日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
16 巻, 3 号
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  • (第1報)加圧殺菌用パイロットレトルトの熱特性
    山野 善正, 小松 美博
    1969 年 16 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 1969/03/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    プラスチックフィルム包装食品殺菌用レトルトとして,蒸気-空気混合加圧水冷式パイロットレトルトを試作し,種々の加熱実験を行なった結果
    (1) 蒸気および空気はあらかじめ混合してからレトルトへ導入すれば,レトルト内温度分布のバラツキがない。
    (2) 空気比30%以下ではレトルト内温度分布はほとんど測定誤差範囲内である。
    (3) 水を加熱媒体とする場合は,あらかじめ加熱した水を用いる(熱交換をレトルト外で行なう方法)がよい。
    (4) 水冷法が空冷法より7~8倍冷却速度が大きく,食品品質保持の点からも水冷法が有効である。
    (5) レトルト圧力と袋の内圧と変形の考察から,内圧による破袋防止のために,0.2~0.3kg/cmcm2の過圧が必要なことを推定し,熱伝達速度の実験結果を併せて実用温度-圧力範囲を提案した。
  • (第2報)各種フィルム包装食品の熱特性と保存の例
    山野 善正, 小松 美博, 池上 義昭
    1969 年 16 巻 3 号 p. 119-123
    発行日: 1969/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    缶詰とフィルム包装食品の加熱処理の比較では,フィルル包装が平板状であるため,同一内容品,同一容量では,フィルム包装のほうが遙かに急速加熱できる。
    各種食品の熱特性を測定したところ,包装厚みをある限度に保つことによってフィルム包装の特長が生かされることがわかった。
    実際の包装食品の殺菌の例として,しゅうまいとソフトスパゲティについて示した。
    個々の食品の殺菌条件は,その食品の対象細菌を検索し,その耐熱性および致死曲線と食品の熱伝達性から決定されねばならない。
  • (第3報)実用レトルトの温度分布と熱特性
    山野 善正, 山口 尹通, 長田 肇, 小松 美博, 岸本 昭
    1969 年 16 巻 3 号 p. 124-129
    発行日: 1969/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    実用アストリア型1車入レトルトにおいて,新しく設計した2つの殺菌棚を用いて温度分布の実験を行なった結果,次の結論が得られた。
    (1) レトルト内の熱分布は105℃, 120℃てほとんど同じ傾向にあり,熱循環はレトルトおよび棚空隙に沿って行なわれ,総じて棚中心部ほど温度上昇は遅い。
    (2) 横型殺菌棚が立型殺菌棚より温度分布の程度がやや小さいが,どちらも包装中心温度はレトルト設定温度到達後30分て±1℃以内のバラツキを示すにすぎない。
    (3) 熱循環は空気分圧の増大すなわち空気量の増加とともにレトルト上部の温度上昇が遅くなる傾向にある。
    (4) fh値は蒸気比が59.2%での値は,蒸気比78.9%および100%での値より大きく,これはパイロットレトルトでの結果と一致する。
    (5) レトルトの配管系に改良を加え,蒸気-空気の循環を考慮した殺菌棚を用いることにより,フィルム包装食品用レトルトとして,現用缶詰用レトルトが適用できる。
    本実験は日本缶詰協会研究所のレトルトを用いて行なわれたものであり,本実験を行なうにあたり終始御協力をいただいた日本缶詰協会研究所妹尾所長および藤原,稲垣の各氏に深く謝意を表します。
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