日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
53 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 三本木 祐美子, 大崎 有美, 前田 久美子, 鈴木 貴久, 片岡 裕史, 井田 孝志, 石川 みどり, 生方 公子
    2005 年 53 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    インフルエンザ菌に対する各β-ラクタム系薬の抗菌力および耐性化の影響に関する特徴とその位置づけを明らかにすることを目的に, その耐性機序に基づいたβ-ラクタム系薬の抗菌プロファイルをクラスタリングの手法を用いて解析した。2000~2001年に分離された215株を, 耐性に関与するpenicillinbinding protein (PBP) 3にみられる5箇所のアミノ酸変異 (377 [Met→IIe], 385 [Ser→Thr], 389 [Leu→Phe], 517 [Arg→His], 526 [Asn-Lys]) パターンにより6群に分類し, また, それぞれの菌株に対するMICをβ-ラクタム系薬: 24薬剤について測定した。各群におけるMIC幾何平均値によるクラスタ-分析では, 抗菌力の強さが主に反映され, 比較的強い抗菌力を有するmeropenem, tazobactam piperacillin, cefditoren (CDTR) 等が同一のクラスターに分類された, また, 各群における各薬剤のMIC上昇率によるクラスター分析では, おおむねカルバベネム系, ペニシリン系, セフェム系といった母核ごとに大きなクラスターに分類された。しかしながら, セフェム系薬は7位側鎖の構造の違いがクラスタリングに反映され, cefazolin, cefaclor, ceftazidimeは他の多くのセフェム系薬と異なるクラスターに分類された。また, CDTRは7位にaminothiazole基を有するにもかかわらず, やはり他とは異なるクラスターに分類され, それは本薬がPBP3のアミノ酸変異の影響を受けにくい特性を有しているためと考えられた。今回試みた薬剤のクラスタリングはインフルエンザ菌に対する抗菌力の強さと耐性化の影響の両者が反映されており, さらにその薬剤の類似性を数値距離として示すことができた。
  • 吉田 正樹, 柴 孝也, 細谷 龍男
    2005 年 53 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ルシフェリン・ルシフェラーゼ試薬を用いた化学発光法は菌体内ATPを短時間で測定できる。この化学発光法を用いた薬剤感受性検査も短時間で測定可能である。臨床分離株3菌種45株 (MSSA15株, MRSA15株, Pseudomonas amiginosa 15株) を用いて, 各種薬剤中の細菌の増殖および薬剤感受性検査を測定し, 標準法との比較を行った。MSSAではampicillinのMICは化学発光法と標準法での一致率は60%と低く, さらにofloxacinでは20%と低値であった。Ampicillinとofloxacinを除く薬剤では高い一致率を認めたMRSAでは試験薬剤すべてにおいて高い一致率も認めた。P.aeruginosaでは一致率が低かった。抗菌薬の種類, 細菌の種類により標準法と化学発光法の一致率に違いが認められた。抗菌薬と菌種を選べば, 化学発光法による薬剤感受性検査は短時間に結果が得られ, 標準法と一致率が高く, 標準法の代用となりうる。標準法との乖離は認められる菌種, 薬剤もあり, 実際に臨床検査として臨床像に一致する検査法であるかはこれからの研究を待たなければならない。標準法より臨床経過を反映する検査法になる可能性もあり期待される。
  • 杉田 麟也
    2005 年 53 巻 2 号 p. 134-141
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性細菌性副鼻腔炎に対するgatmoxactn (GFLX) の有用性を, 薬剤感受性試験, 臨床効果, 安全性, 組織移行性から検討した。GFLX投与前に中鼻道から膿性鼻汁を採取し, 分離されたStreptococcus pneumoniae 17株に対するGFLXの抗菌活性を調査したところ, MIG90は0.5μg/mLであり, levofloxacin (LVFX), clavulanic acid amoxicillin (CVA/AMPC), cefcapene (CFPN) のMIC90: 1μg mLよりも強い抗菌活性を有していることが確認された。Haemophilus influenzae 10株に対しては, フルオロキノロン系抗菌薬 (GFLX, LWX) がMIC90: ≦0.06μg mLと最も抗菌活性が強く, Moraxella catarrhalis 11株でも, フルオロキノロン系抗菌薬が最も強い抗菌活性を有していた (MIC90: ≦0.06μg/mL)。GFLXの臨床効果では, 著効率は21.6%, 有効率は86.3%と高く, 安全性についても, 全例において低血糖は認められず, 重篤な副作用も認められなかった。また, 膿汁中のGFLX濃度を投与1~12時間後に測定したところ, 0.69~7.04μg gであり, 今回分離されたS.pneumoniae, H.influenzae, M.catanhalisのMIC90を十分に超える濃度が膿汁に移行しており, 優れた組織移行性が認められた。
    以上のことから, GFLXは急性細菌性副鼻腔炎に対して, 良好な臨床効果が期待できる薬剤であると考えられる。
  • 宇野 芳史
    2005 年 53 巻 2 号 p. 142-150
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2003年2月から5月までの間に, 当院を受診した成人急性副鼻腔炎症例に対し, Gatifloxacin (GFLX) を用いて治療を行い, その臨床的検討を行うとともに, 検出された細菌のうちStaphylococcus aureus, Streptococcus pneuntoniac, Haemophilus influenzae, Streptococcus pyogenes, Moraxella catarrhalisに対する薬剤感受性の検討を行ったので報告する。
    この期間に, 当院を受診した成人急性副鼻腔炎症例は98人であり, 脱落症例を除く82症例で臨床的検討を行った。
    GFLXは1回100mg2錠を1日2回7B間投与し, 以下の結果が得られた。
    (1) 臨床的有効度は, 軽症症例1214 (85.7%), 中等度症例3740 (92.5%), 重症症例2228 (78.6%) であり, 全体としては7182 (86.6%) の有効率であった。また, 全体的な有効性の程度は, 著効62症例, 有効9症例, やや有効6症例, 無効5症例であった.
    (2) X線所見に基づく有効性は, 著効35症例, 有効20症例, やや有効13症例, 無効14症例であり, 有効率は68/82 (82.9%) であった。
    (3) 主な検出菌のMIC, はHaemophilus influenzaeが≦0.03μg/mL, Moraxella catarrhalis が0.12μg/mL, Streptococcus pneuntoniacStreptococcus pyogewesが0.5μg mL. Staphylococcus aureus が4μg/mLであった。
    (4) 明らかな副作用は, 今回の検討中認められなかった。
    今回の検討より, GFLXは成入の急性副鼻腔炎に対し有効な抗菌薬であると考えられた。
  • 牧 圭司, 山田 俊朗, 阿部 典生, 平岩 徹, 橋本 茂一, 筒井 義明, 山形 京子
    2005 年 53 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2005/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    注射用ニューキノロン系抗菌薬であるpazunoxacin mesilateの「市販直後調査」を2002年9月2日から6カ月間にわたり実施した。調査期間中は安全性情報を高感度に収集するために, 1カ月ごとに副作用の収集状況を掲載した中間集計資料を医療関係者に提供し, さらに調査終了後に6カ月分の集計成績を提供した。
    本市販面後調査の期間中に, 本薬の副作用を180例 (203件) 収集した。このうち重篤なものは40例 (43件) であった。重篤な副作用の主なものは, 痙攣5件, 強直性痙攣1件, 間質性肺炎2件, 偽膜性大腸炎2件, 肝機能異常4件, 肝障害3件, 肝不全1件, 薬剤性皮膚炎3件, 横紋筋融解症2件, 急性腎不全2件, 無尿1件, 腎不全1件, 血小板減少3件, 血小板減少症1件であったなお, 収集した副作用の大部分は他のニューキノロン系抗菌薬に共通してみられるものであった。
  • 2005 年 53 巻 2 号 p. 159
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 2005 年 53 巻 2 号 p. 160
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
feedback
Top