人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
40 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 中沢 信明, 三浦 郁奈子, 猪岡 光
    2004 年 40 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では, 対象物体を把持する際の指先の接触動作について実験的考察を行った. 親指および人指し指による精密把持動作においては, 指先の接触パターンが主に3つ現れており, 第1接触する指先によって, パターンの頻度に偏りがある. 人差し指が第1接触の場合, 保持する接触力は変動が少なく, 対象物体をずらさない範囲内で, 親指が接触する前から予め接触力を増大させる傾向が見られる. 親指が第1接触の場合には, 保持する接触力が不安定であり変動が大きく, 人差し指が接触するまで接触力が増大しない. 次に, 力によって把持幅が可変となる物体を二指で掴み, 力を増減させたときの指先変位量を調べた. その結果, 視覚情報の有無に関係なく人差し指を積極的に動かすことで開閉運動を行なっており, 親指は支える役割を果たしていることを示した. このことは, 先に接触する指先が人差し指の場合には, 接触力が安定に保持されやすく微調整を行なっていること, そして親指が先に接触した場合には, 人差し指が接触するまで把持力を増大させていないことに関連しており, 対象物体をずらさないで把持動作を行っていることに反映されている.
  • 牧下 寛, 松永 勝也
    2004 年 40 巻 2 号 p. 74-81
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    交通事故を回避するためには, 十分な車間距離を維持して走行することが必要である. 本研究の目的は, 運転者が一定の車間距離で走行しようとしたときに, 実際の車間距離がどのような値になるのかを踏まえて, 車間距離のガイドラインを求めることである. このため, 20歳から69歳の男性41名を被験者とし, 模擬市街路において走行実験を行い, 車間距離の目測誤差と車間距離の変動として現れる制御誤差を調べた. 目測値の危険側の値として, 実測値と目測値の比の分布における5パーセンタイル値を調べ, 0.53を得た. 車間距離の変動は, 設定した車間距離になったことを運転者が確認してからの10秒間の変化を調べた. 制御誤差の危険側の値として, 車間距離の0.1秒間隔の計測値と計測開始値との比の分布における5パーセンタイル値を調べ, 0.81を得た. この結果, 安全確保のために車間距離のガイドラインとして必要な値は, 停止距離の2.3倍以上であることが求められた.
  • 杉崎 範英, 岡田 純一, 金久 博昭, 福永 哲夫
    2004 年 40 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は足関節における反動動作による弾性エネルギーの貢献度と機械的仕事量およびパワー増強との関係を明らかにすることを目的とした. 被検者 (7名) はスレッジ装置上で以下の3条件で足関節のみを使用した跳躍を行った: (1) 反動なしの底屈 (PFJ), (2) 反動動作を伴う底屈 (CMJ) および (3) ドロップジャンプ (DJ). CMJおよびDJにおいて, すべての被検者で足関節の機械的仕事量およびパワーは増加した. 底屈局面の機械的仕事量に対する弾性エネルギーの貢献度はCMJで39.7%, DJで71.7%であり, 両試行とも底屈局面の機械的仕事量およびパワーの増加率と弾性エネルギーの貢献度の間に相関関係が認められた. これらの結果は, 1) 足関節の反動動作では弾性エネルギーが関節の機械的仕事量に大きな貢献を果たすこと, 2) 反動動作では機械的仕事量やパワー増強の大きさは弾性エネルギーの大きさに依存することを示唆する.
  • Kazuhiko TAKAHASHI
    2004 年 40 巻 2 号 p. 90-98
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    This paper proposes an emotion recognition system from multi-modal bio-potential signals. For emotion recognition, two types of classifier: neural network (NN) and support vector machine (SVM) are designed and investigated. Using gathered data under psychological emotion stimulation experiments, the classifiers are trained and tested. In computational experiments of recognizing two emotions: pleasure and displeasure, recognition rates of 62.3% with the NN classifier and 59.7% with the SVM classifier are achieved. The experimental result shows that using multi-modal bio-potential signals is feasible and that NN is comparably more suited for emotion recognition tasks.
  • 柴田 隆史, 河合 隆史, 太田 啓路, 葭原 義弘, 井上 哲理, 岩崎 常人, 寺島 信義
    2004 年 40 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2004/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 2眼式立体映像観察時における, 調節と輻湊の不整合を解消し, 眼精疲労を軽減させることを目的として, 単焦点レンズによる光学補正を用いた立体映像観察方式に関して検討した. 実験1では, 調節と輻湊の距離が理論的に一致する条件を設定し, 補正効果の高い, 単焦点レンズの屈折力を検討した. そして, 実験2では, 奥行き方向に動く視標を観察した際の屈折値を測定し, 適切な立体像の再生位置と補正レンズの効果を検討した. さらに, 実験3では, 実験1と2で得られた知見を元に観察条件を設定し, 補正レンズの付加および立体像の再生位置の制御による効果を検討した. 実験の結果および考察からは, 以下の2点が結論として得られた. (1) 凸レンズを用いた光学補正により, 立体映像観察中の調節距離が遠方にシフトし, 特に近方観察において, 見やすさや視覚負担の点で有効である. (2) 観察環境に合わせて, 適切な補正レンズの屈折力と立体像の再生位置を設定することにより, 調節と輻湊の不整合が軽減される.
feedback
Top