人間工学
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34 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 末長 修
    1998 年 34 巻 5 号 p. 229-237
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は, 制御が難しい制御対象に対する制御を容易にし, かつ, 系への個人差による影響を低減する手動制御系を設計することを目的とする. 手動制御系は2つの補償器を用いた制御系から構成した. ここで, 各補償器の統一的な手法による設計を可能にするため, 実際の制御対象は制御が容易な制御対象モデルから変動したものとし, また, 人間操作者個人の制御特性は平均的な人間モデルから変動したものと仮定した. 本制御系設計問題をこれらの変動と等価的な外乱を抑制する制御問題としてとらえた. 外乱抑制制御問題を一般化したH制御理論を適用し, 各補償器を設計した. その結果, 限定された実験ではあるが, 制御が難しい制御対象に対しても, その制御が可能となり, さらに系全体の制御特性は, 人間操作者によらず, ほぼ同様なものになることが示され, 提案する手動制御系の有用性を実験的に確かめることができた. しかしながら, 制御系の設計方法や補償器設計の際に必要となる重み関数の設定には改善の余地が残されている.
  • 鴻巣 努, 神保 有紀, 重松 淳, 福田 忠彦
    1998 年 34 巻 5 号 p. 239-246
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    日本語読解時における眼球運動計測から, 日本語読解の特徴を文字情報の視覚的処理に関する形態的側面と, その発音に対応する音韻的側面に分けて考察した. 実験1では, (1) 仮名連続, (2) 仮名分割, (3) 漢字仮名交じり, の3種類の表記形式による日本語刺激を用いた. ここから, (1) では音韻的情報, (2) では空白, (3) では漢字の視覚的特徴が重要な役割を果たしていることが明らかになった. 実験2では (a) 仮名・無意味, (b) 仮名・有意味, (c) 漢字仮名交じり・有意味の日本語刺激に対して発音を意識した読解と通常の読解において, 情報受容量にいかなる差があるかを調べた. その結果, (b), (c) ではそれぞれ有意水準p<0.01, p<0.1で有意差があり, (a) では有意差がなかった. ここから, 漢字においては音韻的情報の関与度が低い処理形態である可能性が示された.
  • 芝崎 学, 近藤 徳彦, 森脇 俊道
    1998 年 34 巻 5 号 p. 247-253
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    深部体温を測定することによって, 我々はさまざまな情報を得ることができる. 深部体温の指標の一つである鼓膜温は体温調節中枢である視床下部の温度を最もよく反映することが知られている. 安静時の鼓膜温は約37℃ (赤外線のピーク波長: 約9.35μm) であることにより, 本研究ではこの赤外線領域周辺の検出や透過に最適な光導電型赤外線センサであるMCT (Mercury-cadmium-telluride) および赤外線透過ファイバであるカルコゲナイドガラスファイバを用いて新しい非接触型鼓膜体温計を開発した. 校正はペルチエ素子で制御する簡易黒体炉を使用した. その結果, 黒体炉の温度変化に対し, 十分な線形性および静的・動的応答性を示した. 長時間の一定温度測定時の最大誤差は0.2℃程度であった. 下肢温浴負荷実験において, 本システムは鼓膜温のみを連続的に測定できる可能性を示した. 今後, さらに測定精度や安定性の向上が望まれるが, 本システムは鼓膜に接触することなく, 鼓膜のみの温度を測定することのできる可能性を示した.
  • 佐藤 広徳, 福田 修, 辻 敏夫, 三浦 朗, 久野 譜也, 佐藤 陽彦, 福場 良之
    1998 年 34 巻 5 号 p. 255-260
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    市販の超音波診断装置, 自作の水槽およびパソコンを用いてヒトの体肢の周りから任意の角度ごとに横断面画像 (断片画像) を撮影し, 得られた画像に画像処理を加え, 完全な体肢の横断面画像を得る方法を開発した. 自作の水槽は, 同一平面上でプローブの回転操作が可能で, 測定部位 (脚または腕) の周りから任意の角度ごとの断片画像が撮影できるように設計されている.
    本システムの再現性を確認するために, 被検者21名の大腿の同一部位を1日以上の間隔を置いて2度撮影を行い, 皮下脂肪, 筋および骨のそれぞれの横断面積について比較検討をした結果, 本システムの高い再現性が確認された. 妥当性に関しては, 10名の被検者を対象に本システムとMRIで大腿の同一部位の撮影を行い, 各組織横断面積について比較した結果, MRIによる計測値と高い相関性が認められた.
    本システムは, 可搬性があり, 安全でしかも安価なものであるため, フィールドにおける調査的研究に有効であると考えられる.
  • 川口 孝泰, 鵜山 治, 西山 忠博, 小河 幸次, 飯田 健夫
    1998 年 34 巻 5 号 p. 261-270
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は, head-up を伴う体位変換介助時において, 被介護者に変換を“事前予告”しておくことが循環調節にどのような影響をもたらすかを, 自律神経機能および脳循環の測定により検討した. 実験は, 健康成人12人 (男性6人, 女性6人) に対して, head-up と同時に声をかけながら70°head-up tilt (仰臥位から座位) を他動的に実施【事前予告なし】と, 5分前から1分ごとに体位変換を予告して70°head-up tilt を実施【事前予告あり】の2条件で行った. その結果,
    1) head-up 後の平均RR間隔は“事前予告あり”のほうが短くなった (p<0.05).
    2) head-up 前のLF/HF値は, 3分前頃から“事前予告あり”のほうが有意に高くなった (p<0.01).
    3) 脳循環は head-up により, oxy-Hb および total-Hb が低下した. 特に“事前予告あり”では, head-up 前に oxy-Hb に上昇がみられた.
    本研究により, head-up を伴う体位変換の前に“事前予告”を行うことで, head-up 後の循環調節の準備状態に入ることが明らかとなった.
  • 佐藤 教昭, 吉岡 真, 林 春樹, 小林 宏光, 戸上 英憲, 神代 雅晴
    1998 年 34 巻 5 号 p. 271-273
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 長町 三生
    1998 年 34 巻 5 号 p. 275
    発行日: 1998/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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