グリーンアスパラガスをつぎの4区に分けて凍結させ-20℃に4ヵ月貯蔵し,凍結初期より最終時にわたり,組織の鏡検,成分分析を行ないつぎの結果を得た。
(1) “生”材料液体窒素凍結区は,外観,組織の状態とも全期間を通じ,“生”材料のそれとほとんど変らず良好であったが,風味抜けの現象を来たすので食味不良であった。
(2) “ブランチング”処理液体窒素凍結区は,組織の破壊・ドリップ液もほとんどなく,外観風味とともに良好であったが,穂首などの破損を来たすことが多かった。
(3) “生”材料冷凍庫凍結区は,組織の破壊もみられ,風味抜けをおこし不良であった。
(4) “ブランチング”処理冷凍庫凍結区は,風味抜けは少ないが,組織の破壊がきわめて大きく,肉質軟化し“筋っぽく”不良であった。
(5) アミノ酸は,種類,含有量とも多少減少傾向にあり,直接還元糖,全窒素は各処理別の差異が認められた。還元型ビタミンCはブランチングしたものは多少減少の傾向にあるが,“生”材料においては急速に減少した。これらの成分分析の結果は,ドリップ液との関係を考慮する必要があり,なお食味の結果から,これら表示成分以外の因子が関与しているものと思われる。また,2項の“ブランチング”処理液体窒素凍結区の破損防止のために,適切な凍結およびブランチングの方法条件を設定する必要があろう。
この試験を行なうにあたり,農業試験場猪瀬敏郎園芸部長,農業改良課岡昌二専門技術員のご支援を受けた。
また,日本酸素株式会社より技術指導を受け,とくに凍結処理に際し,同社川口工場小林義和氏の御協力を得た。なお,日本冷蔵株式会社山田耕二氏より有益な御助言をいただいた。さらにこの研究の一部は,農林省総合助成事業試験費によった。
抄録全体を表示