日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
30 巻, 7 号
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  • 藤井 聰, 河本 正彦, 前川 文男, 川崎 耕治
    1983 年 30 巻 7 号 p. 379-384
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リバース法を行ったとき還元糖と強塩基性アニオン交換樹脂の反応で生成する色素の本樹脂に対する吸脱着に関する性質をゲル濾過や二三の理化学的実験を行い検討した。
    1. 本色素をSephadex G-50 Fineゲルでクロマトグラフィーを行うと,ゲルに対する親和性の差でPA,PB及びPCの3成分に分けられた。 PAとPBは有機酸のナトリウム塩で互いに重複した広範囲の分子容積を持っており, IRスペクトルもほとんど同一で,限外濾過でも分離できなかったが,両者は互いに平衡関係にはなかった。
    2. PCはPAとPBの遊離酸形でゲルに強く吸着され,食塩か,水酸化ナトリウムを原試料に添加して水で溶出するか,或いは食塩水で溶出しないと脱着されなかった。
    3. 脱カチオンした色素はPCと同じ溶出曲線を示し,強酸に不溶で有機溶媒に可溶であった。またアルカリで滴定すると, pH8.3で中和され, pKa値が4.8,中和当量が260.5であった。
    以上の結果をもとにして本色素が水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムの混液により,樹脂から効果的に脱着される機構について考察を加えた。
  • 植松 恒美, 石井 謙二
    1983 年 30 巻 7 号 p. 385-390
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    リノール酸メチル(ML)(1mmol)とアミノ酸(1mmol)とを濾紙(Whatman No.42)に浸透吸着させ,乾燥状態(相対湿度15~20%)の暗所に50℃で放置し,褐変現象をMLの自動酸化と関連して観察した。
    10日間の保温実験で,メチオニン,グリシン,プロリン,リジンおよびセリン各共存試料でとくに褐変が強く認められたのに対し, ML単独ではほとんど褐変しなかった。 N-アセチルグリシンはグリシン共存試料に比べ褐変が著しく弱かった。
    グリシンとN-アセチルグリシンを用いた10日間の経時的観察では, POVはいずれも1日で急激に減少し,以降10日目まで時間とともに急激に低下した。グリシンが存在するとその低下はとくに顕著であり,過酸化物とグリシンとの反応が示唆された。
    保温18時間の短時間の実験では, 6時間後にPOVが増大し,カルボニル生成の多くなった例は,システインおよびリジン各共存試料であり,これらのアミノ酸は結果的に酸化促進的に働いた。逆に低かった例はバリン,セリンおよびフェニルアラニン各共存試料であり,酸化防止的に働いたことになる。
    保温18時間後にシステインおよびリジン各共存試料で褐変が強くなったが,そのほかのアミノ酸ではほとんど褐変しなかった。
    MLとグリシンとの褐変はMLに対するグリシン濃度が高まるほど,また温度が高いほど促進された。
  • 植松 恒美, 石井 謙二
    1983 年 30 巻 7 号 p. 391-396
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    落花生からn-ヘキサンで冷抽出した落花生油(粗原油)と,これをFlorisilカラムを通して精製したFlorisil処理油とを濾紙上でアミノ酸と共存させ, 50℃で乾燥状態(相対湿度15~20%)の暗所に放置して,油の酸敗および褐変とアミノ酸との関係を調べた。
    粗原油は単独でもアセチルグリシン共存でも60日間ほとんど褐変しなかったが,グリシンが共存すると褐変が起った。 POVは粗原油単独でも,グリシンあるいはアセチルグリシン共存でも25日間にわたりほとんど差はなく, 50以下であった。しかし,それ以後,グリシン共存試料で上昇が目立った。
    Florisil処理油はトコフェロールが除去されたため,粗原油に比べPOVの上昇が著しかった。それぞれ単独では褐変しなかったが,グリシンが存在するとFlorisil処理油のほうが粗原油よりはるかに強く褐変した。
    Florisil処理油をアミノ酸とともに5日間放置したところ,リジン共存試料で最も褐変が強く,次いでプロリン共存試料で褐変が強かった。
    POVは保温1~2日で急激に上昇し,以後徐々に低下した。 Florisil処理油単独およびアセチルグリシン共存試料でPOVが高く,プロリン共存試料で最も低かった。
    カルボニル生成はFlorisil処理油単独,およびアセチルグリシン共存試料のほうがアミノ酸共存試料よりやや多かった。
  • 岩元 睦夫, 平田 孝, 鈴木 忠直, 魚住 純, 石谷 孝佑
    1983 年 30 巻 7 号 p. 397-403
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    近赤外法を用いたのりの品質評価法を確立する目的で,検査員が官能的に格付した本等級を近赤外法によって評価しうる可能性について検討し次の結果を得た。
    (1) 良質なのりほど近赤外全域にわたって吸収が強く,この等級間差は長波長側ほど大きく,「諸富」においてとくに顕著であった(Fig. 1)。
    (2) 良質なのりほど2.0~2.2μmにおける吸収は下に凸な傾向を示した(Fig. 1)。
    (3) 2次微分スペクトルで確認した約35の吸収について,等級間との単相関を原スペクトル及び微分スペクトルで求めた結果, 2.056, 2.110μm及び2.168μmの吸収の特性から,良質なのりほどたん白質が多く,炭水化物が少いという一般的な傾向が示唆された(Table 1)。
    (4) 重回帰分析の結果. 2次微分スペクトルを用いれば,近赤外法をのりの本等級評価に使いうることが明らかになった(Table 3)。
    (5) 近赤外法をのりの等級評価法としてより一般化するためには,等級格付における尺度構成を明確にする必要がある。
  • 崔 聖姫, 小林 彰夫
    1983 年 30 巻 7 号 p. 404-408
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    アミの種類が異なる市販品アミ塩辛の加熱臭成分の同定とその相異点を比較検討した。
    (1)NICKERSONらの連続抽出式装置により匂い濃縮物を調製しGC及びGC-MS法によって匂い成分を同定した。
    (2)市販品I, II, IIIの匂い成分としてFID-FTD GCにより9種類のアルキルピラジン類,及びその他に3種類の含窒素化合物が同定された。又, FID-FPD GCによりジメチルジサルフイドなどのサルフイド類,チアゾール類,トリチオラン,チアルジンなどの含硫化合物が同定された。
    (3)市販品I, II, IIIの匂い成分の種類は類似したものであったが,市販品IのアミはII, IIIに比らべ原料の型がかなり大型のためか加熱臭の比率も良く,ピリジン,フルフリルアルコール,フェノールなどは認められず3-オクチン, 2-ヘプタノン, 4-メチルイソチアゾールが見出された。これらは市販品Iの品質のよさに貢献しているものと思われる。市販品IIIはアルキルピラジンの量は最も少なくフェノールなど,中高沸点成分の量が多かった。
  • 赤井 達男, 堂々 隆史, 今村 経明
    1983 年 30 巻 7 号 p. 409-413
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆亜鉛の食品・栄養学的意義を知る目的で,その化学形を研究中であるが,その一部として分子の大きさと荷電に基づいた分画手段によって,亜鉛と主な他成分すなわち窒素-,リン-化合物および炭水化物との関連を調べた。
    実験に用いた大豆の亜鉛含量は,乾物1g当り42.0μgであった。この亜鉛は子葉部:種皮部:胚芽部に92:6:2の割合で含まれ,濃度では45:85:57の比であった。
    大豆をそのまま水に浸漬すると24時間に全亜鉛量の7%が溶出し,磨砕したものでは12.4%が溶出した。この溶出を異なるpHの浸漬水で比べたところpH4付近で最低を示したことから,蛋白質と結合している亜鉛の存在を考えた。
    大豆磨砕液の遠心および超遠心上澄水層について得られた限外濾過,ゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフィーの各画分ごとに,亜鉛量と窒素,リン,糖の量との関係を調べた結果,窒素化合物では主に蛋白質が,リン化合物では少なくとも3種のものが,そして糖では少糖類が亜鉛と結合して存在する可能性を認めた。
  • 東野 哲三, 藤田 修二
    1983 年 30 巻 7 号 p. 414-420
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    DS法を総C(AsA+DAsA)の分析に応用するに際し,まず還元剤DTTによるDAsAの還元条件を検討した。 DAsAはDTT-エタノール溶液の30℃, 15分処理により定量的にAsAに還元され,またその還元液中に含まれるDTTはAsAの酵素的酸化反応にほとんど影響を与えなかった。したがって, DTTによる還元試料液中の全AsA量をDS法で測定することにより総Cを定量することが可能である。その際DAsAは総CとAsA値との差から求められる。本法を用いてミカンおよびトマトの果汁試料を分析した結果,総CおよびAsA値は,同一試料についてDNP法で求めた値とよく一致することが認められた。しかし, DAsAについては, DS法の方がDKG値を補正しないDNP法より低い値を与える傾向がみられた。ミカン果汁に添加したDAsAの本法による回収率は前報のAsAのそれと同様極めて高いものであった。
  • 志賀 勝治, 串田 洋一
    1983 年 30 巻 7 号 p. 421-424
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ひき肉に2種類の大豆蛋白質を添加したソーセージ様肉製品を作り,その物性に対する大豆蛋白質添加割合の影響を検討した。
    大豆酸沈殿蛋白質を添加し, 70℃で加熱した製品のゲル強度および保水力は,その添加割合が増加するに従い低下した。 100℃加熱の場合のゲル強度および保水力の値は70℃加熱の場合より低いが,その添加割合に対する変動は少なかった。一方市販の分離大豆蛋白質を添加した製品のゲル強度および保水力はその添加割合に従って増加した。製品のヤング率は,大豆酸沈殿蛋白質および市販の分離大豆蛋白質のいずれの場合も,その添加割合が増加するに従って低下したが,その低下割合は市販の分離大豆蛋白質の方がやや少なかった。
    ひき肉に添加しうる大豆蛋白質の添加割合は,大豆酸沈殿蛋白質の場合は約10%が限度であったが,市販の分離大豆蛋白質の場合はかなりの割合までの添加が可能であると考えられた。
  • 今安 聰
    1983 年 30 巻 7 号 p. 425-433
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 30 巻 7 号 p. A40-A47
    発行日: 1983/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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