実用アストリア型1車入レトルトにおいて,新しく設計した2つの殺菌棚を用いて温度分布の実験を行なった結果,次の結論が得られた。
(1) レトルト内の熱分布は105℃, 120℃てほとんど同じ傾向にあり,熱循環はレトルトおよび棚空隙に沿って行なわれ,総じて棚中心部ほど温度上昇は遅い。
(2) 横型殺菌棚が立型殺菌棚より温度分布の程度がやや小さいが,どちらも包装中心温度はレトルト設定温度到達後30分て±1℃以内のバラツキを示すにすぎない。
(3) 熱循環は空気分圧の増大すなわち空気量の増加とともにレトルト上部の温度上昇が遅くなる傾向にある。
(4) fh値は蒸気比が59.2%での値は,蒸気比78.9%および100%での値より大きく,これはパイロットレトルトでの結果と一致する。
(5) レトルトの配管系に改良を加え,蒸気-空気の循環を考慮した殺菌棚を用いることにより,フィルム包装食品用レトルトとして,現用缶詰用レトルトが適用できる。
本実験は日本缶詰協会研究所のレトルトを用いて行なわれたものであり,本実験を行なうにあたり終始御協力をいただいた日本缶詰協会研究所妹尾所長および藤原,稲垣の各氏に深く謝意を表します。
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