貫流ボイラは,大型ボイラと比較し保有水量が圧倒的に小さく,高効率・省スペース・取り扱いが簡便という特長を持ち,産業用・業務用熱源として主流になっている.貫流ボイラは主に50A程度の水管で構成される為保有水量が小さく,同じ相当蒸発量で比較すると大型ボイラの約10分の1である。保有水量が小さい事のメリットは,
1)熱損失(運転損失・放熱損失)が小さい為高効率運転が可能となること
2)燃焼開始すれば起蒸が早く応答性に優れること
が挙げられる。
逆に,保有水量が小さい事のデメリットは,自己蒸発による蒸気供給量が小さく,燃焼開始までの素早い応答性が要求されることである。
これに対応するため,高速応答性に優れた角型缶体と連続パイロット制御を標準搭載した貫流ボイラを発売し,負荷追従性を実機検証できるボイラ実証デモルームを設置し事前に負荷追従性を検証(体感)して頂くことが可能となり,お客様より好評を頂いている。
また,高効率貫流ボイラに適したクローズドドレン回収装置(HX型)の開発を行った。保有水量が小さい高効率貫流ボイラに対応するためドレンヘッダ容積を最適化,更に,周辺機器とユニット化することで各種制御(フラッシュ蒸気熱回収制御,クローズド給水温度制御,ドレンヘッダ加圧制御,バックアップ給水制御等)を搭載しドレン熱回収率を極限まで向上する。
本稿では,高効率・省電力を実現する高効率蒸気システムとして,
1)小保有水量・小容積の貫流ボイラの放熱損失,高速応答性,それを実証するデモルームを紹介するととともに,
2)ドレン保有エネルギーの高度利用方法として,貫流ボイラに適したクローズドドレン回収装置の省エネルギー効果と装置の仕様を紹介する。
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