人間工学
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47 巻, 6 号
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原著
  • 大橋 智樹, 酒井 幸美, 守川 伸一, Med HAFSI
    2011 年 47 巻 6 号 p. 235-243
    発行日: 2011/12/15
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    科学技術に対する社会的受容の向上は,その技術を社会システムの中に適応させるための重要なステップであり,そのためには,安心感の醸成が必要不可欠であろう.さまざまな産業において,技術の安全性に関する情報提供の実践活動は数多く行われているものの,その方略の是非,効果等について実証的に検証した研究は少ない.本研究では,原子力発電所に関する安全性情報の提供を模擬し,情報提供方略の違いが安心感に与える影響を検討した.安心感は,情報提供前,情報提供直後,情報提供1カ月半後の3回にわたって測定し,その変化を分析した.この結果,安心感は情報提供直後に急峻に向上するが,1カ月半後には最大で情報提供前のレベルまで低下することが明らかになった.また,安心感が三つのサブカテゴリから構成され,これらのサブカテゴリによって特性が異なることも明らかとなった.これらの結果は,情報提供者がどのような安心感の向上を目的とするかによって,その方略を変える必要性を示唆する.
  • -垂直跳びにおける下肢筋力の推定-
    西田 勇, 前田 正登, 川野 常夫, 白瀬 敬一
    2011 年 47 巻 6 号 p. 244-251
    発行日: 2011/12/15
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    近年,スポーツ工学や福祉工学,生産工学の分野において,スポーツにおける記録向上の新たな手法の提案やリハビリテーションの効率向上,さらには生産現場における作業環境の改善に応用する研究開発が活発に行われている.しかしながら,筋肉のモデルでは身体の運動制御に大きく関与している拮抗筋や二関節筋が考慮されていないことが多い.そこで本研究では拮抗筋や二関節筋の影響を考慮した筋骨格モデルに基づいた,下肢筋力の推定手法を提案した.また,提案した手法の妥当性を検証するため,実験参加者の下肢各筋肉の表面筋電位を計測しながら,垂直跳びを行ってもらい,提案手法を用いて推定される下肢各筋肉の筋活動レベルと表面筋電位の計測結果を比較した.実験結果より,提案した筋活動の推定手法は垂直跳びのような二次元の動作の解析において有効であることを示した.
  • 豊田 航, 土井 幸輝, 藤本 浩志
    2011 年 47 巻 6 号 p. 252-260
    発行日: 2011/12/15
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    本研究では,消費生活製品の操作性向上に適う凸バー及び凸点の寸法を明らかにすることを目指し,凸バーと凸点のエッジの曲率半径Rがそれらの識別容易性に及ぼす影響を評価することを目的とした.晴眼若年者10名(20.3±1.8歳,男性6名,女性4名)に実験の参加協力を得た.実験では,エッジのRを厳密に統制した凸バー及び凸点を,参加者に対して一つずつランダムに呈示し,刺激の形状を人差し指の触覚のみを用いて2肢強制選択により識別させた.実験の結果,凸点は,エッジのRが大きいほど,早く確信をもって正確に識別できることが明らかとなった.また,凸バーは,長辺と短辺の差が小さい条件においては,Rが大きいほど,誤って凸点と識別することが明らかとなった.一方,凸バーの長辺と短辺の差が大きい条件では,Rがいずれの寸法であっても,早く確信を持って正確に識別できることが明らかとなった.
  • 松本 悟志, 嶋脇 聡, 酒井 直隆
    2011 年 47 巻 6 号 p. 261-267
    発行日: 2011/12/15
    公開日: 2012/03/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,より少ない刺激ピン数で触覚情報を視覚障害者に伝達するために必要な呈示方法の基礎研究を目的としている.本研究では,10行×横8列の合計80ピンの触覚ディスプレイを試作した.そのピン動力源としてソレノイドを用いた.母指以外の8指をディスプレイに置き,動作したピンを感じ取ることにより,呈示された触覚情報を読み取ることができる.視覚障害者5名と晴眼者10名を対象に本装置の評価を行った.はじめに,呈示方法の最適条件を求めた.次に,文字情報伝達を学習前と学習後でどの程度正答率に差が出るかを求めた.測定結果より,視覚障害者は晴眼者と比較して,触覚認識能力がかなり敏感であることが示された.また,文字情報測定において,短時間の学習後に著しく正答率が上がることから,本研究で試作した触覚ディスプレイは,触覚情報の伝達に有効である可能性を示唆した.
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