Piperacillin (PIPC) はPRSPを含む
Streptococcus pneumoniaeやBLNARを含む
Haemophilus influenzaeに優れた抗菌力を有する。このことを臨床的に検証するため,
S. pneumoniaeや
H. influenzaeが起炎菌と考えられる肺炎や慢性呼吸器疾患の二次感染に対するPIPCの臨床的有効性を検討した。
今回の結果は, 臨床効果が全体で98.4%の有効率を, また
S. pneumoniaeおよび
H. influenzaeの起炎菌別消長がそれぞれ92.9%, 95.8%の消失率を示し, PIPCの有効性を示す結果であった。細菌学的効果は単数菌感染で96.9%(うち,
S. pneumoniae100%,
H. influenzae93.8%), 複数菌感染で84.2%, 全体で92.2%が陰性化していた。
今回検出された
S. pneumoniae, H. influenzaeに対するPIPCのMICは,
S. pneumoniaeではMICrangeが≦0.06~4μg/mL, MIC
90が4μg/mLであり,
H. influenzaeではMICrangeが≦0.06~8μg/mL, MIC
90が0.25μg/mLであった。PISP, PRSP, BLNARに対する抗菌力は, PISP+PRSPのMIC
90が4μg/mL, BLNARのMIC
90, が0.25μg/mLであった。
以上のことより, PIPCはPISP, PRSPを含む
S. pneumoniaeとBLNARを含む
H. influenzaeによる市中肺炎や慢性呼吸器疾患の二次感染に対して臨床的に有効な薬剤であることが示された。
S. pneumoniaeや
H. influenzaeは市中肺炎や慢性呼吸器疾患の二次感染の起炎菌である確率が高く, この意味から考えるとPIPCは市中肺炎や慢性呼吸器疾患の二次感染のエンピリックセラピーに適した抗菌薬といえよう。
抄録全体を表示