日本化学療法学会雑誌
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45 巻, 8 号
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  • 検体尿量の違いにより生じる問題点
    鈴木 由美子, 石原 理加, 石井 由紀子, 中澤 ありさ, 出口 浩一
    1997 年 45 巻 8 号 p. 661-669
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    主として尿路感染症由来16菌種18株のヒト尿で作製した菌液に, β-ラクタム系 (β-lactams) 6薬剤とニューキノロン系 (NQs) 2薬荊を添加した「抗菌性物質含有尿」を対象とし, 使用方法の異なるdip-slideによる培養結果を比較して以下の結果を得た。
    1. MIC値≦6.25μg/mlを示した株を感性株, 同じく≧12.5μg/mlを示した株を耐性株としてまとめた結果では, いずれの薬剤においても耐性株を供試した場合には両方の培地には発育していたが, 感性株を供試した結果には大きな差が認められた。すなわち, 8薬剤の感性株の大部分はウリカルトE®には発育しないものの, ダイアスライド®には感性株がP<0.01の有意差をもって発育していた。
    2. 感性株における差は, 双方のdip-slideに接種する尿量がウリカルトEに比較してダイアスライドは1/100程度少ないことに起因すると考えられた。これにより, 薬剤含有 (残存) 尿をdip-slideで培養する際に, 検体尿量が多い場合には偽陰性が生じ得ることが示唆された
  • 安藤 慎一他
    1997 年 45 巻 8 号 p. 670-675
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    尿路感染症由来および腸内細菌叢由来Klebsiella Pneueniaeのキノロン薬耐性化率が近年漸増しており, 1994年分離株の中にはノルフロキサシンのMICが100μg/ml以上の耐性株も見出された。gyrA遺伝子上のキノロン薬耐性決定領域に相当する部分を含む329bpのDNA断片をPCRにより増幅し, Single Strand Confbrmation Polymorphism (SSCP) 法を用いて解析したところ, 調べた20株は5種類のパターンに分類された。これらDNA断片の塩基配列決定の結果, 20株中16株はgyrA変異株であり, SSCPパターンが同一のものは同一のgyrA変異を有していた。見出された変異は, Ser-83 (TCC)→Phe (TTC)(6株), Asp-87 (GAC)→Gly (GGC)(1株), Ser-83 (TCC)→Leu (TTG)+Asp-87 (GAC)→Asn (AAC)(1株) およびSer-83 (TCC)→Phe (TTC)+Asp-87 (GAC)→Asn (AAC)(8株) であった。調べた耐性株のうち3株については野生型gyrA遺伝子による形質転換によりキノロン薬感受性化したことから, gyrA変異が耐性の原因であることが確認された。
  • 藤田 欣一, 長町 幸雄, 鈴木 隆男
    1997 年 45 巻 8 号 p. 676-682
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (methicillin-resistant Staphylococcus aureus, MRSA) の世代時間 (generation time) とvancomycin (VCM) の抗菌力との関係を細菌学的な立場から検討を行った。その結果,
    1) VCMの抗菌力は菌の培養条件, すなわち対数期と定常期, 培養温度35℃ と30℃ の比較ではいずれも世代時間が長い条件下の方がより低濃度で菌の増殖を抑制した。
    2) 培地の条件を変えて臨床分離のMRSA 25株の世代時間とVCMの最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。世代時間は感受性測定ブイヨン (ニッスイ: STB) では平均1.8時間 (h)(1.3~2.8h) であ ったが, 培地の成分を1/2にした1/2STBでは2.1h (1.5~4.3h), 1/4STBでは4.0h (2.3~15.0h) と培地の条件が悪くなるほど長くなった。VCMのMICの感受性のピークは感性ディスク用培地N (ニッスイ: STA) では1.56μg/mlが21株 (84.0%), 1/2STAでは0.78μg/mlが21株 (84.0%), 1/4STAでは0.78μg/mlが23株 (92.0%) であり培地の条件が悪くなるほどより低濃度でMRSAの増殖を抑制した。また培地の条件は変えずに菌の培養温度を30℃ とした時のMICは0.78μg/mlが 24株 (96.0%) ともっとも多く, 35℃ の時の1.56μg/mlが21株 (84.0%) と比べて1/2の濃度で抑制した。つまりVCMの抗菌力は菌の世代時間が長くなる条件下ほど強い傾向がみられた。
    3) MRSA25株より一濃度ディスク法にて選んだ代表3株に対してimipenem (IPM) を作用させた時の増殖曲線を測定すると, 濃度依存性に世代時間が長くなり, その増殖に影響のみられる菌株に対するVCMの抗菌力は良好であった。また, かかる菌株に対してVCMとIPMの併用効果はより強かった。
    以上, VCMの抗菌力は菌の培養条件, 培地の条件, 併用する薬剤による世代時間の延長に伴い抗菌力が強くなった。
  • 季節変動要因と安全性・有効性の関係
    砂川 慶介, 岩井 直一, 豊永 義清, 加藤 達夫, 秋田 博伸, 黒田 龍彦, 村松 義明, 山口 清純, 杉山 博敏
    1997 年 45 巻 8 号 p. 683-697
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    コンプライアンスの向上を目指して剤型追加の承認を得たrokitamycin (RKM) ドライシロップ200の使用成績調査を実施し, 使用実態下での安全性・有効性に関し呼吸器感染症を中心に検討を行った。副作用については8, 991例中93例 (1.03%) に発現し, 季節的な変動はみられず, 承認時までの調査成績と有意差はみられなかった。副作用の内容は下痢等の消化器症状がもっとも多く, 重篤な副作用は見られなかった。相互作用の検討では, テオブイリンとその他の薬剤との併用例との間に有意差はなかった。有効性は8, 821例で検討し, 改善率は82.3%であり開発治験時の87.0%と大きな差は見られなかった。細菌学的検討は十分とは言えず, 使用に伴う耐性菌の出現に関する検討は不十分であったが, 臨床使用での有効率からは耐性菌の増加の懸念はないものと考えられた。以上の成績より, RKMは現在においても安全性が高く, かつ有用な薬剤であることが確認された。
  • 北里 一郎
    1997 年 45 巻 8 号 p. 698-700
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 市民生活と抗生物質
    1997 年 45 巻 8 号 p. 701-710
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 45 巻 8 号 p. 711-726
    発行日: 1997/08/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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