8-メトキシキノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX, AM-1155) の肺炎に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, levofloxacin (LVFX) を対照薬として二重盲検比較試験を実施した。GFLXは1回200mg1日2回, LVFXは1回100mg1日3回, いずれも14日間投与とした。得られた成績は以下のとおりであった。
1) 検討対象例数は226例 (GFLX群115例, LVFX群111例) で, 臨床効果の解析対象例は, 200例 (GFLX群100例, LVFX群100例) であった。
2) 臨床効果は, GFLX群98.0%(98/100), LVFX群95.0%(95/100) の有効率であり, 同等性の検証の結果, 両薬剤群の臨床効果は同等であった。なお, 両薬剤群間に有意差はみられなかった。
3) 細菌学的効果は, GFLX群100%(39/39), LVFX群87.5%(21/24) の菌陰性化率であり。両薬剤群聞に有意差はみられなかった。
4) 副作用発現寧はGFLX群10.4%(12/115). LVFX群4.5%(5/110) で, 両薬剤群聞に有意差はみられなかった。GFLX群でみられた症状はねむけ, めまい, 皮疹, 下痢などでいずれも中等度以下であった。
5) 臨床検査値具常の発現率はGFLX群14.2%(15/106), LVFX群19.6%(21/107) で, 両薬剤群間に有意差はみられなかった。主なものはトランスアミナーゼの軽度上昇であった。
6) 概括安全度で「安全である」と評価された症例の割合はGFLX群76.4%(84/110), LVFX群76.6%(82/107) で, 両薬剤群聞に有意差はみられなかった。
7) 有用率は, GFILX群92.9%(92/99), L-VFX群89.8%(88/98) であり, 両薬剤群間に有意差はみられなかった。
以上, 肺炎に対するGFLX1回200mg1日2回投与はL, VEX1回100mg1日3回投与と臨床効果が同等であった。なお, GFLX群の菌陰性化率は100%であった。また, 副作用および臨床検査値異常の発現は両群間に差はみられなかった。これらの成績からG肌Xは市中肺炎 (細菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎, クラミジア肺炎) の治療において高い有用性が期待される薬剤であると考えられた。
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