日本化学療法学会雑誌
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52 巻 , 7 号
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  • 佐々木 緊
    2004 年 52 巻 7 号 p. 347-354
    発行日: 2004/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    わが国における抗菌薬の創薬の歴史は, 最初は化学中心, invitro研究中心に進められ, 次いで近年よりゲノム研究による時代へ推移した。化学中心, invitro研究中心の方法により研究・開発され, わが国で臨床使用されている抗菌薬は大別して, β-ラクタム系薬, キノロン系薬, マクロライド系薬, アミノグリコシド系薬, グリコペプチド系薬, ストレプトグラミン系薬, オキサゾリジノン系薬等になる。これらの中で現在, 研究・開発が継続している主な抗菌薬はセフェム系薬 (注射薬, 経口薬), カルバペネム系薬 (注射薬, 経 [薬), キノロン系薬 (経口薬, 注射薬), マクロライド (ケトライド) 系薬等がある。
    ゲノム解析を用い抗菌薬の開発を行う場合は, 細菌の生存に必須な遺伝子を創薬ターゲットとして研究・開発を進める。その事例としてInterscience Conference of Antimicrobial Agents and Chemoterapy (ICAAC, 2002年, 2003年) に発表された報告を検索すると, 細菌の生存に必須な種々のステップを阻害する阻害剤の発表が多数みられ, Peptide Defomlylase Inhibitor (PDF) だけで1つのセッションを形成する発表もみられた。
  • 星野 一樹
    2004 年 52 巻 7 号 p. 355-360
    発行日: 2004/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    主要な病原細菌のゲノム情報については, 現在ほとんどのものが公開情報として利用可能であり, 細菌関連研究において時代はすでにポストゲノムに入っている。このような環境での新規な抗菌薬開発においては, 抗菌薬の標的検証, 耐性化の動向把握, 標的蛋白質構造と抗菌薬化合物との分子レベルでの相互作用検証, さらには標的蛋白質構造を元にしたin silicoでの阻害化合物スクリーニング等の研究プロセスにおいてゲノム情報が活用されている。われわれの取り組んできたキノロン系薬あるいはエフラックスポンプ阻害薬開発研究においても, 標的の菌種間分布の検証, 耐性分布の検証, 標的阻害の効果推定等にゲノム情報を活用してきた。近年, 膜蛋白質の結晶化技術も進歩してきており, 構造生物学的アプローチによる新たな阻害化合物リードの発見が期待される。
  • 石黒 正路
    2004 年 52 巻 7 号 p. 361-366
    発行日: 2004/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼの変異による広範なβ-ラクタム剤への親和性と基質分解能の向上, そして変異によるPBPのβ-ラクタム剤への親和性の低下によってβ-ラクタム系抗菌薬に対する耐性が獲得されており, β-ラクタム剤にはこれらの耐性を克服できる新しい誘導体の開発が望まれる。すなわち, 変異したPBPに対して高い親和性を示し, 変異したβ-ラクタマーゼ (ESBL) に抵抗性を有する構造をもつβ-ラクタム剤がデザインされる必要がある。
    X線結晶解析により, PBPおよび多くのβ-ラクタマーゼの結晶構造が明らかとなり, またMRSAのPBP2aやβ-ラクタム系抗菌薬の親和性が低下したPBP2xのミュータントの立体構造も明らかにされている。このような構造情報から得られる重要なアミノ酸残基の役割の解明とコンピュータによるドッキングシミュレーションを組み合わせることによって, β-ラクタム剤の加水分解機構を解明でき, これをもとにMRSAに対して親和性を有し, β-ラクタマーゼに安定な5, 6-シスペネム化合物などのデザインが可能となっている。
  • 砂塚 敏明
    2004 年 52 巻 7 号 p. 367-370
    発行日: 2004/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    エリスロマイシン (EM) を代表とするマクロライド系抗菌薬は, ブドウ球菌, 連鎖球菌, 肺炎球菌などのグラム場性菌, 淋菌, コレラ菌などの一部のグラム陰性菌およびマイコプラズマに対して抗菌活性を示し, 臨床的にきわめて毒性の低い抗菌薬として広く用いられている。
    最近になって, 新たな作川として消化管運動機能尤進作用が注目され, 消化管ホルモンであるモチリンのアゴニストであることが明らかになった。
    さらに, 第三の作用として, びまん性汎細気管支炎がEMの少量長期投与によって改善することが明らかになった。その作川は, 慢性気道炎症の場をとりまく免疫炎症細胞 (好中球, リンパ球, マクロファージ) 肥満細胞, 等) を介する抗炎症作用であることが明らかになった。
    一方, EMの細菌への調節作用があることが明らかになった。本来抗菌活性を示さないとされている緑膿菌に対して, 低濃度のマクロライドとの接触により (1) 菌体毒素産生抑制作用,(2) エラスターゼ等の酵素産生抑制作川,(3) 細菌が産生するバイオフィルムの産生抑制作用,(4) バイオフィルム破壊作用,(5) 菌の細胞付着抑制作用, 等がある。このように, マクロライドには創薬に展開できるさまざまな新作用を有している。
  • 従来法およびNCCLS法との比較
    長谷川 美幸, 三次 典男, 小山 悦子, 佐藤 弓枝, 小林 寅哲, 西園寺 克
    2004 年 52 巻 7 号 p. 371-375
    発行日: 2004/07/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    液体培地を川いた抗酸菌検出装置Mycobacteria Growth Indicator Tube (MGIT960 (R) , 日本ベクトン・ディッキンソン) に対応した迅速自動結核菌感受性測定kitであるMGIT960 SIRE (R) (以下MGIT960SIRE) を従来法である1%小川培地法およびproportion method (NCCLS法) と比較検討を行った。検討薬剤はstreptomycin, isoniazid, rifampicin, ethambutolの4薬剤とし, 未治療結核患者から分離したMycobacterium tuberculosis 52株を試験菌株とした。
    感受性成績比較では3法すべてで成績が一致した例は92.3%から96.2%と薬剤により若干異なったものの良好な一致率を示した。isoniazidおよびrifampicinに耐性を示すMultidmg-resistantMycobacteriumtubmulosis (MDR-TB) を疑う株はMGIT960SIREにおいて最も多く3株 (5.8%) 認められ, NCCLS法では1株 (1.9%), 1%小川培地法では検出されなかった。感受性測定所用時間の比較ではMGIT960 SIREは平均7.8日, 1%小川培地法は10.1日, NCCLS法では21.0日とMGIT960SIREは迅速に薬剤感受性成績を得ることが可能であった。
    MGIT960 SIREは国内で多用されている1%小川培地法およびNCCLS法と感受性成績はよく一致し, 迅速に結果が得られることから結核菌の薬剤感受性測定に有用である。またMDR-TBの迅速検出が可能となり結核対策に寄与するものと考えられた。
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