複雑性尿路感染症に対する新規なキノロン系経口抗菌薬pazuflomcin (PZFX) の至適用量を検討する日的で, ofloxacin (OFLX) を対照薬とした群間比較試験を実施した。対象疾患は, カテーテル留置症例および前立腺術後感染症を除く, 尿路に基礎疾患を有する複雑性尿路感染症で, PZFXは1日300mg分3 (PZFX-300群) および600mg分3 (PZFX-600群), OFLXは1日600mg分3 (OFLX群) で7日間連続投与し, UTI薬効評価基準 (第3版) に準じて効果判定を行った。
1) 総投与症例数108例 (PZFX-300群36例, PZFX-600群39例, OFLX群33例) 中, 臨床効果の評価対象例はPZFX-300群31例, PZFX-600群28例, OFLX群26例計85例であった。
2) 総合臨床効果は, PZFX-300群84%(26/31例), PZFX-600群89%(25/28例), OFLX群77%(20/26例) の有効率であった。
3) 細菌学的効果は, PZFX-300群87%(41/47株), PZFX-600群90%(35/39株), OFLX群82%(32/39株) の消失率であった。
4) 副作用の発現率は, PZFX-300群6%(2/36例), PZFX-600群では認められず (0/39例), OFLX群6%(2/33例) で, 症状は投与中止または終了後にすべて消失した。臨床検査値異常変動は, PZEX-300群およびPZFX-600群では認められず (0/36例および0/37例), OFLX群で3%(1/32例) に認められた。概括安全度は, PZFX-300群97%(35/36例), PZFX-600群100%(37/37例), OFLX群97%(31/32例) であった。
5) 担当医判定による有用率は, PZFX-300群87%(27/31例), PZFX-600群81%(21/26例), OFLX群89%(24/27例) であった。
以上より, PZFX-300群とPZFX-600群の臨床効果, 細菌学的効果および安全性から, 複雑性尿路感染症に対する本剤の至適用量幅は1日300~600mg分3と考えられた。
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