日本化学療法学会雑誌
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52 巻, 2 号
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  • 炭山 嘉伸
    2004 年 52 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    外科の歴史は, 感染との闘いの歴史である。感染のリスクは, 術前・術中・術後に存在し, 周術期感染症と捉えられる。特に, 手術操作や手術に付随する患者管理手段に関連して術後に発生する術後感染症は, もっとも多くみられる術後合併症であり, これをいかにコントロールするかが手術成績の向上を大きく左右するといって過言ではない。一般に, 術前に感染症を合併しない患者においても, 術後には予防的に抗菌薬が投与される。従来, 強力で広領域の薬剤が, 大量に長期間投与される傾向にあった。抗菌薬に対する誤解・過信・盲信による不適切な予防的投与は, その弊害としてMRSAを代表とする多剤耐性菌を生み出す結果を招いた。この反省を契機として, 抗菌薬の使用法の見直しがなされ, 腸内細菌叢をはじめとする常在菌の温存を十分に考慮した, 手術の汚染度に応じた適切な選択と適正使用法の重要性が強調されてきた。外科あるいは化学療法関連の学会におけるディスカッションとコンセンサスを経て, 現在抗菌薬の適正使用法に関するガイドライン「抗菌薬療法の手引き」が制定されるに至った。そのポイントは, (1) 予防薬としては, 感染の原因 (と予想される) 菌にターゲットを絞り, 目標とする汚染菌に十分な抗菌力をもち, かつ常在細菌叢の恒常性を保ち菌交代現象や耐性菌の出現しにくい薬剤を選択する。(2) 感染症の「予防薬」と「治療薬」とを明確に区別する。予防的抗菌薬は, 術直前から投与開始し投与期間を3, 4日の短期間にとどめ, 予防効果が認められない場合は, 治療薬としての抗菌薬に切り替える。すでにCDCのガイドラインでは, 予防的抗菌薬に関する勧告が出されている。しかし, ただ単にこれを鵜呑みにしてそっくりそのまま本邦に導入するには問題がある。今後は, 臨床比較試験を早急に実現し本邦独自のRCTによる精度の高いエビデンスを確立することが, われわれ外科医に課せられた大きな課題である。
  • 宇野 芳史
    2004 年 52 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    2001年4月から12月までの9か月間に当院で治療した小児急性中耳炎症例300例の鼻咽腔から検出されたStreptococcus pneumoniae 418株についてPCRを用いてpenicillin binding proteinの変異およびマクロライド耐性遺伝子の出現について検討を行った。検討を行った遣伝子は, 1) LytA遣伝子, 2) pbp 1a遺伝子, 3) pbp 2b遺伝子, 4) pbp 2x遺伝子, 5) ermB遺伝子, 6) mefA遺伝子である。検出されたS. pneumoniaeの内訳は, PSSP 34株 (8.1%), PISP 147株 (35.2%), うち, pbp 1a単独変異1株, pbp 2b単独変異4株, pbp 2x単独変異73株, pbp 1a+pbp 2b変異0株, pbp 1a+pbp 2x変異44株, pbp 2b+pbp 2x変異25株, PRSP 237株 (56.7%) であった。マクロライド耐性遺伝子については, ermB遺伝子単独保持株は143株 (35%), mefA遺伝子単独保持株は131株 (31%), 両者保持株は13株 (3%), いずれの遺伝子も保持していない株は131株 (31%) であった。また, pbp遺伝子変異とマクロライド耐性遺伝子の出現については, PSSPではマクロライド耐性遺伝子を保持している株は14.4%, PISPでは61.2%, PRSPでは81.0%とpbp遺伝子の変異が多くなり耐性度が増すにつれてマクロライド耐性遺伝子の検出率も増加していた。年齢との関係では, PISPとPRSPを合わせたものは, いずれの年齢においても80%以上の耐性化率であった。また, わが国で問題となっているpbp 2x単独変異株は, PISP147株中73株 (49.7%), 全体では418株中73株 (17.5%) であった。
  • 福田 淑子, 高畑 正裕, 満山 順一, 南 新三郎, 戸塚 恭一
    2004 年 52 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Pazufloxacin mesilate (PZFX mesilate) は, ciprofloxacin (CPFX) に比べCmaxは高く, T1/2が短いという特性を有する新規注射用ニューキノロン薬である。今回, 緑膿菌によるマウス全身感染モデルに対するPZFX mesilateの分割投与時, 遅延投与時および高菌量感染時の治療効果を, CPFXおよびceftazidime (CAZ) と比較し, その生体内効果と関連するpharmacokinetic/pharmacodynmic parameterについて検討し, 以下の結果を得た。
    1) 1, 2および4回背部皮下投与時のPZFX mesilateの50% effective dose (ED50値) はそれぞれ0.0991, 0.161および0.239mg/mouseであり, 分割投与により有意 (P<0.05) に上昇した。CPFXのED50値も有意 (P<0.05) に上昇したが, CAZのED50値は有意 (P<0.05) に減少した。
    2) 分割投与時のED50値における血清中のPZFX mesilateおよびCPFXのCmax/MICは投与回数にかかわらず, それぞれ一定であった。また, 各投与回数時における両薬剤のAUC0-24h/MICはそれぞれ類似した値を示した。CAZの両パラメーターは, 投与回数に応じて減少した。
    3) 感染7時間後に治療を開始した場合, PZFX mesilateおよびCPFXのED50値はそれぞれ2.20倍および7.11倍に, 高菌量感染時のED50値はそれぞれ35.3倍および53.6倍に上昇し, その程度はPZFX mesilateに比べCPFXの方が大きかった。
  • 織田 慶子, 池永 昌昭, Kenji Masunaga, 大津 寧, 津村 直幹
    2004 年 52 巻 2 号 p. 82-85
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1997年6月から2000年7月までに久留米大学小児科で分離した緑膿菌114株の薬剤感受性と血清型, カルバペネム耐性遺伝子IMP1を検討した。検討した抗菌薬のうちもっとも抗菌力が良好であったのはmeropenemであった。セフェム系薬の耐性化は著しく, もっとも良好な抗菌力を示したcefepimeでさえMIC90は64μg/mLであった。それに比しアミノ配糖体に対しては比較的感受性菌がみられた。血清型は呼吸器由来株でA型が23株, D型が12株, 他の分離部位では特に有意な傾向はみられなかった。114株中IMP1は17株陽性で, そのうち3株は血液由来であった。血液由来株は全部で8株で, 4例より分離され, 同一患者に異なる菌による再感染がみられた。幸いにもこの時期には多剤耐性菌はみられなかった。
  • 2004 年 52 巻 2 号 p. 86-141
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 52 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2004/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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