1994年から1997年までの4年間に千葉大学医学部附属病院検査部で臨床材料から分離された緑膿菌計2,793株を用い, 各種抗菌薬に対する感受性について検討したのでその成績を報告する. 耐性の判定は原則としてNCCLSの基準に従った. 緑膿菌2,793株に対するpiperacilhn (PIPC), ceftazidime (CAZ), cefsulodin (CFS), imipenem (IPM), aztreonam (AZT), gentamycin (GM), tobramycin (TOB), amikacin (AMK), isepamicin (ISP), fbsfbmycin (FOM) およびofloxacin (OFLX) の耐性率は,それぞれ22.1, 10.9, 13.2, 19.6, 18.3, 14.8, 10.1, 27.4, 19.2, 80.9および24.2%であった. 特にTOBとCAZが低い耐性率を示した. 1997年に分離した緑膿菌755株のうちCAZ, IPMまたはTOBのいずれかに耐性を示した181株に対するCAZ, cefpirome (CPR), cefbpime (CFPM), cefbzopran (CZOP), IPM, meropenem (MEPM), panipenem (PAPM), TOBの耐性率は, それぞれ33.7, 44.1, 18.7, 20.4, 43.6, 13.2, 53.0および13.8%であった. 特にMEPMとTOBが低い耐性率を示した. 緑膿菌181株に対するCAZ, CPR, CFPM, CZOP, IPM, MEPM, PAPMおよびTOBのMIC
80は, それぞれ32, 64, 16, 16, 16, 8, 32および2μg/mlあった. 緑膿菌70株に対するCAZとTOB, MEPMとTOBおよびCZOPとTOBの併用効果をみてみると, 相乗作用はそれぞれ59株 (84.3%), 55株 (78.6%) および47株 (67.1%) に認められた. 拮抗作用は認められなかった. またCAZとTOB, MEPMとTOBおよびCZOPとTOBの組み合わせは, 殺菌曲線でも著しい相乗効果を示し, 重症な緑膿菌感染症に対する臨床的有用性がうかがわれた.
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