人間工学
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 吉武 良治, 土屋 和夫
    1993 年 29 巻 4 号 p. 209-214
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    バックライトつきSTN液晶ディスプレイの見やすさの向上を目的とした評価を行った. 30名の被験者に対してSTN液晶ディスプレイを提示し, 好ましい表示モード (Positive 表示/Negative 表示), 輝度, コントラストに調節してもらった. そののち改善項目に関する評価を求めた. 評価は, あらかじめ抽出した液晶ディスプレイの見やすさの要因となる10項目に対して, 改善を要求するほうの項目を選択するという一対比較の手法を用いて行った.
    表示モードの好みは二分して, どちらが好まれるか特定できなかった. 好ましい輝度は個人差が大きく, 明部の輝度で13cd/m2から136cd/m2にわたり, Positive 表示のほうが Negative 表示より有意に高輝度に設定された. 見やすさの向上に関する評価の結果, Positive 表示は“画面のムラ”, Negative 表示は“映り込みや反射”と“画面のムラ”について特に不満度が高く, 今後の改善項目の指針を明確に得ることができた.
  • 福田 康明, 大久保 堯夫
    1993 年 29 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    従来, 習熟を評価する場合, 個別時間を平準化した習熟傾向や習熟率によって解析が行われている. しかし習熟を個別時間のばらつきから検討してみると, 習熟の初期にはばらつきが大きく, 習熟の増加とともにばらつきも減少する傾向がみられる.
    加えて, この習熟は作業内容や作業因子によって大きく異なると考えられる. そこで本研究は, 習熟過程における個別時間のばらつきを定量的に把握し, 評価する達成度の理論と傾向式を適用し, 作業内容や作業因子の異なる5種類の実験作業を実施し, 作業習熟を解析した. その結果, 達成度と傾向式による解析法は, 作業内容や作業因子が異なる場合でも, 習熟とともに個別時間のばらつきが減少する習熟の解析には有効であることがわかった. さらに傾向式によって習熟過程における諸特性値の関係を考察し, 習熟特性の評価を試みた.
  • 生活時間調査と質問紙調査の分析
    佐々木 司, 菊池 安行, 新藤 悦子
    1993 年 29 巻 4 号 p. 223-230
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本論文は, 病棟看護婦を対象として, 深夜勤時の仮眠の有無が勤務後の生活行動に及ぼす影響, および仮眠に対する意識を明らかにした. その結果, 深夜勤時にとられる仮眠は, (1) 深夜勤明けの昼間の睡眠時間を減らすことで, 他の生活行動を行う時間的な余裕を生じさせる, (2) 深夜勤明けの昼間睡眠, 夜間睡眠の睡眠愁訴を減少させる, (3) 深夜勤明けの昼間睡眠を介して, その後の夜間睡眠の睡眠時間, 就寝時刻を調整する効果があることが示唆された. また, これらの効果をもたらす仮眠時間を得るには, 少なくとも深夜勤時の休憩時間が60分以上必要であること, 仮眠取得者は, 勤務中の作業能率や眠たさの点から仮眠の効果を十分意識しており, 仮眠を効率よくとる工夫を行っていることが明らかになった.
  • 障害をもつ従業員の職場定着を妨げる要因について
    西口 宏美, 齋藤 むら子, 尾関 守
    1993 年 29 巻 4 号 p. 231-238
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    障害者の雇用を促進し, さらにその定着性を高めるために, 受け入れ側, つまり雇用主側に要求されるものは作業環境などの物理的環境の改善のみならず, 障害者をとりまく心理的環境などを広く認識できる視点であると考えられる. そこで本研究では,東京都内にある一般企業の人事担当者に対し, 障害をもつ従業員の職場定着を妨げる要因について, 自由回答による質問紙調査を行った.
    その結果, (1) 障害をもつ従業員をとりまく職場環境の問題, (2) 職場内におけるノーマライゼーションの啓蒙不足, (3) 障害をもつ従業員の作業能力・体力の問題, (4) 障害をもつ従業員の基礎的・専門的知識の不足, (5) 職場内におけるコミュニケーションの不足という5つの因子が抽出された. これらの5つの阻害因子についての対応策についても考察した.
  • 氏田 博士, 久保田 龍治, 河野 龍太郎
    1993 年 29 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    プラント運転員の緊急時における認知過程の解明を目的として, 実機運転員クルー6組に8種類の異常を模擬した事象に対応してもらう実験を, フルスコープの運転訓練シミュレータを用いて32回実施した. 認知過程を発話プロトコル解析やインタビューに基づき分析した. また, Rasmussen の意思決定モデルに基づき, 確率ネットワークで表現した認知過程モデルを用いて実験結果を整理するとともに, 様々な事象に対する運転員の認知過程の相違を評価できるシミュレーション方法を開発した. 実験結果とモデルシミュレーション結果の比較分析により得た主な知見をまとめる.
    (1) 事象のプラントへの影響の厳しさと事象の進展を待つ時間の余裕の相違により, また運転員の個性の相違により, 認知過程は大きく異なり, このため応答時間も異なる.
    (2) 認知過程で発生するフィードバックの回数の平均値と分散を事象ごとに設定し, シミュレーションすることにより, 運転員と事象による認知過程の相違を評価できる.
  • 氏田 博士, 久保田 龍治, 藤家 美奈子
    1993 年 29 巻 4 号 p. 249-257
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    プラント制御盤の設計では, 運転クルーのコミュニケーションを支援するマン-マンインタフェースの実現が望まれている. このため, 運転員の緊急時におけるコミュニケーション形態の解明を目的として, 実機プラントの運転員を被験者とし, 訓練用シミュレータを用いて実験した. 以下の4種類の手法を用いて運動クルーのパフォーマンスの定量的な分析を試みた.
    (1) 事象に対応するのに必要なタスクの達成度によるパフォーマンスの定量化
    (2) 認知過程と会話を接続するフロー図によるグループ思考の明確化
    (3) 運転員の行動フロー図によるタスクに対するグループ対応の明確化
    (4) 運転員間で有効に交換された情報量によるパフォーマンスの定量化
    この分析により, クルーのパフォーマンスの相違を評価でき, コミュニケーションの形態が4種類に大別できることを確認した.
  • 実用場面での操作特性
    徳田 哲男, 児玉 桂子
    1993 年 29 巻 4 号 p. 259-269
    発行日: 1993/08/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    既存の測定器に新たな装置を開発・導入した携帯型の押引力計と回転力計を使用して, 日常生活機器の設置性能や出荷性能を計測することで, 操作機器側の要求性能と使用者側の操作特性との対応関係について検討した.
    集合住宅に設置されている操作機器の使用状況についての調査では, 操作高はちょうどよいとした者が多数を占めたが, 操作力は公共の場所での設置機器において楽に操作できる機器が少なかった. これらの設置機器の操作に要求される操作高や操作力は, 80歳代高齢者群でのやりにくい操作高や最大操作力の水準に接近していた. スライディングスケールをもとに設置機器の操作高や操作力を評価すると, 操作高は最適操作高よりもかなり高めに設定されており, 要求操作力はまあまあ楽な操作力よりもかなり強い力を必要としていた.
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