塩酸ロメフロキサシン (LFLX) の安全性, 特に光線過敏性反応の発現に影響をおよぼす要因および要因間の交互作用を患者要因 (性, 年齢, 基礎疾患, 合併症, 既往歴, 識業, 家屋立地条件など) および治療要因 (LFLXの1日使用量, 1日服薬回数, 使用日数, 総使用量, 併用薬, 薬剤服用歴など) から探索し, あわせて臨床効果についても検討した。LFLXの1日使用量, 使用期間および臨床効果の判定については主治医に一任し, 1991年10月から2年間にわたり特定の季節に偏らないように配慮して全国100施設から4,284例を収集した。臨床効果については, 主治医が判定不能とした237例を除く4,047例を評価対象として検討した。その結果, 臨床効果が著明改善または改善と判定された症例の割合 (改善率) は73.3%であった。安全性については再来なしの8例を除く4,276例を評価対象として検討した。その結果, 副作用あるいは臨床検査値異常は101例 (2.36%) に発現した。このうち光線過敏性反応は44例 (1.03%) にみられたが, その大部分は軽度または中等度で, 本剤の服薬中止により軽快した。光線過敏性反応は患者要因として, 60歳以上, 基礎疾患・合併症ありの症例に多く, 治療要因としては, 使用日数30日以上, 総使用量20g以上, キノロン服薬歴ありの症例に高頻度にみられた。その結果, 本剤については服用期間中には過度の日光曝露を避けるように患者を指導するとともに, 長期間使用は慎むことが必要である。
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