1992年, 1994年に引き続き1996年に全国16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陰性菌20菌種, 1,178株に対する各種抗菌薬のMICを寒天平板希釈法で測定し, 抗菌力の比較検討を行った。
Escherichiacoli, Kebsiella属,
Proteus属,
Morganella morganiiに対してほとんどのセフェム薬 (CEPs), カルバペネム薬 (CBPs), aztreonam, アミノグリコシド薬 (AGs), ニューキノロン薬 (NQs) は強い抗菌力を有し, MIC
90は3.13μg/ml以下であった。しかしほとんどの菌種において, NQsに対する高度耐性株が数株認められた。
Proteusmirabilisにおいてβ-lactamase非産生性で多くのβ-lactam薬に耐性の1株が分離された。
Providencia属に対してはNQsの抗菌力は弱くMIC
90は25μg/ml以上であった。
Citrobacter属,
Enterobacter属に対してcefpirome (CPR), cefbzopran (CZOP), CBPs, AGs, NQsの抗菌力が優れていた。
Serratia marcescensに対してCBPs, CPR, CZOPおよびceftazidime (CAZ) はMIC
90が0.1~1.56μg/mlとなり, 強い抗菌力を示した。
Neisseria gonorrhoeae, Branhamella catarrhalis, Haemophilus influenzaeに対してはほとんどの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが,
N. gonorrhoeaeにおいてはNQs耐性株が62.5%と高頻度で検出された。
H. infzuenzaeにおいてβ-lactamase産生株は18.8%検出され, 1992年の10%, 1994年の7%に比べ増加していた。
Pseudomonas aeruginosaに対しては抗菌力の強い薬剤が少ないことからMIC80で比較するとtobramycin, ciprofloxacin, meropenem (MEPM), tosufloxacin (TFLX), arbekacinの抗菌力が比較的強く6.25μg/ml以下であった。抗緑膿菌薬11剤すべてに感受性の
P.aeruginosa株は14.1%であったが, 11剤すべてに耐性を示す4株, 10剤に耐性を示す6株が検出され, 多剤耐性化がおこっていた。
Burkholderia cepaciaに対しMIC
90が6.25μg/ml以下を示した抗菌薬はCAZ, MEPMのみであった。
Stenotrophomonas maltophiliaおよび
Acinetobacter spp. に対してはMINOおよびTFLXの抗菌力がもっとも強くMIC
90はそれぞれ1.56μg/ml, 0.2μg/mlであった。
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