人間工学
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29 巻, 1 号
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  • 15年間にわたる集団健康診断による継続群と脱落群の特徴
    徳田 哲男
    1993 年 29 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    70歳を調査の開始年齢とした男女383名を対象に, 5年間隔で4回の集団健康診断を実施した. 分析方法はすべての集団健康診断を受診した継続群の特徴を主体に, 一部時期しか受診していなかった脱落群の特徴にも配慮しながら, 体格・体力の経年変化について検討した.
    4回の集団健康診断をすべて受診した者は, 第1回の受診者全体の16%にとどまった. 老化により体格・体力の低下は進行するものの, その低下速度は一律に進行しにくい特徴が認められた. すなわち, 加齢に伴い身体寸法は萎縮傾向にあったが, その程度は弱まる方向へ, 体重の減少傾向はこれとは逆に強まる方向へ, 開眼片足起立時間は5年ごとにほぼ半減していく方向にあった. 継続群の活動能力, 握力および片足起立時間などは脱落群のそれに比較して高く, また5年間隔当たりの身長, 体重および握力の低下率では継続群のほうが低い水準にとどまった.
  • 山下 利之, 古澤 照幸
    1993 年 29 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    図柄の印象や嗜好は, それを用いる人間やその図柄が使われる対象によって影響される. 本研究では, 図柄の印象や嗜好に影響を及ぼす人間側の要因として, 大学での専攻と個人の刺激欲求特性を取り上げた. 調査では, 77名の文科系大学生, 95名の理科系大学生, 96名の美術系大学生が直交分割図柄のイメージを評定することが求められ, 同時に刺激欲求特性が測定された. クラスター分析と主成分分析の結果, 美術系大学生は文科系, 理科系大学生に比べて, 分割間隔が急激に変化する図柄を好む傾向, 刺激欲求特性の高い者は低い者よりも, 動的で複雑な図柄を好む傾向が示された.
  • 西口 宏美, 齋藤 むら子, 尾関 守, 佐藤 馨
    1993 年 29 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺者の知覚・判断能力について検討するために, 色彩, 文字, 図形に関する知覚・判断機能検査を作成し, 脳性麻痺者25名を対象に実施した. 被測定者の属性は障害等級1級もしくは2級, 痙直型もしくはアテトーゼ型に分類される. その結果, 上肢動作評価を含む機能評価指数には障害等級間および病型間で差がみられ, それぞれ1級群, 痙直群が高い能力を示した. また, 機能評価指数とADL (日常生活動作) 評価との間には高い相関があることが判明した. また, 全作業時間より上肢作業所要時間値を除いた知覚・判断時間値については, 等級間においては差がみられ1級群が長い時間値を示したものの, 病型間においては差は認められなかった.
  • 勤務中の覚醒水準の変化
    佐々木 司, 菊池 安行, 新藤 悦子
    1993 年 29 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本報は, 看護婦が深夜勤務時にとる仮眠の効果を勤務中の覚醒水準から評価した. 被験者は9人の健康な未婚の病棟看護婦である. 彼女らは仮眠と仮眠なしの両条件を課せられた. 仮眠は2時30分から4時までの90分である. 覚醒中の測定は, 23時30分から10時までに90分間隔で行った. 測定項目はフリッカー値, 4選択反応時間, 自覚症状, 眠たさである. 仮眠中は携行式脳波記録装置によって睡眠ポリグラムが測定された. 結果は, 仮眠中の睡眠時間は59.6分であった. その睡眠内容は, 睡眠段階2が31.8分を占め, 深い睡眠である徐波睡眠やレム睡眠はほとんど出現しなかった. しかし, 5時30分以降でフリッカー値, 速い10%成分の反応時間, 自覚症状のI群, II群において, 条件間に有意差が示された. これらの知見は, たとえ睡眠脳波学的に仮眠内容が十分でなくとも, 仮眠が覚醒水準を維持することを示唆するものである.
  • 仮眠がその後の睡眠に及ぼす影響
    佐々木 司, 菊池 安行, 新藤 悦子
    1993 年 29 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    本報は, 看護婦が深夜勤務時にとる仮眠の効果を睡眠内容から評価した. 被験者は6名の病棟看護婦である. 彼女らは仮眠と仮眠なしの両条件を課せられた. 仮眠は2時30分から90分間である. 結果は, 仮眠中の睡眠時間は59.7分であった. その内容は睡眠段階2が占め, 徐波睡眠やレム睡眠はほとんど出現しなかった. しかし, 短い睡眠潜時と高い睡眠効率を示した. 昼間睡眠の各睡眠段階出現量は, 仮眠なし条件で仮眠条件より長く出現する傾向があったが, 仮眠を昼間睡眠に加えると, 仮眠なし条件の睡眠出現量と同様になった. 深夜勤明けの夜間睡眠では, 仮眠なし条件で中途覚醒や睡眠段階1が多く出現していた. しかし, 上記の結果はほとんど有意差を示さなかった. それは, 深夜勤前にとられている“予防的仮眠”が影響していることが考えられた.
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