当施設におけるアカラシア対する胸腔鏡下のBelsey手術を検討し,その有用性と問題点について報告する。
対象:当施設において胸腔鏡下に施行したアカラシアの症例は27~37歳の女性で,GradeII 2例,GradeIII 1例であった。病悩期間は2年から5年でいずれも内科的治療により症状の改善がみられなかった症例である。
手術方法:手術術式は左胸部に約5 cmの小切開とカメラ用ポートを1個,鉗子の操作孔を1~2個追加して施行する。下部食道を剥離した後に,電気凝固あるいはフック型のハーモニックスカルペルで胃の大弯側まで筋層切開を行い,食道と胃大弯側の筋層を充分に開放する。次にBelsey変法による逆流防止術を行う。
結果:3例の術中出血量は平均54±35 ml,手術時間は平均135±47分であった。術後経過は気胸の発症や胸水の貯留など呼吸器合併症はなく,胸腔ドレーン挿入期間は3.5±2.3日,術後平均入院期間13.6±3.5日である。いずれの症例も症状の改善がみられ,胸部不快感も改善し,プロトンポンプ阻害剤などの内服治療も不要となった。
結語:GradeII,IIIのアカラシアに対する胸腔鏡下のBelsey法は安全で有効な術式と考えられる。
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