日本化学療法学会雑誌
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43 巻 , 6 号
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  • 松居 都美, 津田 良子, 上 洋司, 加瀬 公一郎, 山路 真也, 室伏 直美, 鳥屋 実
    1995 年 43 巻 6 号 p. 617-622
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体薬であるisepamicin (ISP) とβ-ラクタム薬であるimipenem/cilastatin (IPM/CS) を用いて, 緑膿菌に対するin vitro併用効果および併用時の投与順序について検討し, 以下の成績を得た。
    1.ISPおよびIPM/CSは, 緑膿菌ATCC27853および臨床分離菌株10株に対して, 単独で優れた抗菌力を示した。
    2.Checkerboard dilution methodにより併用効果を検討した結果, 54%の菌株で相加/相乗効果が認められ, 拮抗作用は認められなかった。また, minimum FIC indexの平均値は, 0.897であった。
    3.緑膿菌ATCC27853のin vitro増殖曲線におよぼす影響を検討した結果, それぞれ単独でやや減少傾向を示す薬剤濃度で併用した場合殺菌的に作用し, 優れた併用効果が認められたが, 投与順序による効果の差は認められなかった。
    4.緑膿菌ATCC27853に対する再増殖抑制効果を血中濃度シミーレーションにより検討した結果, ISP先行投与>同時投与>IPM/CS先行投与の順に抑制効果が認められた。
    5.緑膿菌ATCC27853のPAEを検討した結果, ISPおよびIPM/CSとも単独でPAEが認められ, 併用によりPAEは延長した。また, 併用時はISP先行投与>同時投与>IPM/CS先行投与の順に延長効果が認められた。
    以上, in vitroの検討結果より, ISPとIPM/CSとの併用におけるISP先行投与の有用性が示唆され, 臨床的な効果も十分期待されるものと考えられる。
  • 第1報測定値の信頼性および臨床分離Staphylococcus aureusへの応用
    内野 卯津樹, 村岡 宏江, 手塚 孝一, 小林 寅哲, 金子 明寛, 佐々木 次郎
    1995 年 43 巻 6 号 p. 623-629
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    17菌種の標準菌株に対する常用抗菌薬8種の最小発育阻止濃度 (MIC) をE Test (AB BIODISK Inc.) を用いて測定し, 日本化学療法学会標準法に準拠するagar dilution methodによって得られたMIC値と比較した。その結果, 各種標準菌株に対する8種の抗菌薬のMIC値はETestおよび寒天平板法ともよく一致し2菌種を除きすべて2倍以内であった。2倍の差が認められた多くはETestが高い値を示した。Staphylococcus aureus ATCC 25923, Escherichia coli ATCC 25922, Streptococcus pneumoniae ATCC 33400の3株を用いスペクトルの異なる5種の抗菌薬のMICを1日5回, また日を替え5回測定したがすべて2倍以内に収まっていた。また比較的熟練した測定者と経験の浅い者と特に差は認めなかった。ETestは日本化学療法学会標準法の寒天平板希釈法ともよく一致し測定者によるバラツキも少ないことから簡易MIC測定に有用であると考えられる。ETestを利用して, 各種抗菌薬のメチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA) 15株およびメチシリン感受性S.aureus (MSSA) 10株のMICを測定した。ETestによる9薬剤の平均MICおよびMIC90値は, 常用の寒天平板法による成績と比較的よく相関した。
  • 第2報栄養要求性の厳しいStnptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeに対する検討
    長谷川 美幸, 内野 卯津樹, 村岡 宏江, 小林 寅哲, 金子 明寛, 佐々木 次郎, 岩田 敏
    1995 年 43 巻 6 号 p. 630-633
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    E TestはAB BIODISK社 (スウェーデン) で開発されたもので, 抗菌薬を各濃度段階に含む細長いstripを利用して, 従来のディスク感受性の要領で簡便にMICを測定するものである。今回・小児科感染症より分離されたStreptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeのPenicillin耐性株および感受性株に対する各種抗菌薬のMICをETestを用いて測定し, 日本化学療法学会標準法による寒天平板希釈法の測定値と比較した。これらの試験菌株に対する, 両方法による各薬剤のMIC値はpenicillinに対する感受性に関係なく比較的よく一致した。しかしPenicillin Insensitive Streptococcus pneumoniu (PISP) はimipenem, azithromycinおよびvancomycinのETestによるMICが寒天平板法より2倍高い値となった。また両菌種の測定培地に加えた血液成分は, ETestによる測定値に影響を与えなかった。
  • 三上 襄, 矢沢 勝清, 田中 泰至
    1995 年 43 巻 6 号 p. 634-639
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    全身性の真菌症の治療薬として用いられているamphotericin B (AMPH-B), flucytosine (5-FC).fluconazole (FLCZ), miconazole (MCZ) およびitraconazole (ITCZ) に対する酵母様および菌糸状真菌の耐性株の誘導の有無について, 薬剤の濃度勾配寒天プレートを作製して検討した。その結果, 5-FCでは検討したほとんどの菌種で, 1から3代の継代で耐性株が得られた。しかし, AMPH-Bでは試験したいずれの菌種でも耐性株が得られなかった。アゾール系の薬剤ではMCZ, ITCZおよびFLCZにおいて用いた真菌の中で, Candida krusei, Candida parapsilosisおよびCandida glabrataで特に高度な耐性株が観察され, さらに弱いながらTrichophyton mentagrophytesでも耐性化現象が確認された。しかし臨床的にもっとも問題となるCandida albioans.Cryptococcus neoformansおよびAspergillus furnigatusでは観察されなかった。
  • 一宮 朋来, 竹岡 香織, 山崎 透, 那須 勝
    1995 年 43 巻 6 号 p. 640-646
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    緑膿菌性慢性気道感染症の難治化の要因とされるbiomm形成に朗するclindamycin (CLDM) およびerythromycin (EM), tobramycin (TOB), piperacillin, ceftazidime, ofloxacinの影響をin vitroにて検討した。Biomm形成の指標として, 緑膿菌産生のアルギン酸と菌体外多糖類を定量的に測定した。緑膿菌ムコイド株のアルギン酸産生量は, 普通寒天培地上で産生されたアルギン酸を高速液体クロマトグラフィーにて定量し, 非ムコイド株の菌体外多糖類 (91ycocalyx) は, シリコン片上に形成させたbiofilm中の多糖類をトリプトファン法により定量化した。それぞれにつき最小発育阻止渡度以下の濃度 (sub-MIC) 作用下での影響を検討した。アルギン酸産生はCLDM≧1/64MIC, EM≧1/256MIC, TOB1/4MICにおいて (P<0.02), glycocalyx産生はCLDM≧1/16MIC, EM≧1/16MICにて有意に産生抑制が認められた (P<0.05)。他の抗菌薬のsub-MICはまったく影響を与えなかった。走査型電子顕微鏡による観察においてもCLDMのsub-MIC作用下にてbiofi1mの産生が抑制される像が得られた。以上より, CLDMは, EMと同様にsub-MICにおいて緑膿菌biomm形成を抑制することが示唆された。
  • ヒトでの薬物動態の比較および動物実験データから予測性の検討
    中島 光好, 小菅 和仁, 梅村 和夫, 滝口 祥令, 近藤 一直, 水野 淳宏, 植松 俊彦, 渡辺 裕二
    1995 年 43 巻 6 号 p. 647-654
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    本邦において新規に開発中および近年実用化された8種のピリドンカルボン酸系抗菌薬temafloxacin (TMFX), grepafloxacin (GPFX), Y-26611, balofloxacin (BLFX), pazufloxacin (PZFX), NM 441, AM-1155およびDU-6859aの健常人における体内動態の成績を, 市販の代表的薬剤ciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX) およびsparfloxacin (SPFX) を対照として比較した。血中濃度から, TMFX, BLFX, AM-1155, DU-6859 a はOFLXに, Y-26611はCPFXに, GPFX, NM 441はSPFXにそれぞれ類似した推移を示した。PZFXはt1/2は短くCmaxが高い新しいタイプの血中濃度推移であった。尿中回収率を比較すると, TMFX, BLFX, PZFX, AM-1155, DU-6859 a はOFLXに'Y-26611, NM441はCPFXに, GPFXはSPFXにそれぞれ類似した尿中排泄を示した。本系統薬の治療効果に重要な因子とされるAUC/MICにもとついたこれら薬剤の投与設計の結果, GPFXおよびNM441は, 体内動態の類似したSPFXと同様に投与回数の減少が可能であるが, NM441の場合には用量の増加が必要と考えられた。また, TMFX, BLFXおよびAM-1155はOFLXと同じ用量で効果の増強が得られること, さらにDU-6859aでは減量が可能なこと, そしてY-26611では増量の必要性が示唆された。実験動物での薬物速度論パラメータと健常人におけるそれとの関係について, 前報で検討した薬剤を加えた16剤での成績をBoxenbaumの方法で再度解析した。見かけの血漿クリアランス, 腎クリアランスおよび定常状態の見かけの分布容積のいずれにおいても, 検討したマウス, ラット.ウサギ, イヌおよびサルの5種のうちウサギの値がヒトとよく相関した。一方, 消失相半減期はイヌの値のみヒトと有意な相関性を示した (r=0.617)。今回の検討により, あらたに開発される本系統薬剤のヒトにおける体内動態は, 適切な実験動物を選択し, 検討を加えることによりおおまかに推定できることが示唆された。
  • 國井 乙彦, 齋藤 厚, 熊澤 淨一, 荒田 次郎, 松田 静治, 大石 正夫, 馬場 駿吉
    1995 年 43 巻 6 号 p. 655-664
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口ペネム系抗生物質TMA-230を各科領域の細菌感染症を対象として, 100mg1日3回投与を中心に, 有効性・安全性を検討した。呼吸器感染症では, 100mg1日2回から200mg1日3回投与を行った (1日投与量200~600mg)。急性気管支炎では全例有効で, 細菌性肺炎では90%に近い有効率が得られたが, 慢性気道感染症での有効率は56.7%であった。また, 細菌学的効果では主要起炎菌のうちStaphylococoamusStreptococcus pneumoniaeでは80%以上の菌消失率であったが, Haemopmus influenzaeに対しては9.1%(1/11) と低く, 不十分な成績であった。尿路感染症および皮膚科, 産婦人科, 眼科, 耳鼻咽喉科領域感染症では100mg1日3回投与で満足できる臨床効果および細菌学的効果が得られた。自他覚的副作用発現率は13.2%(28/212) で, 特に下痢・軟便, 悪心・嘔吐など消化器症状の発現頻度が9.9%(21/212) と高かった。臨床検査値異常の発現頻度は8.0%(17/212) で, GOT, GPT, Al-P上昇の肝機能異常が主なもので, すべて一過性の変動であった。
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