人間工学
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41 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大西 範和, 斎藤 真, 平林 由果, 片瀬 眞由美, 栗林 薫, 塩之谷 香
    2005 年 41 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 筋電図の解析によりミュールを履いて歩行する際の身体的ストレスを評価することである. 被験者は11名の若年女性で, 50m/minの速度でトレッドミル上を, 裸足, スニーカーおよびヒール高9cmの3種類のミュールを履いて2分間歩行した. それぞれの歩行において後半1分間の上下肢の筋電図および心電図を記録した. 心拍数および歩調は, ミュールを履いて歩行した場合に, 裸足およびスニーカーと比べ統計的に有意 (p<0.05) に増加した. 股関節の屈曲, 膝関節の伸展および足関節の背屈に関係する筋において, 筋電積分値は, 裸足およびスニーカーを履いた歩行に対し, ミュールを履いた歩行の際に増加した. これらの筋活動の増加は, 爪先を上げてミュールの脱落を防止することや, 爪先と踵を同時に接地させて歩行の安定を図るための努力に関係すると推察される. ミュールを履いて歩行した際の前脛骨筋の活動増加は, 甲ストラップの装着により消失した. 歩行時にミュールを履くことで増加する身体的ストレスは, 構造を工夫することで低減され得ることが示唆された.
  • 手部のサインを用いた動作特性の調整
    神代 充, 柴田 論, 山本 智規, 清水 顯
    2005 年 41 巻 2 号 p. 57-64
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 協調者の手部によるサインによりロボットの動作特性を容易に調整することが可能な手渡しロボットシステムを提案する. このロボットシステムでは, 調整可能な動作特性に, 人間の好みと深く関わりのある最大速度, 速度ピークに達するまでの時間, 及び, 手渡し位置を採用し, 協調者はそれらの動作特性を手部の形状により指示する. さらに手部の移動距離により, それらの動作特性の調整量を指示する. 特に, 動作特性の調整量の決定にファジィ推論を適用することで, 協調者は経験に基づいた動作により, ロボットへ指示することが可能となる. これらのことより, 本ロボットシステムでは, 協調者は手部によるサインを用いてロボットの動作特性を調整し, 容易に自分自身にとって最も心地よいと感じる手渡し動作を実現できる.
  • 青木 洋貴, 伊藤 謙治, John Paulin HANSEN
    2005 年 41 巻 2 号 p. 65-76
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では, 日本語文章入力のための注視インタフェースを習熟していく過程, すなわち学習容易性について論じる. 著者らは, 注視により日本語文章を入力できる障害者向け注視インタフェースのプロトタイプを開発した. このプロトタイプでは, 注視のみならず, マウスおよび頭部運動によっても入力が可能となっている. 15名の被験者を用いた実験を実施し, 本プロトタイプを習熟していく際のタイピング速度, エラーの頻度, ならびに主観評価について, 注視, マウス, および頭部運動入力間で比較した. その結果, 注視による入力が, タイピング速度およびエラーの頻度について劣っており, タイピング速度, エラーの頻度および満足度に対する主観評価についても劣っていることが分かった. この結果に基づき, 注視を入力として用いる際に特有な現象について論じる. さらに, プロトタイプの改善に向けた示唆についても論じる.
  • 岩瀬 弘和, 北岡 正敏, Juvy BALINGIT
    2005 年 41 巻 2 号 p. 77-88
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 捻り動作を含む荷物持ち上げ作業における身体各部位の運動変数を算出し, 作業条件がそれらに及ぼす影響について調べた. 持ち上げ作業動作は2台の高速度ビデオカメラを用いて撮影した. 実験要因として, 荷物持ち上げ作業開始前における作業者と荷物との距離 (初期距離: 30cm, 60cm), 荷物を持ち上げる高さ (65cm, 105cm), および荷物の重さ (4kg, 12kg) の3要因を取り上げた. 実験要因はいずれも被験者内要因とした. 身体各関節部位の3次元位置はDLT法により算出した. また, 身体各部位の3次元位置に基づき, 各関節の屈曲・伸展角や上胴の傾斜角, 体幹の捻り角などを算出した. 本研究の結果から, 捻りを伴う荷物持ち上げ動作の特徴として, いずれの作業条件においても基準化時刻20%から荷物の床からの持ち上げが開始され, 基準化時刻30%から作業者を中心とした荷物の回転移動が開始され, 基準化時刻70%から荷物を台の上に置く動作が開始されることが明らかとなった. さらに, 捻りを伴う荷物持ち上げ動作において荷物の初期位置, 持ち上げる高さ, 荷物の重さが身体各関節部位の角度変化に大きく影響を及ぼすことが示された. すなわち, 初期距離は主に, 上肢の角度および腰の伸展角度に影響を及ぼし, 高さは主に, 左上肢, 体幹の傾斜角度, 捻り角度および腰の伸展角度に影響を及ぼし, 重さは主に, 体幹の傾斜角度および下肢の伸展角度に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 山崎 信寿, 寺西 監之, 難波 昇平, 五十嵐 智貴
    2005 年 41 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    日常生活にはプッシュスイッチで操作する電子機器が多いため, これらの機器の操作性向上には適切なスイッチ配置が必要になる. 本研究では, 動作計測と三次元上肢モデルによる解析により, プッシュ姿勢の生体力学的決定基準を探索した. その結果, プッシュ姿勢は, 関節モーメントが小さく, スイッチの操作方向に可操作力が大きくなるように決定されていることがわかった. このため, 関節モーメントと可操作力を決定基準として上肢モデルから上肢到達域内の押しやすい位置と方向を計算し, 立位で操作するATMや券売機と座位で操作する自動車スイッチ配置へ応用した. その結果, 立位では850-1,150mmの高さにおいて関節モーメントが少なく, この範囲内の上方では水平から手前に60°傾け, 下方では30°傾けた面が押しやすいことがわかった. また, 自動車スイッチとしてはセンターコンソール, Aピラー, ルーフも押しやすいことがわかった.
  • 澤田 東一, 廣瀬 敏也, 辻 完太, 小口 泰平
    2005 年 41 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 支援操舵時における運転への従事度合が, 手動に切り替わった時点の運転者の制御に及ぼす影響を検討したものである. 実験は, 車線維持支援システムを搭載したドライビングシミュレータを用いて運転者の従事度合をハンドル保持または不保持と前方注視または不注視を組み合わせて設定した. 被験者の操舵制御動作を客観的および主観的な面から解析した結果, 以下の結論を得た. ハンドル保持・前方注視の場合の操舵は, 手動の操舵とほぼ同様の制御を行うが, ハンドル不保持・前方不注視の場合は, 操舵角の大きさおよび修正操舵の頻度が増加する. 手動操舵へ切り替え後に運転者が車両特性に適応するまでに要する時間は, 約5秒間であり, 適応後は操舵角の大きさおよび修正操舵の頻度が減少する. 主観的評価の結果から操舵のしやすさは, 従事度合の減少に伴い低下し,. 前方不注視のほうがハンドル不保持に比べてその影響は大きい.
  • 刺激色数および痴呆重症度と Stroop 効果の相関
    内山 尚志, 福本 一朗
    2005 年 41 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2005/04/15
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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