人間工学
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28 巻, 1 号
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  • 福田 康明, 大久保 堯夫
    1992 年 28 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    多品種少量生産の特徴は, 製作する部品や品物がたえず変化することにある. したがって作業者は, 同一作業を長期間にわたって連続的に繰り返すことは少なく, 作業内容が毎日異なるか, ある中断期間を経て, 再び同一作業を繰り返すことが必然的に要求される. この場合, 問題となる要因のひとつに作業時間の設定がある. 一般に, 習熟過程に中断が入った場合には, 前回に経験した作業状態の再現性を的確に把握することが重要となる. 本研究は, 習熟過程における作業時間のばらつきを変動率 (δ) でとらえ, 達成度 (Q) によって数値的に評価できる理論と傾向式を適用し, 中断期間の長さと習熟の関係について, 実験作業によって次の内容について検討した.
    (1) 中断期間と習熟の関係を作業者ごとに数値的に解析した.
    (2) 習熟過程における作業時間のばらつきは, 中断期間の長さに伴って増加する.
    (3) 中断期間と習熟の関係を達成度 (Q) によって相対的に評価した.
  • 江川 義之
    1992 年 28 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    衝撃工具から発せられる衝撃騒音をテープに記録し, その波形パターンと衝撃周期を調査した. その結果, 波形パターンは指数減衰型が多く, 衝撃周期は500ms未満であることを明らかにした.
    次に衝撃騒音のラウドネスを調べるため, 調査した波形に類似し, RMS値の等しいモデル波形を作成し, 被験者調整法によるラウドネス実験を行った. 実験結果によると, 等RMSの波形であっても, 衝撃周期が増加するほどラウドネスも増加することを明らかにした.
    さらに, 衝撃周期とラウドネスの関係から, 指数減衰型の繰り返し衝撃波形入力に伴う聴覚の応答特性を検討した. 聴覚の立ち上がりの時定数を90msとした場合, 実験結果との整合性が得られることを明らかにした.
  • 稗田 一郎
    1992 年 28 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    音声の物理的な特性と心理的な特性との関係は, 合成音声の音質を改善していくうえで必要不可欠な情報である. その関係のうち, 音節の音韻継続時間とその心理的影響については, 音声学的見地から, 自然に近い条件で発話された単語や文章についての分析, 検討が行われているが, 音節の音韻継続時間の増減とその直接的な心理的影響の関係は調べられていない. そこで, 音節の音韻継続時間の増減とその直接的な心理的影響の関係について実験を行い検討した. その結果, 音韻継続時間の判別能力は個人差が大きいこと, 心理的に等価に聞こえる音節の物理的な音韻継続時間は, その音節の有声音部分の割合に逆比例することなどが判明した.
  • 末長 修, 井原 素三
    1992 年 28 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    制御が難しい制御対象に対し, その制御を簡易にする手動制御系を, モデル追従制御系設計手法を適用して構成した. モデル追従制御系とは, 制御系の望ましい特性をモデルのかたちで表現し, その出力に実際の制御対象のそれを一致させる系のことである. 本研究では, 制御対象を2次遅れの安定系, 不安定系の2種類とし, 直接人間が制御対象を制御する従来の追跡手動制御系による実験Iと, モデルをほぼ比例要素とみなせる1次遅れ要素としたモデル追従手動制御系による実験IIとの比較から, その制御の簡易化, ならびにそれに伴う制御結果の良否, 作業負担の軽減について実験的考察を行った.
    その結果, モデル追従手動制御系においては, 人間は制御対象の特性にかかわらず, モデルの出力に対し制御を行うことになるため, 制御の簡易化, また制御負担の軽減が図られ, 人間工学的見地からも有用であることが確かめられた.
  • 落語, 漫才, CMについて
    増山 英太郎, 勝見 正彦
    1992 年 28 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    被験者に漫才, CM, 落語の5演目ずつをビデオでみせ, その印象を28対の形容詞対により評定させ, 結果を主成分分析法および重回帰分析法によって解析した. 主成分分析の結果, (1) 直感的↔論理的因子, (2) きらい↔好き因子, (3) 攻撃的↔平和的因子, (4) リズミカルでなさ↔リズミカル因子, (5) しぶさ↔若々しさ因子, (6) あっさり↔しつこい因子が得られ, 累積寄与率は83%となった.
    落語は論理的で平和的であり, 漫才は攻撃的, CMは直感的といえる. 次に, これらの6主成分得点を独立変数に,“おかしくなさ”を従属変数とする重回帰式を導いてみたところ, 落語では直感的で, 好きで, 平和的であるほどおかしく, CMでは直感的で, 好きで, 攻撃的あるほどおかしいとなり, 寄与率は94~99%であった.
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