日本化学療法学会雑誌
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45 巻 , 1 号
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  • 西村 昌宏, 高橋 聡, 佐野 正人, 広瀬 崇興, 塚本 泰司, 熊本 悦明
    1997 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    我々は尿路カテーテル非留置の中等度複雑性尿路感染症に対して, 新しいニューキノロン系経口抗菌薬のDU-6859aを対象に, 臨床治療前に実験的な方法で有効かつ効率的な投与法を求める検討を行った。実験には, すでに報告しているコンピューター制御により尿中抗菌薬濃度推移をシミュレートし得る中等度複雑性尿路感染症実験モデルを用いた。さらに, 実験的に求めた投与法で, 臨床的にどの程度の治療効果が得られるかを, 実際の臨床治療成績と比較し以下の結果を得た。
    1) カテーテル非留置複雑性尿路感染症症例から分離された細菌に対するDU-6859aの抗菌力を検討した結果, MIC70は0.5μg/mlであった。我々のこれまでの検討で, ある投与法におけるbreakpoint MICが治療前分離菌のMIC70以上の場合には優れた臨床治療効果が得られる。そこで, 少なくともこの値までのMICの細菌を効果的に除菌できるような投与法を実験的に検討した。
    2) その結果, DU-6859aを1回50mg, 1日2回投与時の尿中濃度推移で作用させた場合, Pseudomonas aerugimsaでは2μg/mlまでの細菌が, またEnterococcus faecalisでも2μg/mlまでの細菌が除菌された。したがって, この投与法における実験的breakpoint MICは2μg/mlであり, この値はMIC70である0.5μg/mlを越えているため十分な臨床治療効果が期待された。
    3) DU-6859aを1回50mg, 1日2回投与時の臨床治療成績を検討したところ, 完全除菌率85.4%(41/48), 有効率85.4%(41/48) と高く, 我々が実験的に求めた投与法で満足できる成績が得られていた。
    以上より, 我々の実験モデルを用いた検討で, 中等度複雑性尿路感染症に対する有効かつ効率的な投与法を臨床治療前にほぼ推測し得ることが示唆された。
  • 中澤 靖, 猿田 克年, 進藤 奈邦子, 坂本 光男, 前澤 浩美, 吉川 晃司, 吉田 正樹, 柴 孝也, 酒井 紀
    1997 年 45 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Arekacin (ABK) の methicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に対する有用性を検討するために, 臨床分離株を用いABKのMRSAに対する殺菌効果をvancomycin (VCM) のそれと比較検討した。臨床分離MRSA株JM1010, JM1011に対しABKはVCMに比し優れた用量依存的な短時間殺菌力を示した。しかし24時間後の生菌数ではVCM処理した方が, ABK処理後の生菌数より少なかった。これはMRSAのなかにはABKに対して容易に再増殖する菌が含まれていることを示している。この現象は臨床分離緑膿菌株との混合培養条件下でも同様に認められた。これに対しABK単剤に比べ, ABKとimipnem (IPM) との併用時では明らかに殺菌力が増強し, しかもABK単剤に比べ, IPM併用時において再増殖菌を抑鯛する傾向が認められた。以上の結果よりABKはMRSAに対して, IPMと併用することで短時閥殺菌力の増強と再増殖抑制効果を発揮することが認められ, これらの併用はMRSA感染症の治療方法として有用であると考えられた。
  • 進藤 奈邦子
    1997 年 45 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年マクロライド系抗菌薬の宿主免疫能に対する調節作用が注目を集めている。本研究は細胞機能を調節する因子として細胞内カルシウム濃度に着目し, マクロライド系抗菌薬のうち, エリスロマイシンとクラリスロマイシンが, in vitroにおいてヒト好中球細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+] i) と細胞機能にどのような影響を与えるかを検討した。[Ca2+] iはfura 2-AMを用いて測定し, 細胞機能は, 貧食能と遊走能を観察した。エリスロマイシンとクラリスロマイシンは臨床的に到達可能な比較的低い細胞外液濃度 (0.04μg/ml~0.2μg/ml) で [Ca2+] iを低下させ, 貧食能と遊走能を亢進させた。比較的高濃度 (1μg/ml) におけるデータは, クラリスロマイシンとエリスロマイシンで [Ca2+] iの低下は軽度に抑えられ, クラリスロマイシンでは貧食能, 遊走能は不変あるいは減少する傾向があるが, エリスロマイシンでは貧食能, 遊走能は増加し続けており, 両者の間に細胞機能に対する薬理作用の相異がみられた。クラリスロマイシンでは [Ca2+] iの低下に伴い貧食能と遊走能の充進が見られることから, クラリスロマイシンが好中球のカルシウムポンプを調節して [Ca2+] iを低下させるだけでなく, 細胞内貯蔵カルシウムにも何らかの影響を与えている可能性が示唆された。また, 比較的高濃度のエリスロマイシンでは [Ca2+] iを介さない他の薬理作用によって貧食能や遊走能が亢進している可能性が考えられた。本研究によりマクロライド系抗菌薬が, 宿主の好中球に直接作用して細胞内カルシウム濃度の基礎値を下げ, 細胞機能を充進させることによって宿主の生体防御機構を賦活化している可能性が示唆された。また, カルシウムポンプの機能低下により好中球機能が障害されていると考えられる慢性病態におけるマクロライド系抗菌薬の作用機序について考察した。
  • 真崎 宏則, 吉嶺 裕之, 鬼塚 正三郎, 星野 晶子, 土橋 佳子, 古川 佳奈, 池田 秀樹, 貝田 繁雄, 松本 慶蔵, 渡辺 貴和雄 ...
    1997 年 45 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    内科老人病棟において1980年代に入りMRSA各種感染症が急増した。vancomycin (VCM) の認可以前であり, minocycline (MINO) が多用された結果, MINOの耐性化が急激に進んだ。そこで1987年以降MINOの使用制限を開始し, 1991年10月以降本格的な院内感染防止対策の1つとして第2世代, 第3世代セフェム薬の使用を制限した。今回院内感染防止対策が軌道にのった1992年3月から1993年6月までに老人病棟にて分離された黄色ブドウ球菌313株 (鼻腔86株, 咽頭60株, 喀痰45株, 尿40株, 褥瘡65株, 血液17株) の薬剤感受性 (MIC) を調査し対策開始前の成績と比較検討した。対策継続中に分離された黄色ブドウ球菌では, VCM, Tifampicin, arbekacin, sulfamethoxazole-trimethoprim合剤で感受性が保たれていただけでなく, MINO使用制限6年目で0.1μg/mlにpeak値をもつMINO感受性株の出現をみたことはきわめて興味深い結果であった。しかしながら, 第2世代, 第3世代セフェム薬は, 使用制限にもかかわらずMICの改善は明らかではなかった。
  • 森川 嘉郎
    1997 年 45 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    近年, 耐性肺炎球菌, 耐性インフルエンザ菌が増加傾向にあり, これら耐性菌による化膿性髄膜炎の報告がみられるようになった。化膿性髄膜炎の治療においては抗菌薬の髄液中濃度が起炎菌を殺菌する濃度に達することが必要であるが, 市中病院では随時, 抗菌薬の髄液中濃度と起炎菌の感受性を測定することは困難である。本研究では両者を同時に測定したのと同じ意味を持つ髄液中抗菌薬力価を測定したので, その臨床的意義について報告する。髄液中抗菌薬力価は抗菌薬投与後1時間の髄液を2倍希釈し, 起炎菌の発育を阻止する最大希釈率で示した。髄液中抗菌薬力価が8倍以上あれば抗菌薬は有効と考えられた。Alnpicillinとcefbtaxime, ampicillinとIatamoxefの併用では力価の上昇は見られず, 相加, 相乗効果はなかった。抗菌域を拡大するための併用には意味があるが, 副作用を減ずるためにも感受性のある単剤で治療することが肝要と思われた。髄液中抗菌薬力価は一般の臨床細菌検査室でも測定可能で, 臨床上有用な検査法と考えられた。
  • 1997 年 45 巻 1 号 p. 65
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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