日本化学療法学会雑誌
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43 巻, 12 号
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  • 木下 智, 尾上 孝利, 大宮 真紀, 杉原 圭子, 松本 和浩, 多々見 敏章, 栗林 信仁, 山本 憲二, 村田 雄一, 石川 英雄, ...
    1995 年 43 巻 12 号 p. 1099-1103
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    歯性感染症におけるβ-lactam薬耐性機構を解析するため, 閉鎖性膿瘍や蜂窩織炎などから優位に分離されるPrevotella intermediaを用いて最小発育阻止濃度 (MIC) とβ-lactamase活性を測定し, β-lactgm薬耐性に果たすβ-lactalnaseの役割を検討した。根管起因の閉鎖性膿瘍患者の内容液より分離した細菌のうち生化学的性状試験とマイクロプレートハイブリダイゼーション法の結果を用いてP.intermediaと同定した169株 (症例A: 52株, B: 35株, C: 82株) を実験に供試した。MIC90を症例ごとに比較すると症例AおよびCではampicillin (ABPC) とcefaclorの値が大きく100~200μg/ml, ついでlatamoxef, ceftizoximeおよびcefteramの順に値が大きく, cefmetazoleとimipenemの値はβ-lactam薬以外の薬剤と同様に小さかった。症例BのMIC90は症例AとCより小さかった。β-lactamase活性は各症例により異なり, 症例Aでは基質ABPCおよび基質cefazolin (CEZ) の両分解活性が高く, 症例Cでは基質CEZの分解活性が高く, 基質ABPCの分解活性は低く, 症例Bでは両分解活性がともに低かった。供試菌株由来β-lactamaseは基質CEZのみを分解する場合および基質ABPCと基質CEZをともに分僻する場合が多数を占めていた。β-Lactamase活性とβ-lactam薬のMICとの関係を検討した結果, β-lactamase活性が高い菌株の多くはMICも大きい値を示した。しかし, β-lactamase活性が低いがMICが大きい菌株も一部でみられた。以上の事実は, 歯性感染症から分離されるP.intermediaのβ-lactam薬耐性機構には基質CEZの分解活性の高いβ-lactamaseが深く関与することを示唆しているが, それ以外の耐性機構の存在も検討する必要があると考えられる。
  • 高山 吉弘, 蘇武 建一, 大楢 直子, 原 哲郎, 益吉 眞次, 吉田 隆
    1995 年 43 巻 12 号 p. 1104-1109
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1990年から1993年までに全国各地の臨床材料より分離されたStreptocoocus Pneumonise 158株に対する経口セフェム薬cefditoren pivoxil (CDTR-PI) の抗菌活性体であるcefditoren (CDTR) の抗菌作用およびin vitroヒト血中濃度シミュレーションモデルにおける殺菌作用を他の経口抗菌薬のそれらと比較検討を行った。被験菌158株は, penicillin G (PCG) に対するMIC値が0.10μg/ml 未溝の感受性菌90株 (57%) とMIC値が0.10μg/ml以上を示すPCG耐性瀕68株 (43%) からなっている。これらPCG感受性株/耐性株に対するCDTRのそれぞれのMIC80は, 0.05/0.20μg/mlであり, cefdinir, cefberam, cefpodoxime, cefaclorおよびofloxacinのそれらはそれぞれ, 0.20/3.13μg/ml, 0.05/0.39μg/ml, 0.10/0.78μg/ml, 0.39/12.5μg/ml, 1.56/1.56μg/mlであった。In votroヒト血中濃度シミュレーションモデルにおけるCDTRは, PCGに感受性株および耐性株に対して強い殺菌作用を示し, 試験した経口抗菌薬のなかでもっとも強い殺菌作用を示した。
  • 副島 林造, 荒田 次郎, 堀尾 武, 小原 賢治
    1995 年 43 巻 12 号 p. 1110-1117
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    塩酸ロメフロキサシン (LFLX) の安全性, 特に光線過敏性反応の発現に影響をおよぼす要因および要因間の交互作用を患者要因 (性, 年齢, 基礎疾患, 合併症, 既往歴, 識業, 家屋立地条件など) および治療要因 (LFLXの1日使用量, 1日服薬回数, 使用日数, 総使用量, 併用薬, 薬剤服用歴など) から探索し, あわせて臨床効果についても検討した。LFLXの1日使用量, 使用期間および臨床効果の判定については主治医に一任し, 1991年10月から2年間にわたり特定の季節に偏らないように配慮して全国100施設から4,284例を収集した。臨床効果については, 主治医が判定不能とした237例を除く4,047例を評価対象として検討した。その結果, 臨床効果が著明改善または改善と判定された症例の割合 (改善率) は73.3%であった。安全性については再来なしの8例を除く4,276例を評価対象として検討した。その結果, 副作用あるいは臨床検査値異常は101例 (2.36%) に発現した。このうち光線過敏性反応は44例 (1.03%) にみられたが, その大部分は軽度または中等度で, 本剤の服薬中止により軽快した。光線過敏性反応は患者要因として, 60歳以上, 基礎疾患・合併症ありの症例に多く, 治療要因としては, 使用日数30日以上, 総使用量20g以上, キノロン服薬歴ありの症例に高頻度にみられた。その結果, 本剤については服用期間中には過度の日光曝露を避けるように患者を指導するとともに, 長期間使用は慎むことが必要である。
  • 荒田 次郎, 秋山 尚範, 中北 隆, 赤木 理, 下江 敬生, 上枝 万純, 妹尾 明美, 松浦 能子
    1995 年 43 巻 12 号 p. 1118-1121
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacinの皮膚科領域感染症に対する臨床的検討を実施した。対象患者は第1群6例 (毛嚢炎3例, 膿疱性座瘡3例), 第II群5例 (癌3例, 癌腫症2例), 第VI群8例 (熱傷の二次感染5例, その他の二次感染3例) の計19例であった。薬剤は1回100mgまたは200mgを1日2または3回, 3~8日間経口投与した。臨床効果は, 著効13例, 有効3例で有効以上の有効率は84.2%であった。副作用および臨床検査値異常の発現は認められなかった。
  • 関根 譲, 塚口 敏之, 寺田(櫻井) 千寿子, 有沢 幹雄
    1995 年 43 巻 12 号 p. 1122-1124
    発行日: 1995/12/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口セフェム剤であるcefbtamet pivoxil (CEMT-PI) のEscherichia coliを用いたマウス実験的子宮内感染症に対する治療効果を, cefteram pivoxil (CFTM-PI) と比較検討した。3.5×103cfu/uterusの菌量を接種後, 無投与群の子宮内生菌数は20時間で約4×107 cfu/uterusに違していたが, CEMT-PIおよびCFITM-PI投与群では, 用量依存的に菌数の減少が認められた。両剤の比較では, CEMTおよびCFTMのE. coli RC4株に対するMICは各々0.2μg/ml, 0.39μg/mlと同程度の抗菌活性であるが, 子宮内生菌数は0.5mg/mouseでCEMT-PI投与群はCFTM-PI投与群の約1/10, 2mg/mouseでは約1/20, 8mg/mouseでは約1/1,300であり, 明らかに, CEMT-PIはCFTM-PIより優れた (P<0.001) 治療効果を示した。以上の結果より, CEMT-PIによる子宮内感染症の有効性が示唆された。
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