形の時間的なずれを検討した. ERP加算平均波形と個別波形の相互相関に基づく加算平均波形と異なる個別波形の削除が, P300ピークの明瞭化に有効であることが示された. ERPのP300b成分や波形の時間的ずれの標準偏差が精神疲労 (認知情報処理機能の低下) を反映する指標となることが示唆された.
  • 岩瀬 弘和, 村田 厚生
    2002 年 38 巻 4 号 p. 196-204
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    上肢のリズミカルな屈伸運動を行わせたとき, 肘関節の角度変化にカオス性が存在することを示す. 10名の右利きの被験者に対して, 屈伸運動時の右肘の関節角度変化を測定した. 測定条件として, 屈伸運動の周期間隔を0.5秒から1.4秒までの0.1秒刻みの10種類および好みのテンポ (パーソナル・テンポ) の計11種類とした. 各被験者ともすべての条件をランダムな順序で行わせ, それぞれ20秒間ずつ測定した. 肘関節角度のデータに対してカオス解析を行ったところ, フラクタル次元, リアプノフ指数ともに, 動作周波数の増加にともなって値が増加する傾向が見られた. また, いずれの測定条件においても第1リアプノフ指数は正の値を取り, リズミカルな屈伸運動におけるカオスの存在が明らかになった. さらに, 右利きと左利きの被験者5名ずつに対して右腕と左腕の屈伸運動を行わせた結果, 肘関節角度データのフラクタル次元および第1リアプノフ指数のいずれも利き腕の方が高い値を示した.
  • 市来嵜 治, 道用 大介, 松本 俊之, 金沢 孝
    2002 年 38 巻 4 号 p. 205-213
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    組立加工業では, 多品種少量生産と短納期化に伴い, 作業手順が頻繁に変わることによる作業習熟の問題が生じている. 本研究では, 作業者の作業習熟を促進し, 作業をしやすくするための作業設計における概念的な改善策を提案することを目的としている. まず, 作業を行う上で必要となる三つの作業手順情報の与え方をモデル化し, それらの組み合わせを変動要因として, 部品箱に配置された単純な部品を所定の位置に取り置く作業で実験を行った. この実験結果をもとにして, (1) 作業設備などによっていくつかの情報の与え方を自動化するくらいなら, すべての情報の与え方を工夫する程度でも十分である, (2) 情報の与え方のうち二つを工夫する場合には, 置場所と部品取付場所以外の組み合わせで工夫すべきである, (3) 一つだけを工夫する場合には, 置場所を工夫すべきである, という作業設計に関するガイドラインを提案した.
  • 渡邉 昭二, 中村 和男
    2002 年 38 巻 4 号 p. 214-222
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    非言語ヒューマンインタフェースを構築することは, 人に優しい情報環境を実現する上で重要である. 将来的には人間の動作を理解し, CGの動作生成などによってインタラクティブに対応できる非言語ヒューマンインタフェースの構築を目指す. 本研究では, 非言語表現を, 実際の身体動作, 動作の計測データ, 物理的動作特徴, 言語的動作特徴, 人物の感情・意図の5段階の理解構造モデルとして捉えることを提案した. 本論文では頭部の動きがかかわるコミュニケーション動作に着目し, 動作計測実験を経て身体動作の時系列計測データを収集し, そこから物理的動作特徴の指標を構築することで, 質問紙調査によって抽出された人物の言語的動作特徴と感情・意図の関連構造を多変量解析手法によって分析した. 得られた分析結果等から, 構造モデル, 分析方法については, 数理的アプローチの有効性が確認され, 非言語ヒューマンインタフェース技術への展開の可能性が示唆された.
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