日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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71 巻 , 9 号
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原著
  • 大矢知 昇, 尾花 和子, 木村 朱里, 羽田 真朗, 小山 敏雄
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2217-2221
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    膿瘍形成性虫垂炎に対し急性期は保存的治療を選択し,炎症消退後に待機的腹腔鏡下虫垂切除術を施行している.方法:1999年より2009年まで(11年間)の膿瘍形成性虫垂炎27自験症例を検討.結果:平均発症年齢は9.0±3.1歳.初回入院時白血球数は16,766±6,502/mm3,CRPは13.1±7.2mg/dlで抗生剤投与による保存的治療を開始.初回治療中にドレナージ施行例・虫垂切除術移行例はなかった.初回入院期間は15.4±5.3日であった.虫垂切除術までの待機期間は86.1±40.3日,この間5例に再燃を認めたが保存的治療で軽快.待機手術では腹腔鏡下虫垂切除術を原則とした.切除標本で器質性変化は24例に認め,壁肥厚,筋層菲薄化,糞石残存が含まれた.結論:膿瘍消退後に手術を行えば虫垂と周囲の癒着は軽減し腹腔鏡下虫垂切除術は安全に行い得る.虫垂には高頻度に器質性変化が残存するため再燃を予防するためにも待機手術が有用である.
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  • 村川 力彦, 増山 美紗, 山本 高正, 山本 和幸, 村上 慶洋, 新関 浩人, 北上 英彦, 須永 道明, 池田 淳一
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2222-2226
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    虫垂膿瘍に対しては手術が行われるのが一般的であるが,その手技は困難で,術後の合併症に難渋することも多い.近年,虫垂膿瘍に対して,保存的に治療を行ったのち,待機的に虫垂切除術を行うinterval appendectomyの報告が散見されるようになった.当院では,術後合併症を減らすため,2007年以降虫垂膿瘍症例に対する保存的治療を13例に施行した.絶飲食,抗生剤投与を行い,必要であれば経皮的ドレナージを行った.11例が抗生剤投与のみで改善したが,ドレナージを必要とした症例が1例,膿瘍の縮小に伴う腸閉塞を1例認めた.入院日数は中央値で8日であった.このうち8例に対してinterval appendectomyを施行したが,全例腹腔鏡下に行い,合併症なく4日以内に退院となった.また,回盲部切除術となった症例は認めなかった.虫垂膿瘍に対する保存的治療は安全で有効な治療法であり,また,待機的虫垂切除術も安全に施行可能であった.
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  • 杉本 起一, 丹羽 浩一郎, 小野 誠吾, 石山 隼, 高橋 玄, 小島 豊, 五藤 倫敏, 田中 真伸, 仙石 博信, 奥澤 淳司, 冨木 ...
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2227-2235
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    目的:StageII大腸癌の再発危険因子,予後予測因子について検討し,術後補助化学療法の効果について考察した.方法:根治度AまたはBの手術を施行したStageII大腸癌216例を対象に,臨床病理学的因子について検討した.結果:多変量解析では再発危険因子として,占居部位(Ra,Rb),深達度(SE,SI),静脈侵襲(v2,3)の3因子が,予後予測因子として,占居部位(Ra,Rb),深達度(SE,SI),リンパ管侵襲(ly2,3)の3因子が選択された.術後補助化学療法の予後に対する効果を検討すると,補助化学療法施行群では非施行群よりも全生存率が良好な傾向がみられた(P=0.08).また,再発に対する効果を検討すると,再発危険因子を有する症例においては,補助化学療法施行群は非施行群よりも無再発生存率が良好な傾向がみられた(P=0.08).考察:術後補助化学療法を施行することにより,再発や予後に対する効果が期待できる可能性が示唆された.
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  • 田畑 智丈, 藤村 昌樹, 佐藤 功, 舛田 誠二, 千野 佳秀, 沖田 充司, 弓場 孝郁
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2236-2242
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    目的:急性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy,LC)を行った症例を検討し,急性胆嚢炎の重症度別にLCの有用性と問題点を明らかにする.対象と方法:2004年6月から2009年11月までに筆者らの施設でLCを施行した急性胆嚢炎122症例を対象とした.対象を胆嚢炎の重症度と手術時期(早期手術例:early operation,E0と待機手術例:delayed operation,D0)で分類し,患者背景,手術成績,術後在院日数,合併症,病理組織検査結果などを検討した.結果:重症群64例(EO:43例,DO:21例),中等症群40例(EO:34例,DO:6例),軽症群18例(EO:14例,DO:4例)であった.開腹移行となった症例を重症DO群に2例認めた.「患者年齢」,「術前白血球数」,「術前CRP値」,「手術時間」,「出血量」は重症群で有意に増加した.「術後在院日数」は3群間に有意差を認めなかった.手術時期別に「手術時間」,「出血量」,「術後在院日数」を検討したところ,重症群ではEO例に比してDO例の「手術時間」と「出血量」が有意に増加し,中等症群ではEO例に比してDO例の「手術時間」が有意に増加した.重篤な術中合併症は認めなかった.術後合併症は重症群に6例(9.3%),中等症群に1例(2.5%)認めたが,いずれも保存的に軽快した.病理組織学的検査で重症群に進行胆嚢癌を5例認めた.結論:軽・中等症の急性胆嚢炎に対するLCの手術成績は非常に良好であり有用である.重症例では可及的速やかにLCを施行することで手術時間と出血量,開腹移行例を減少させると考えられるが,高い手術難易度と術前診断困難な胆嚢癌の問題があるため,慎重な対応が要求される.
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臨床経験
  • 鈴木 和志, 竹内 透, 小川 弘俊, 竹内 新治, 角田 伸行, 梛野 正人
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2243-2248
    公開日: 2011/04/01
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    2008年2月,HER2過剰発現が確認された乳癌患者に対してTrastuzumabの術後補助療法としての投与が承認された.再発治療におけるTrastuzumabの2mg/kgの毎週投与では安全性のデータは蓄積されているが,術後補助療法では6mg/kgの3週毎投与であり認容性に関して国内のデータは少ない.今回われわれはTrastuzumabを術後補助療法として投与した26例で,その副作用のひとつである心毒性に関し検討した.1年間の投与期間中に心不全の発症はなかったが,無症候性の心毒性を2例に認めた.対象中24例に心毒性のリスクファクターであるAnthracyclineの前治療がされていた.Trastuzumab投与終了後には心機能は回復しており心毒性は可逆的であった.Anthracyclineの前治療がある症例でもTrastuzumabの術後補助療法は慎重な心機能フォローのもと安全に施行できた.
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  • 奥野 清隆, 杉浦 史哲, 塩崎 均
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2249-2254
    公開日: 2011/04/01
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    標準療法抵抗性の再発大腸癌に対するがんペプチドワクチンと経口抗がん剤UFT/LV併用療法の第I相臨床試験を行い,安全性ならびに臨床効果を検討した.がんペプチドワクチンは1)テーラーメイド(TM)型(患者リンパ球の反応性の高いペプチド3~4種)2)大腸癌高発現(CR)型(網羅的遺伝子発現解析から得たがん関連抗原ペプチド2種)を用いた.TM型は14例,CR型は20例に施行したがいずれもGrade2以下の有害事象で,安全に施行しえた.また,RECISTでの腫瘍縮小(CR,PR)は得られなかったが病勢制御(SD)は46~83%に得られた.興味あることにいずれの研究においても免疫応答が強く得られた症例と全生存期間(OS)延長との間で有意な相関が得られ,最長例はいずれも1,000日以上生存している.がんペプチドワクチン療法は安全に施行可能で生存期間延長が期待出来る新たな治療法となる可能性がある.
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  • 矢本 真也, 諸冨 嘉樹, 山本 美紀, 裵 正寛, 田中 宏
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2255-2260
    公開日: 2011/04/01
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    背景:若年成人の鼠径ヘルニアは小児同様,腹膜鞘状突起の遺残に由来するものがほとんどで,安易に人工素材を用いた術式を適応することには疑問を覚える.小児領域で普及されている低侵襲術式である,laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure(LPEC)は後壁補強をしない術式であるが,若年成人症例での適応の可能性を示唆し,mesh plug法を施行した症例と比較検討した.対象と方法:16歳以降の症例20例に対しLPECを5例に,mesh plug法を15例に施行した.結果:LPEC群で平均22.2分,mesh plug群で平均74.2分とLPEC群で明らかな手術時間の短縮が認められた.疼痛コントロールに関してもLPEC群は良好であった.LPEC群で1例にNuck水腫の再発を認めたが,再度LPECで根治した.結語:内鼠径ヘルニアを否定できればLPECは小児のみならず若年成人においても手術時間の短縮,異物挿入不要,整容面からも有用と考えられた.
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症例
  • 山口 圭三, 池添 清彦, 本間 憲一, 磯本 浩晴, 入江 康司
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2261-2265
    公開日: 2011/04/01
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    症例は45歳,男性.咽頭炎症状が改善せず,当院内科を受診.内服処方を開始したが軽快せず,採血検査にて肝機能障害を認め,入院となった.入院7日目の朝から上腹部痛が出現し,ショック状態となった.腹部超音波およびCT検査の結果,脾破裂による腹腔内出血と診断し,血管造影下に塞栓術を施行した.塞栓術施行直後に心肺停止状態となり,蘇生したがその後再度心肺停止となり,再蘇生後緊急開腹手術を施行した.出血源は脾臓で被膜の脆弱化が顕著であり,脾臓を摘出した.抗体検査の結果からEBウイルスの初感染による伝染性単核球症と診断した.術後は血小板減少,凝固機能異常からDICを発症し,集中治療により救命したが,意識レベルの回復は認められなかった.1983年以降,脾破裂を合併した伝染性単核球症の本邦報告例は本症例が9例目であり,稀な例と考えられた.
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  • 日高 英二, 石田 文生, 遠藤 俊吾, 和田 陽子, 田中 淳一, 工藤 進英
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2266-2269
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.S状結腸癌に対してS状結腸切除術を施行し,術後縫合不全を併発したが,保存的に軽快し退院となった.しかし,瘻孔が再開通し,再入院となった.右内頸静脈から中心静脈カテーテル(CVC)を挿入し,高カロリー輸液にて保存的加療を行っていたところ,発熱,頸部痛が出現した.CVC感染を疑い,CVCを抜去したが,発熱,頸部痛は持続した.培養検査でCVC先端および血液からMRSAが検出され,さらにMRI検査にて頸椎の化膿性脊椎炎と診断された.MRSA感染による化膿性脊椎炎に対してリネゾリド(LZD)を投与し,炎症反応改善および脊椎炎の改善が認められ,保存的に治療が可能であった.MRSA感染による化膿性脊椎炎は手術療法を行うことが多いが,今回LZD投与により保存的加療が可能であった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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  • 池辺 孝, 西岡 孝芳, 堀池 正樹, 寺倉 政伸
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2270-2273
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性.右腋窩の腫瘤を主訴に当科を初診された.右腋窩に表面不整,易出血性,手拳大の腫瘤を認めた.CTで右腋窩に直径20mmのリンパ節腫大あり.肝臓,肺に転移を思わせる所見なし.以上より右腋窩リンパ節への転移を伴う悪性腫瘍と診断した.腋窩リンパ節転移巣を含めて腫瘍を切除した.病理組織学的所見では円形の核をもつ上皮様の腫瘍細胞が索状およびシート状の配列を示していた.腫瘍細胞は免疫染色でS-100蛋白に強く陽性を示しかつ,メラノソームを認めなかったことから類上皮型悪性末梢神経鞘腫と診断された.高齢であること,対側肢に脳梗塞後遺症による麻痺があることなどから追加切除は行わなかった.術後約9カ月目に局所の皮下に再発をきたしたため再切除を行った.
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  • 諸原 浩二, 設楽 芳範, 斎藤 加奈, 大澤 秀信, 保田 尚邦, 根岸 健
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2274-2278
    公開日: 2011/04/01
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    症例は87歳,女性.右側胸部痛を主訴に救急外来を受診した.来院時身体所見では,右側胸部に約7mm大の発赤を認めた.単純X線検査では右側胸部に線状陰影を認めた.胸腹部CT検査では,皮下を貫通し肝に達する線状高吸収域ならびに皮下気腫,右気胸を認めた.前夜に裁縫した寝巻きを着て就寝したことから,裁縫に使用した針の迷入が考えられた.透視下に金属針の除去を試みたが,呼吸性移動により胸腔内に迷入してしまったため,翌日鏡視下手術を施行した.腹腔側に向かって右横隔膜を貫通していた金属針を胸腔鏡下に除去した.腹腔側より肝表面を観察したところ,前区域の一部に小損傷を認めたが,出血や胆汁の流出などは認めなかった.術後経過は良好で,術後第7病日に退院となった.胸・腹腔内伏針に対する鏡視下摘出術は,低侵襲であり有用な選択肢の1つであると考えられた.
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  • 宮内 善広, 松原 寛知, 奥脇 英人, 國光 多望, 鈴木 章司, 松本 雅彦
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2279-2282
    公開日: 2011/04/01
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    75歳,男性.検診の胸部レントゲンで異常陰影を指摘され,精査にて右第3肋骨を主座とした最大径7cmの肋骨腫瘍と診断され当科紹介受診となった.画像上,軟骨肉腫や血管腫などが疑われ,FDG-PETで集積を認めたため,悪性の肋骨腫瘍を疑い切除を施行した.手術は後側方切開で行い,腫瘍および第3/4肋骨後方を含めて胸壁切除を施行した.病理診断は海綿状血管腫で,悪性所見は認められなかった.原発性骨腫瘍のうち約3割は悪性腫瘍であり,骨血管腫は約0.7%と比較的少なく,さらに肋骨原発の海綿状血管腫の報告はまれである.本症例では悪性所見の有無を確認するためFDG-PETを施行し集積を認めたが,結果的に良性腫瘍との診断を得た.海綿状血管腫では内部に出血と炎症を繰り返すとされ,そのために集積を認めたと考えられた.画像的に悪性疾患,特に肉腫が否定できない場合,術前の生検には慎重にならざるを得ない場合がある.
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  • 秋田 雅史, 浦島 恭子, 福島 宗一郎, 安藤 弘
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2283-2286
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.高血圧にて経過観察されていた.スクリーニングの心エコーを行ったところ右房内に10.5×9.5mmの可動性の高輝度腫瘍状のエコーが認められた.造影CTを撮ったところ右房内に下大静脈を圧迫するように直径28mmの陰影欠損を認めその中に高濃度域が認められた.腫瘍による塞栓,下大静脈を閉塞する恐れなどがあることから緊急手術を行うこととした.人工心肺使用下に右房内腫瘍を摘出.術後経過良好で第15病日に退院した.切除標本で腫瘍は中心部が石灰化した血液嚢腫であると考えられた.
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  • 山田 誠人, 板倉 裕子, 横田 憲一, 和田 直文, 横山 成邦, 遠藤 渉
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2287-2290
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性.腹痛にて近医を受診,診察中に一過性の意識消失を伴うショック状態となり,CTにて膵前面の占拠性病変と腹水を認めたため,急性腹症として当院へ救急搬送された.貧血と血性腹水を認め,腫瘍や内臓動脈瘤などからの出血が疑われたが,全身状態が安定しており経過観察とした.翌日貧血が進行したため,血管造影検査を施行し,中結腸動脈瘤破裂と診断,手術を行った.横行結腸間膜内の血腫と,中結腸動脈の左右の分岐部中枢側に2×1cm大の動脈瘤を認め,テストクランプによって腸管の血流が保たれることを確認し,腸管を切除せずに血管を結紮し瘤を摘除した.病理組織学的にはsegmental arterial mediolysis(SAM)の所見を認めた.術後の検索では,他に内臓動脈瘤は認めず,術後2年3カ月となるが,新たな動脈瘤の形成なく,経過観察中である.
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  • 中村 英司, 藤野 隆之
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2291-2295
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,セボフルランによると考えられた待期的腹部大動脈瘤手術中に発症した悪性高熱症例を経験した.医学中央雑誌にて「悪性高熱」・「セボフルラン」をキーワードに全年度で検索するとわずか4例の報告のみであった.よって,この非常に稀な疾患に対して経過および若干の文献的考察を加え報告する.症例は79歳,女性.腎動脈直下の腹部大動脈瘤に対して,セボフルランによる全身麻酔下で,待期的に腹部大動脈人工血管置換術・左腎動脈再建術を施行した.手術開始3時間後より,まず呼気終末二酸化炭素濃度の上昇を認め,その後,体温は39℃に達し,15分間で0.5℃以上の発熱上昇を認めた.他の諸症状も存在し悪性高熱と診断した.ダントロレンを使用し,これらの異常データは速やかに改善し,救命しえた.
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  • 清水 誠一, 山下 芳典, 向田 秀則, 平林 直樹, 多幾山 渉, 金子 真弓
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2296-2300
    公開日: 2011/04/01
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    近年,肺腺癌においてもinvasive micropapillary carcinomaについて報告されており,リンパ節転移や胸膜浸潤,肺内転移の頻度が高いことが報告されている.今回,われわれは多数のリンパ節に転移を認めた原発性肺癌の1例を経験した.
    症例は60歳,男性.胸部CTで右肺S6aに18mm大の腫瘤を認め,肺門リンパ節の腫大も指摘された.術前診断はT1N1M0 StageIIAの右下葉肺癌であった.術中まず針生検を行い,迅速病理で肺癌であることを確認し,胸腔鏡補助下右下葉切除+ND2aを行った.組織学的所見で,micropapillary pattern(MPP)を認め,縦隔リンパ節を含めた23/45のリンパ節に転移を認めていた.最終診断はpT1N2M0 StageIIIAであった.MPPを伴う肺線癌はリンパ節転移をきたしやすく,予後不良であり,十分に留意する必要がある.
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  • 河野 恵美子, 大野 喜代志, 山崎 芳郎
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2301-2304
    公開日: 2011/04/01
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    症例は68歳,男性.他疾患で近医を受診した際,胸部レントゲン写真にて異常陰影を指摘された.胸部CT検査でも右肺S6に10mm径の結節影を指摘され,3週間後のfollow up CTでは15mm大へ増大傾向を認めた.FDG-PET検査で同部位に異常集積を認め,SUV4.42で肺癌が疑われた.経気管支肺生検で腺癌が疑われたため,開胸術を施行した.術中病理検査で大細胞癌と診断されたため,右下葉切除術およびリンパ節郭清術(ND2a)を施行した.切除標本の病理組織学的診断は肺多形癌で腫瘍径18mm,病理病期はpT1N0M0,IA期であった.肺多形癌はまれな腫瘍で,術前診断が難しい.腫瘍増大速度が速く,早期の血管浸潤による遠隔転移をきたすことが多いため,腫瘍径が小さくても縮小手術より標準肺葉切除を行うことがのぞましい.自験例は腫瘍長径が18mmと小さく長期予後が期待されるが,今後厳重な経過観察が必要と考える.
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  • 岩永 幸一郎, 植田 真三久, 若原 鉄平, 仙崎 英人, 森本 真人
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2305-2309
    公開日: 2011/04/01
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    症例は65歳,女性.1カ月前より続く咳嗽を主訴に当院受診となった.胸部レントゲン写真にて右下肺野に異常影を認めたため精査目的で入院となった.胸部CTでは右肺S5に8×5cm大の不均一に造影される腫瘤を認め,エコー下針生検にて低分化癌と診断されたため手術となった.手術所見では腫瘍は心嚢に直接浸潤しており術式は右中葉切除術,心嚢合併切除術となった.病理組織学的には肺原発リンパ上皮腫様癌と診断され,病期診断はT3N0M0 stageIIBであった.腫瘍組織のEBER(EB virus encoded RNA) in-situ hybridizationは陽性でありEBウィルスとの関連が示唆された.現在術後5カ月が経過し無再発にて化学療法施行中である.
    本邦での肺原発リンパ上皮腫様癌の報告は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 大谷 裕, 岡 伸一, 倉吉 和夫, 河野 菊弘, 吉岡 宏, 金山 博友
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2310-2315
    公開日: 2011/04/01
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    症例は78歳,男性.2008年3月,検診にて胸部異常陰影を指摘され,喀痰細胞診にて肺癌と診断された.画像上大動脈弓への浸潤が強く疑われ,cStage IIIBの非小細胞肺癌と診断された.腎機能が低下していたため,platinum baseの化学療法施行が見合わされ,9月より放射線療法が開始された.治療中(44Gy照射終了時)に下痢,下血が出現し,原因精査目的で下部消化管内視鏡検査が施行された.回腸終末部に凝結塊を有す隆起性病変を指摘され,この病変よりの出血と診断され,同時に生検も行われたが確定診断されなかった.11月上旬,消化管病変の精査目的で当科へ紹介され,再度下部消化管内視鏡下に生検を行ったが確定診断には至らなかった.その後急激に腸閉塞症状を来たし,病変からの出血による貧血も増悪したため,症状緩和目的で病変切除を実施した.呼吸機能が悪く,腰椎+硬膜外麻酔下に開腹術を施行した.術後は早期から経口摂取が可能となり,貧血状態も改善した.切除標本の病理組織学的検査にて,肺低分化型腺癌の小腸転移と確定診断された.一般に肺癌の小腸転移はまれであり,中では低分化腺癌や大細胞癌の転移が多いとされる.予後不良で肺癌の末期状態であるが,まれに病変切除により症状緩和につながる例も経験する.小腸転移巣に対する外科治療に対しては当該各科との話し合いの下で,その適応について十分に検討されなければならないと思われた.
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  • 坂本 快郎, 知念 順樹, 南 一仁, 坂口 善久, 藤 也寸志, 岡村 健
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2316-2320
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.検診で胸部異常陰影を指摘され近医を受診,肺小細胞癌の診断にて治療目的に当センター紹介となった.PETにて左肺門部から縦隔リンパ節の他に,虫垂部にもFDGの高集積を認めた.腹部CTにて虫垂は壁肥厚を認め,その先端は嚢胞状に拡張しており,内腔の閉塞が疑われた.肺小細胞癌虫垂転移,原発性虫垂癌を鑑別診断として,穿孔の危険性を考慮し化学療法に先行して腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後病理検査にて肺小細胞癌虫垂転移と診断された.術後経過は良好に経過し,現在化学療法継続中である.肺小細胞癌虫垂転移は稀だが,本症例では術前に診断し無症状のうちに切除することが可能であったので文献的考察を加え報告する.
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  • 坂本 鉄基, 岩澤 卓, 細見 尚弘, 大西 直, 門田 卓士
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2321-2325
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    71歳,女性.C型肝炎,肝硬変,肝癌に対し治療中,2008年7月下旬から多量の右胸水による呼吸困難のため当院内科に入院,数回の癒着療法が無効のため同10月外科に紹介となった.腹腔造影CT,99mTc-macro aggregated albumin(MAA)シンチにて腹腔と胸腔の交通が確認されたため,同年11月胸腔鏡手術を行った.横隔膜に最大径10mmの薄壁嚢胞を数個認め,その他筋束に沿った数mmの小孔を数ヵ所に認めた.胸腔内を生理食塩水で満たしてから腹腔内に留置したカニューレから10mmHgで気腹を行ったところ,嚢胞内にエアの流入を認め,さらに横隔膜小孔の1カ所から気泡の発生を認めたため,同部と近接する嚢胞を含めた横隔膜を自動縫合器で切除した.術後2日目にOK-432による癒着療法を行い同3日目にドレーン抜去し,以降胸水の増加は認められなくなった.胸腔鏡下手術への気腹の併用は,低侵襲でより確実な交通部の同定を行うのに有用な方法と考えられた.
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  • 森脇 義弘, 加藤 真, 豊田 洋, 小菅 宇之, 鈴木 範行
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2326-2330
    公開日: 2011/04/01
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    症例は73歳,老人福祉施設で寝たきり,四肢硬縮し意思疎通困難の女性.外来継続診療中の施設協力病院に単純性腸閉塞で入院,外来担当医が継続して担当した.担当医が事実上の意思決定代理人と考えられる近親家族などと外来での経過も踏まえて十分話し,突然発症し容易な改善が見込まれる病態以外では本人も手術は希望しないであろうとの代理意思を提示され,協力病院も尊重する方針とした.イレウス管が挿入されたが腹腔内への逸脱が確認された.イレウス管による胃食道穿孔疑いとの説明後,再度,家族と本人代理意思を確認したところ緊急手術を希望した.予後の不確実性も了承の上で転院,緊急手術とした.手術診断は絞扼性腸閉塞と腹部食道穿孔で,絞扼部回腸切除,食道穿孔部単純閉鎖を施行し,第13病日に紹介元病院へ再転院となった.転院元病院担当医が家族との関係構築に成功していたため,緊急手術や再転院時に家族の同意や了解が容易に得られた.
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  • 篠田 公生, 勝浦 譽介, 寺本 修
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2331-2335
    公開日: 2011/04/01
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    症例は85歳,女性.下部消化管内視鏡前処置の下剤内服中に嘔吐し入院となった.腰部変形性脊椎症と神経因性膀胱の既往がある.上部消化管内視鏡を施行するも胃の変形が著明で前庭部へ挿入できず,上部消化管造影では胃底部,胃前庭部および十二指腸球部の縦隔内への脱出を認めた.胃前庭部および十二指腸球部が嵌頓した混合型食道裂孔ヘルニアと診断した.患者および家族が手術を希望せず,嵌頓腸管の完全閉塞や絞扼の兆候も認められなかったため保存的に経過観察した.入院から約3週間後に通過障害が自然軽快し,上部消化管造影では胃前庭部および十二指腸球部が腹腔内へ還納していた.上部消化管内視鏡は十二指腸下行脚までの挿入が可能となり,胃十二指腸の粘膜に明らかな異常を認めなかった.その後も通過障害を認めず退院となった.胃前庭部および十二指腸球部が嵌頓した混合型食道裂孔ヘルニアが自然還納した極めて稀な症例を経験したので報告する.
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  • 松山 悟, 光野 真由美, 山本 一博, 萩原 淳, 竹内 正昭
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2336-2340
    公開日: 2011/04/01
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    症例は69歳,男性.近医にて胃内に約10cmの胃石を指摘されコーラ溶解療法や内視鏡的砕石を試みられたが1カ月間,計5回の内視鏡下の治療でも2分割できたのみで摘出や自然排石は困難であった.当院に手術目的で紹介となりCTでは胃内に3個の胃石を認めていた.手術前日に再度コーラ溶解療法と砕石が試みられたが不成功に終わった.石は硬く腹腔鏡下手術で摘出することができると判断し手術に臨んだ.しかし,鉗子による把持で胃石が砕片化するため腹腔内落下の危険性を回避する目的で小開腹を施行し胃壁を腹腔外に釣り上げ胃石を摘出した.内科的治療後の胃石摘出術においては胃石が軟化している可能性があるため,小開腹が必要になる場合があると考えられた.
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  • 西野 豪志, 中村 敏夫, 志摩 泰生, 福井 康雄, 谷木 利勝, 堀見 忠司
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2341-2346
    公開日: 2011/04/01
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    Osler Weber Rendu病は皮膚・粘膜・内臓の多発性毛細血管拡張と拡張血管からの反復する出血を特徴とする遺伝性疾患である.Osler Weber Rendu病に伴う難治性再発性胃出血および脾動脈瘤に対して胃全摘,脾摘術を施行した1例を経験したため報告する.症例は74歳,女性.過去に鼻出血を繰り返し,Osler Weber Rendu病と診断されていたが,平成20年5月以降,胃出血を頻回にきたし,その都度,計10回もの内視鏡的止血術が繰り返されていた.今回も胃出血による出血性ショックの状態で当院に搬送され,内科的治療の限界として外科に紹介となった.内視鏡検査では胃全域に血管拡張病変を認め,胃体上部の拡張血管からの出血を認めた.CT検査で脾動脈瘤の存在も明らかになった.血管拡張病変は全域に渡るため胃全摘術,脾摘術を選択した.
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  • 村井 俊文, 三輪 高也, 高見 秀樹, 福岡 伴樹, 佐野 正明, 山村 義孝
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2347-2351
    公開日: 2011/04/01
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    症例1は13歳,男児.自転車のハンドルのグリップで臍上部右側を打撲し,当院救急外来を受診した.受診時のバイタルは安定していたが腹膜刺激症状を伴う腹痛を認めた.造影CTで外傷性十二指腸損傷または膵損傷を疑い,受傷後4時間後で緊急手術を施行した.術中所見で十二指腸水平脚の破裂(30×20mm)を認め,破裂部単純閉鎖と胃瘻腸瘻造設術を施行した.症例2は7歳,男児.ブランコより転落し前方の柵に腹部を強打し当院救急外来を受診した.CTで後腹膜気腫を認め,外傷性十二指腸損傷と診断し来院後3時間で緊急手術を施行した.術中所見で十二腸下行脚の破裂(25×20mm)と判明した.手術は破裂部単純縫合閉鎖と胃瘻十二指腸瘻造設術,外胆汁瘻造設術を施行した.外傷性十二指腸損傷は診断や術式選択が容易でなく,術後合併症に難渋する場合がある.小児外傷性十二指腸破裂の2例を経験したので文献考察を加えて報告する.
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  • 木村 雄, 寒川 玲, 中島 晋, 福田 賢一郎, 藤山 准真, 増山 守, 馬場 正道, 竹村 しづき
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2352-2357
    公開日: 2011/04/01
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    症例はvon Recklinghausen病の25歳,男性.腹痛を主訴に当院受診した.CTで大腸炎の所見および十二指腸および上部小腸に接する60×52mm大の分葉状の腫瘍を認めた.大腸炎に対して点滴加療を行い,腹腔内腫瘍に対して精査を行った.シングルバルーン小腸内視鏡で十二指腸上行部に粘膜下腫瘍を疑う所見を認めた.血管造影下CTでは十二指腸以外の病変は認めなかった.十二指腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)疑いの診断で開腹手術を行った.十二指腸上行部から横行結腸間膜内に管外性に発育する腫瘍を認め,十二指腸部分切除・端側吻合を行った.病理組織学的にはc-kit,CD34ともに陽性でGISTと診断された.von Recklinghausen病に合併した十二指腸GISTの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 増田 崇, 松本 敏文, 吉河 康二, 北野 正剛
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2358-2363
    公開日: 2011/04/01
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    症例は77歳,女性.糖尿病,高血圧にて加療中,血液検査にて肝胆道系酵素の上昇を指摘され,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部に潰瘍性病変を認め精査加療目的に当科紹介となった.ERCPでは下部胆管に高度狭窄を認めた.腹部造影CTでは周囲組織浸潤や遠隔転移は認めなかった.十二指腸乳頭部癌の診断にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では,十二指腸乳頭部に30×25mm大の腫瘤潰瘍型腫瘍を認め,病理組織検査では腺内分泌細胞癌,pT4(pDu3,pPanc2),pN1,P0,H0,M(-),stageIVaであった.術後早期に広範な多発肝転移をきたし,肝不全から多臓器不全に至り,術後51日目に癌死した.十二指腸乳頭部腺内分泌細胞癌はまれな疾患で,本邦では11例の報告のみであるが,術後急速に転移をきたす極めて予後不良とする報告が多い.本邦報告例とともに文献的考察を加え報告する.
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  • 岡本 明子, 松田 武, 金田 邦彦, 高松 学, 愛新 啓志, 川口 勝徳
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2364-2368
    公開日: 2011/04/01
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    症例は22歳,女性.小児期より間歇的腹痛発作を繰り返していた.平成21年12月これまでと同様の腹痛が出現し,嘔吐,血便も認め,当科紹介受診.腹部単純CTにて腸重積症と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹したところ,Treitz靱帯近傍から左側の骨盤内に至るまで,著明に拡張した空腸を認め,空腸空腸型の腸重積であった.Hutchinson手技で重積を整復したところ,Treitz靱帯から15cm肛門側の空腸に直径6cmの軟らかな腫瘤を認め,これが先進部となっていた.腫瘤を含めて空腸を15cm切除した.病理診断の結果は,異所性胃粘膜であり悪性所見はなかった.
    腸重積症は小児に好発し,成人に発症することは稀であるが,成人発症例では器質的原因のあることが多い.本症例は手術時は成人であったが,小児期から異所性胃粘膜が存在して同部を起点に腸重積状態を繰り返していたものと考えられた.繰り返す腹痛発作の一因として腸重積も考慮すべきと考えられた.
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  • 渡邉 純, 薮野 太一, 望月 康久, 高橋 正純, 杉田 昭
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2369-2372
    公開日: 2011/04/01
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    症例は14歳,男性.突然の腹痛,嘔吐を主訴に発症.翌日,腸閉塞の診断で入院となった.腹部CT検査で総腸骨動脈分岐より3cm尾側でwhirl signを認め,その尾側の骨盤内に限局的に拡張した腸管を認め,壁の浮腫像と造影効果減弱を認めた.以上より絞扼性イレウスを疑い,入院当日緊急手術を施行した.イレウスの原因検索のために腹腔鏡下に腹腔内を観察した.骨盤内に先端が盲端で赤黒色に変色し拡張した管状構造物を認めMeckel憩室の軸捻転と診断した.捻転部直上の下腹部正中で小開腹をおきMeckel憩室の楔状切除を施行した.若年者で開腹既往のないイレウスの原因としてMeckel憩室は常に念頭に置くべき疾患であるが,術前診断が困難であることも多い.本症例では,腹腔鏡下にMeckel憩室の捻転と診断,最小限の小開腹下で手術が可能であり,腹腔鏡が診断治療に際し非常に有用であった.
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  • 仲田 健男, 中林 幸夫, 鈴木 文武, 渡部 通章, 大塚 正彦
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2373-2378
    公開日: 2011/04/01
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    症例は70代,女性.1995年,小腸GIST(gastrointestinal stromal tumor)に対し小腸部分切除を施行した.2008年2月,健診の腹部エコーで腹部腫瘤を指摘され精査となった.腹部MRIのDWIBS(Diffusion weighted Whole body Imaging Background signal Suppression)で異常信号を呈する2.6×3.4cmの腫瘤を腹部大動脈左側に認めた.同年5月,GISTの後腹膜転移と診断し,imatinibを投与したが横紋筋融解症を認め中止した.その後,腫瘍切除し,術中所見と病理所見よりGISTの傍大動脈リンパ節転移と診断した.2009年2月,MRIのDWIBSにて,傍大動脈リンパ節転移の残存を認め,広範囲傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.病理でリンパ節2個に転移を認めた.術後1年以上となる現在,再発なく経過中である.今回,初回手術後13年で傍大動脈リンパ節のみに転移再発を認めたGISTの手術症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 平岡 俊文, 前田 佳之, 長谷 諭, 田原 浩, 布袋 裕士, 三好 信和
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2379-2382
    公開日: 2011/04/01
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    症例は81歳,女性.1週間程度前より右下腹部痛を認めていた.症状改善しないため,近医受診.腹部CTで腫大した虫垂と回盲部周囲膿瘍を認め,急性虫垂炎,回盲部膿瘍の診断で当院紹介となった.右下腹部に腹膜刺激症状,血液検査では高度炎症所見を認め,虫垂穿孔性腹膜炎,盲腸周囲膿瘍の診断で緊急手術を施行した.虫垂は一部壊死しており,穿孔を認めた.穿孔部周囲に膿瘍を伴い,膿瘍内に魚骨を認め,魚骨による虫垂穿孔性腹膜炎と診断した.術後,腹部CTを再検討すると,膿瘍内と思われる部位に線状構造物を認め,腹部CTで魚骨を指摘することが可能であった.魚骨による虫垂穿孔は,非常にまれであり,術前に診断することは非常に困難であるが,注意深い術前評価が必要であると思われた.
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  • 高垣 敬一, 村橋 邦康, 岸本 圭永子, 己野 綾, 西野 光一, 曽和 融生
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2383-2387
    公開日: 2011/04/01
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    症例は46歳,女性.食事中に義歯がはずれ誤飲した.翌日腹痛が出現したため,当院外来を受診した.その際右下腹部痛および,同部の圧痛と腹膜刺激症状を認めた.腹部単純X線写真で右下腹部に金属性の異物を認めた.腹部CT検査上,虫垂内腔に金属性の異物を認め,虫垂周囲の炎症所見を認めた.義歯が原因の急性虫垂炎との診断で緊急手術を施行した.術中所見上虫垂の発赤腫脹を認めたが,穿孔は認められず,虫垂切除術を施行した.摘出標本では,虫垂内に義歯を認めた.病理組織診は,壊疽性虫垂炎であった.虫垂内への異物迷入による虫垂炎はまれである.今回,われわれは虫垂異物(義歯)が原因となった急性虫垂炎を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 小倉 正治, 田中 信孝, 野村 幸博, 松本 尊嗣, 鈴木 良夫
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2388-2393
    公開日: 2011/04/01
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    症例は66歳,男性.2008年7月S状結腸穿孔にてS状結腸部分切除と,肛門側S状結腸を盲端として横行結腸双孔式人工肛門造設術を施行した.病理診断はS状結腸のアミロイドーシスによる穿孔であった.2009年10月腹痛を主訴に来院.S状結腸盲端穿孔による腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.S状結腸盲端の自動縫合器のstaple lineで弾け,穿孔をきたしていた.盲端部から下行結腸にかけて暗赤色に虚血性変化を示す部位が点在していたため,同部位を含む左半結腸切除を施行した.切除した結腸には前回手術と同様のアミロイド沈着を認め,ALアミロイド蛋白と同定され,消化管アミロイドーシスによる穿孔と診断した.消化管アミロイドーシスは,多くは無症状で,穿孔として発見される例は比較的少ない.自験例では消化管へのアミロイド沈着によって,2回の穿孔をきたした興味深い症例であり,報告する.
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  • 米山 公康, 伊藤 精彦, 田原 秀晃
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2394-2397
    公開日: 2011/04/01
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    内臓癌の皮膚転移は比較的稀であり,また大腸癌が皮膚転移をきたすことも多くはない.われわれは経過中に多発皮膚・皮下転移を認めた大腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は44歳,男性.上行結腸癌,肝転移,腹膜播種術後の多発皮膚・皮下転移に対して症状緩和目的に2回にわたり計4カ所の皮膚・皮下腫瘤切除を実施した.内臓癌の皮膚転移は病勢の進行した状態であり,全身転移の一症状として捉えられる.その予後は不良であるが,なかには長期生存例の報告もある.予後は不良ではあるが,患者のQOLを考慮し,漫然と放置するのではなく,症状緩和のためにも積極的な切除が望まれる.外科的切除による局所制御と化学療法による全身治療により予後の改善を期待したい.
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  • 大井 健太郎, 福本 陽二, 中村 誠一, 澤田 隆, 清水 哲
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2398-2401
    公開日: 2011/04/01
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    症例は46歳,男性.健診にて便潜血反応陽性を指摘され,当院内科受診.大腸内視鏡検査にて直腸Rbに直径12mmの中心陥凹を伴う表面平滑な隆起性病変を認め,生検にてカルチノイドと診断された.骨盤部CTにて右内腸骨動脈沿いに直径21mmと18mmの2個のリンパ節腫大を認め,転移を疑われた.平成18年2月に超低位前方切除術とD3郭清を行い,病理組織学的検査で深達度SMの直腸カルチノイド及び内腸骨リンパ節への転移陽性と判明した.術後4年経過した現在,無再発生存中である.直腸カルチノイドは腫瘍径が比較的小さなものであっても術前のリンパ節転移検索は必要であり,転移が疑わしい場合は大腸癌に準じた根治的切除が必要であると考えられた.
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  • 松川 啓義, 塩崎 滋弘, 高倉 範尚, 藤原 康宏, 大野 聡, 二宮 基樹
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2402-2405
    公開日: 2011/04/01
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    症例は31歳,産婦.出産直後に痙攣をきたし,呼吸停止,ショック状態となり心肺蘇生術を施行され救急搬送された.蘇生術にて意識・呼吸は回復した.精査にて羊水塞栓症と診断され,著明な凝固障害を認め産科的DICを合併していた.羊水塞栓症の治療が行われていたところ,腹腔内出血が出現増強し,腹部CTで肝外側区域表面から造影剤の腹腔内漏出があり,肝損傷に対して緊急手術を施行した.広汎な肝被膜下血腫の形成あり,被膜の破裂部位から腹腔内に出血をきたしていた.肝鎌状間膜付着部に肝実質の挫滅と湧出性出血があり,最初の肝損傷部位と推定された.止血術後に羊水塞栓症も軽快し術後12日軽快退院した.妊産婦の軟弱な肝は鈍的外力により損傷を受けやすく,また産科的DICの状態では出血が重篤化しやすい.救命上不可欠な心肺蘇生術により肝損傷をきたす可能性があり,蘇生後併発症および肝損傷の特殊な原因の一つとして念頭に置く必要がある.
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  • 仁平 芳人, 森嶋 計, 宮倉 安幸, 佐田 尚宏, 弘中 貢, 安田 是和
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2406-2410
    公開日: 2011/04/01
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    症例は85歳,男性.2004年に下行結腸癌,2005年に横行結腸癌の手術を他院で施行された.2006年11月直腸癌に対し低位前方切除術を当院にて施行,外来通院中の2007年6月,腹部CT検査で外側区域に不均一に造影される腫瘍と胆管の拡張を認め,胆管細胞癌が疑われた.同年11月,門脈臍部近傍までの胆管浸潤を認め,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査では中分化型腺癌が胆管上皮に沿って増生していた.免疫組織化学検査ではCytokeratin(以下,CKと略記)7陰性,CK20陽性で2006年摘出した横行結腸癌と組織像が類似し,その転移と診断した.画像診断が可能な胆管浸潤を伴う大腸癌肝転移は稀で,本邦では11例の報告を認めるに過ぎない.
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  • 笠木 勇太, 吉住 朋晴, 中島 明彦, 島松 晋一郎, 松浦 弘
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2411-2416
    公開日: 2011/04/01
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    肝未分化癌は極めて稀であり,症例報告が散見される程度である.今回われわれは発熱を契機に発見された肝未分化癌の1切除例を経験したので報告する.症例は61歳,男性.1週間程度持続する微熱にて前医を受診した.胸部CTを施行されたところ,偶然肝腫瘤を指摘された.肝膿瘍を疑われ当院紹介となり,抗生剤投与にて治療開始された.入院中は解熱を認めず,腹部造影CTおよびMRI,肝生検等の精査にて原発性肝悪性腫瘍が疑われた.肝S7亜区域切除術が施行され,病理診断にて肝未分化癌の診断となった.術直前まで認めていた発熱は術後6日目に解熱,腫瘍壊死組織からの発熱であったと考えられた.肝未分化癌には明確な定義がなく,病理診断にて同診断に至ることは極めて稀である.また,早期に血行性・リンパ行性転移を起こし予後不良とされている.本症例では治癒切除が可能であった.術後8カ月の時点では再発を見ていないが,厳重な経過観察が必要と考えられる.
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  • 長尾 祐一, 岡本 好司, 山内 潤身, 柴尾 和徳, 日暮 愛一郎, 山口 幸二
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2417-2423
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例1は53歳,女性.他院にて,1996年肝細胞癌(hepatocellular carcinoma,以下HCCと略記)に対して,肝切除術施行した.2001年S5再発に対して経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation,以下RFAと略記)を施行した.2006年10月AFP値の増加を認め,CT・MRI検査にて胸壁腫瘍および肝S5,S6,S7に再発腫瘍を認めたため当科紹介された.同年12月,肝S5・6・7開腹下マイクロターゼ凝固術,胸壁腫瘤摘出術施行し,中分化型肝細胞癌であり,胸壁穿刺経路播種と診断した.2007年2月胸壁播種再々発を認め,胸壁腫瘍,横隔膜・助骨合併切除術を施行した.症例2は65歳,男性.2003年前医にてS5のHCCに対してRFAを3回施行したが腫瘍のコントロールつかず,2006年2月当科紹介された.同年2月,肝右葉切除術施行した.同年11月CTにて胸壁の第9肋間にRFA穿刺部に一致して腫瘍を指摘され,同年12月開胸下に肋間腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査では,中分化型肝細胞癌であった.比較的稀な経皮的RFA後の穿刺経路播種をきたした2症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
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  • 木原 康宏, 横溝 博, 平田 稔彦, 福田 精二
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2424-2428
    公開日: 2011/04/01
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    症例は65歳の女性で,左上腹部痛を主訴に近医を受診.諸検査にて異常は認められないとされたが症状改善はなく,1カ月後よりspike feverが出現,精査加療目的に当院紹介となった.US,CT,MRIにて膵尾部に接する脾嚢胞性病変様の所見を認めた.膵癌,もしくは膵炎に起因したもの,あるいは脾原発の悪性リンパ腫などが鑑別にあげられた.開腹所見では膵尾部に脾臓,腎臓,結腸間膜に浸潤している腫瘤を認め,膵癌と診断し左腎臓,左副腎の合併切除を伴う膵体尾部切除術を施行した.術後病理組織学的診断では膵尾部癌の脾臓浸潤と脾臓の膵酵素暴露による好塩基性変化を認めた.膵疾患による脾合併症は比較的まれであり,膵尾部癌の脾浸潤による脾臓の凝固壊死は検索した限りでは報告例がなく,極めてまれであると考えられる.脾臓の部分的凝固壊死を契機に発見された膵尾部癌について文献的考察を加え報告する.
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  • 藤解 邦生, 今村 祐司, 中光 篤志, 香山 茂平, 上神 慎之介, 桒田 亜希
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2429-2432
    公開日: 2011/04/01
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    症例は76歳,男性.下腹部の違和感を主訴に当院内科受診し,両側鼠径部膨隆を指摘され,両側鼠径ヘルニアの診断にて当科紹介受診となった.腹部超音波にて両側膀胱ヘルニアを疑い,立位膀胱造影にて膀胱の脱出を確認した.以上より,両側膀胱ヘルニアと診断し,Direct Kugel法による根治術を施行した.ヘルニア門は両側とも恥骨結節の頭側に認め,II-1型であった.膀胱壁の血流障害は認めず,容易に還納された.両側から恥骨後面の剥離を十分に行い,恥骨と膀胱との間にDirect Kugel Patch®を挿入し修復した.術後膀胱造影で,脱出の消失を確認した.術中の膀胱損傷を防ぐために,術前診断は重要であり,腹部超音波や膀胱造影は診断に有用と思われた.膀胱損傷をきたしにくい形状,恥骨と膀胱の間に展開できる点,術後に偏移しにくい点,鼠径床が広く補強できる点で,Direct Kugel法は本症に有効と思われた.
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  • 河野 修三, 渕野 泰秀, 岩永 真一, 新居 かおり, 大谷 博, 山下 裕一
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2433-2438
    公開日: 2011/04/01
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    症例は80歳,男性.脳梗塞で近医入院中に腹部腫瘤を疑われ,精査加療目的にて当院紹介となった.精査でも確定診断には至らず,診断も兼ねた手術を施行した.腫瘍は膀胱前腔から腹膜前腔に存在し,表面平滑な小児頭大の巨大腫瘤を呈していたが,消化管や腸間膜との癒着は認めなかった.膀胱頂部と強固に癒着しており剥離は困難であったため,正中臍索を切離し,膀胱部分合併切除にて腫瘤を摘出した.免疫組織学的検査で尿膜管起源の低悪性度粘液性腫瘍の診断に至った.本疾患は非常に稀であり有効な治療法は確立されておらず,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 佐藤 拓也, 梁 英樹, 吉田 一成, 山下 由紀
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2439-2443
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    発症原因の異なる上腸間膜動脈症候群2例に対して十二指腸空腸吻合術を施行した.症例1:66歳,男性.3年ほど前より繰り返す嘔吐,腹痛,体重減少で来院.上部消化管造影検査と腹部造影CTで高度の胃拡張と十二指腸水平部の狭窄を認め上腸間膜動脈症候群と診断した.病悩期間が長いため手術の適応と考え十二指腸空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であった.症例2:77歳,男性.30年前に直腸癌に対して前方切除術を施行されている.今回2型横行結腸癌に対して左結腸切除術施行.術後9日目に嘔吐出現.上部消化管造影検査,腹部CTにて上腸間膜動脈症候群と診断.保存的治療で改善傾向なく,術後21日目に十二指腸空腸吻合術施行.再手術後の経過は良好であった.発症原因として症例1は体重減少による十二指腸周囲脂肪織減少が,症例2は前方切除後の左結腸切除術により上腸間膜根部の過伸展に伴ってSMAが尾側に偏位したことが考えられた.
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  • 星野 伸晃, 平松 和洋, 加藤 岳人
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2444-2448
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,男性.高血圧内服治療中であった.2008年9月,仕事のストレスから自殺を図り,降圧剤を大量に内服し当院へ救急搬送された.緊急入院後,低血圧に対して大量輸液・昇圧剤投与を行った.呼吸不全,腎不全も併発した.集中治療中であった第8病日に突然著明な腹痛が出現した.腹部CT検査にて腸管壊死を疑い,緊急手術を施行した.術中所見は便汁様腹水があり,バウヒン弁から60cmの小腸から横行結腸にかけて分節状・非連続的な腸管壊死と穿孔を認めた.壊死腸管を切除し回腸,横行結腸に人工肛門を作成した.術後経過は良好で,術後47日で軽快退院した.降圧剤大量服薬によるnonocclusive mesenteric ischemia (NOMI) の本邦報告例はみられないため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 山下 祐司, 安田 貴志, 河村 史朗, 島田 悦司, 奥村 修一, 藤田 昌幸
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2449-2452
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,女性.左下腹部に腫瘤を自覚し当院受診.腹部造影CT,MRI検査では下行結腸に接する9×7cmの境界明瞭で内部不均一な不整形の腫瘤を認めた.下行消化管造影検査では下行結腸中央部に壁外性圧排所見を認めた.後腹膜または下行結腸間膜原発の腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は下行結腸とその腸間膜および後腹膜に強く付着していたが後腹膜下筋膜前面での剥離授動が可能であったため結腸間膜原発と考えられた.腫瘍を含め下行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的には核異型の強い紡錘形の細胞が増生し,α-SMA(+),ビメンチン(+),CD34(-),c-kit(-),S-100(-)であり平滑筋肉腫と診断した.術後10カ月現在再発を認めていない.比較的稀な腸間膜原発平滑筋肉腫の中でも下行結腸間膜に発生したものは本症例が初であった.予後不良であるが病巣の外科的切除が基本であり,その改善に努める必要があると思われた.
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  • 篠崎 広嗣, 磯邊 眞, 津福 達二, 名嘉真 陽平, 田中 眞紀, 武田 仁良
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2453-2458
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は胃切除の既往のある73歳,男性.左上腹部痛出現.腹部超音波検査にて左上腹部腫瘤を指摘された.腹部MD(multidetector)CT検査にて空腸部に20mm長のhigh denseな線状陰影を伴う7.5cmの腫瘤形成を認め,魚骨による腹腔内膿瘍,穿通性腹膜炎と診断し入院となった.
    Free airや腹水貯留を認めない限局性病変であり,全身状態良好で患者の希望もあり,絶飲食と抗生剤による保存的治療を行った.腹痛は徐々に軽減し,follow up CTにて魚骨は残存するものの膿瘍は縮小し,経口摂取開始後も無症状で経過し,退院となる.そのまま保存的に経過観察したが,8カ月後には膿瘍は消失し,魚骨も6mmに短縮した.
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  • 森本 大士, 梶川 真樹, 伊藤 武, 高瀬 恒信, 中山 茂樹, 矢口 豊久
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2459-2463
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代,女性.人間ドックの腹部超音波検査にて上腹部腫瘤を指摘された.腹部超音波検査では,胃小弯と肝外側区域の間に直径5cmの腫瘤があり,脾臓よりややlow echoであった.腹部造影CT検査および腹部単純MRI検査では,densityおよびintensityはほぼ均一,造影効果は脾臓に類似していた.副脾を疑ったが,悪性リンパ腫,gastrointestinal stromal tumor(GIST)等の可能性も否定できず,腫瘤摘出術を施行した.直径5cmの硬い腫瘤の周囲に腫大したリンパ節が一塊となっていた.病理組織検査にてCastleman's diseaseを伴ったfollicular dendritic cell tumorと判明.本例は極めて稀な疾患であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 白石 廣照, 田島 弘, 安部 美寛, 西 八嗣, 八十川 要平, 本告 匡
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2464-2468
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    79歳女性,甲状腺腫瘤で経過観察していたところ,頸部リンパ節腫脹を認めるようになりリンパ節生検を行い,原発不明の転移性腺癌と診断された.全身検索を行うが原発巣は特定できず,病状の進行により死亡した.病理解剖を行うと,下腹部より後腹膜を這うようにして横隔膜下まで発育する腫瘍と傍大動脈リンパ節の著明な腫脹を認めた.組織学的には微細乳頭状構造を示して発育する漿液性腺癌を認めた.免疫組織化学的にはCA125(+)で,卵巣に異常を認めなかったことから,腹膜原発漿液性腺癌(微小乳頭癌)と診断された.微小乳頭癌は乳癌で報告されているが,腹膜原発性漿液性腺癌での微小乳頭癌の報告はこれまで無く,稀な症例と考えられたので文献的考察を加え報告する.
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  • 吉田 亮介, 高橋 健治, 折田 洋二郎
    71 巻 (2010) 9 号 p. 2469-2472
    公開日: 2011/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,男性.右鼠径部の腫脹と疼痛を主訴に当院を受診した.局所所見から右鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.CT検査にて回盲部から連続し盲端となる管状構造物を明瞭に描出し,虫垂がヘルニア内容であるAmyand's herniaと診断可能であった.還納は困難であったが炎症反応の上昇は比較的軽度で腸閉塞を認めず,待機手術可能と判断し翌日腰椎麻酔下に手術を施行した.ヘルニア内容は術前診断通り虫垂で,同一創にて虫垂切除術を施行した後iliopubic tract repair法にて修復した.術後経過は良好で術後4日目に退院となった.鼠径ヘルニアのうちAmyand's herniaは極めて稀であるが自験例では術前診断が可能で,full stomach等の危険因子を有する緊急手術を回避することができた.本疾患では緊急手術を必要としない症例が存在し,その診断の為には本疾患の可能性を考慮し術前検査を行うことが重要である.
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