日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 9 号
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  • 宮尾 茂雄, 小川 敏男
    1990 年 37 巻 9 号 p. 665-669
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    発酵漬物の細菌に対する亜硝酸による死滅促進効果について検討を加えた.
    (1) 発酵初期(pH 5.0)に漬液の亜硝酸濃度を50μg/mlに調整したところ,対照よりもグラム陰性菌は速く死滅し,供試した乳酸菌のなかではStreptococcus属菌とLeuconostoc属菌の死滅が促進される傾向が認められた.
    (2) 供試した亜硝酸生成菌は酸性下で亜硝酸によって死滅が促進され, Pseudomonas属菌>Klebsiella属菌>Micrococcus属菌>Enterobacter属菌の順に大きな影響を受けた.供試した乳酸菌に対する亜硝酸の死滅促進効果はStreptococcus属菌>Leuconostoc属菌>Pediococcus属菌>Lactobacillus属菌の順に大きいことが明らかとなった.
    (3) E. aerogenes E-2株とLeuconostoc mesenteroides L-11株およびLactobacillus plantarum L-4株との混合培養の結果,亜硝酸生成菌の菌数が乳酸菌に比して多く,亜硝酸濃度も高い場合には乳酸菌の増殖およびpHの低下が抑制された.
  • 宮尾 茂雄, 小川 敏男
    1990 年 37 巻 9 号 p. 670-675
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    発酵漬物から分離した亜硝酸生成菌を対象に,亜硝酸の蓄積および硝酸還元酵素活性におよぼす製造環境要因の影響について調べた.
    (1) Pseudomonas属菌は20~30℃で最も増殖が活発で,亜硝酸の蓄積も10~30℃で多かった. Enterobacter属菌, Klebsiella属菌は30~40℃で最も増殖が活発で,亜硝酸の蓄積も30~40℃で多かった.
    (2) Pseudomonas属菌は食塩の存在しない条件下で増殖,亜硝酸の蓄積とも多く,食塩濃度が4%以上あると増殖は阻害され,亜硝酸もほとんど蓄積されなかった. Enterobacter属菌, Klebsiella属菌は食塩濃度6%でも菌の増殖と亜硝酸の蓄積がみられ, 1~2%の食塩存在下で最も多かった.
    (3) 硝酸還元酵素活性は, Pseudomonas属菌では食塩濃度が高まるにつれ急激に低下したが, Enterobatter属菌やKlebsiella属菌ではそれほど大きな低下はみられなかった.
    (4) 硝酸還元酵素活性に対し,有機酸のなかではリンゴ酸や乳酸が比較的強い賦活作用を示した.したがって,原料野菜に含まれているリンゴ酸は亜硝酸の生成に一部寄与しているものと考えられた.
    (5) 硝酸還元酵素活性に対する糖の影響をみたところ,Pseudomonas属菌では,果糖が活性を促進する傾向が認められ, Enterobacter属菌, Klebsiella属菌では,ブドウ糖や果糖に顕著な賦活作用が認められた.
  • 山口 直彦, 岡田 安司, 内藤 茂三
    1990 年 37 巻 9 号 p. 676-681
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    メラノイジンをC. versicolor IFO 30340によって脱色し,脱色メラノイジンの抗酸化性及びその他特性を測定した結果は次のとおりである.
    (1) メラノイジンは培養日数と共に脱色し, 12日間の培養で脱色率は80%に達した.
    (2) 脱色メラノイジンのリノール酸に対する抗酸化性を測定した結果,メラノイジンと変ることはなかった.
    (3) 脱色メラノイジンをセファデックスG-25によって分画した結果,脱色に伴って低分子量化を示し, 2つのピークが認あられた.
    (4) 分画画分の抗酸化性を測定した結果,脱色メラノイジンには低分子量画分に強い抗酸化性が認められた.
    (5) 脱色メラノイジンの赤外部吸収スペクトルの測定の結果, 1720cm-1にカルボニルグループに由来する新たな吸収が現われた.
  • 福島 正子, 小林 拓美, 竹山 恵美子, 早川 保昌
    1990 年 37 巻 9 号 p. 682-686
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    弱酸性食品であるビールに金属アルミニウムが長時間接触した場合,食品がどのような影響を受けるか,その腐食傾向と食品中のアルミニウム溶存量を測定することにより検討した.
    まずビールによる金属アルミニウムの腐食傾向を自然電極電位の経時変化及び分極曲線で測定したところ,ビールはアルミニウムを局部腐食より全面腐食しやすいということがわかった.
    次に市販ビール中に溶存するアルミニウムを原子吸光分光光度計で定量した場合,缶からビール中にアルミニウムが溶出することがわかった.その際溶出量は3ケ月以上の室温保存で有意に増加することが認あられた.また5℃で保存したものより室温保存した市販缶ビールの方がアルミニウム溶存値は高いという結果が得られた.
  • 西浦 康雄, 深尾 正, 杉本 睦美, 沢田 玄道, 伊藤 政光, 南波 護
    1990 年 37 巻 9 号 p. 687-694
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 低温流通の板つき包装蒸し蒲鉾から,蛍光を発し液状軟化した製品を見い出し,変敗部から単一菌叢の変敗原因菌を分離した.
    (2) 分離株をBergey's Manualに基づき同定した結果, P. fluorescens Biovar Vと同定された.
    (3) 分離株のDNAを分離しその塩基組成分析を行った結果, G+C molar% は60.76%であり, P. fluorescens IFO 3081の実測値61.06%とほぼ一致し,又プロテアーゼ活性およびゼラチン液化能については分離株は陽性, P. fluorescens IFO 3081は陰性と異なった結果を示した.
    (4) 分離株は肉エキス液体培地中で-2℃でも活発に増殖し,又世代交代時間から測定した増殖至適温度は30℃から31℃の間にあり, 38.5℃ではもはや増殖不能であった.これらの特性より分離株は従来通性好冷菌と定義されていた低温細菌(耐冷細菌)であると考えられた.
    (5) 軟化変敗再現試験の結果,分離株は蒲鉾上で0℃でも活発に増殖し,蛍光を発する液状軟化を起した.しかしP. fluorescens IFO 3081は蒲鉾上では全く増殖せず変敗に至らなかった.この原因は両株のプロテアーゼ活性およびゼラチン液化能の差に起因すると推察された.
  • 吉田 博, 藤本 水石, 林 淳三
    1990 年 37 巻 9 号 p. 695-701
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    クリタケの栄養世代における栄養要求性を基礎培地を設定して静置培養法により検討した.
    (1) 本菌は広範な炭水化物を炭素源として利用できるが,その要求性は炭水化物の種類によりかなり相違していた.トレハロース,グリコーゲン,可溶性デンプン,デキストリン,マンノース,グルコース,マルトース,フルクトースは良好な炭素源であった.
    (2) 培地の至適グルコース濃度は3%以下であり,4%以上では菌糸体の生育速度は急速に低下した.
    (3) 有機態窒素であるペプトン,ソイトン,酵母エキス,肉エキス,カザミノ酸は良好な窒素源であった.無機態窒素のうちアンモニウム態窒素は比較的良好な生育を示したが硝酸態窒素では菌糸体の生育は認められなかった.
    (4) 培地中の至適C/N比は20であり, C/N比がそれ以上あるいは以下になると生育は急速に低下した.
    (5) グリシン,アラニン,ロイシン,イソロイシン,バリン,アスパラギン酸,グルタミン酸,アルギニン,セリンは良好な窒素源であり,これらのアミノ酸は単独で十分な効果を示した.
  • 島田 和子, 西山 琴代, 真木 佐知子
    1990 年 37 巻 9 号 p. 702-708
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    うにおよびうに塩辛の熟成貯蔵中におけるカロテノイドをHPLCにて分析した.
    (1) うに100g中には全カロテノイドが14mg程度含まれ,そのうちシス型を含むエキネノンが55.9%を占めていた.
    (2) エタノール添加うに塩辛を180日間熟成貯蔵すると,わずかに全カロテノイド量が減少する傾向がみられたが,塩うに塩辛ではカロテノイドは安定であった.
    (3) 熱処理うに塩辛のカロテノイドは180日後でも安定に存在していたので,エタノール添加塩辛で認められたカロテノイドの減少は酵素反応によるものと考えられた.
    (4) 180日間熟成貯蔵させてもトコフェロールは残存しており,このトコフェロールがカロテノイドの酸化反応を抑える一因と推察した.
  • 島田 和子, 竹田 美紀, 上村 朋子
    1990 年 37 巻 9 号 p. 709-714
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    うに塩辛熟成中における脂質の安定性の原因を明らかにする目的で,うに脂質がMLn自動酸化反応に及ぼす影響について検討した.
    (1) MLnにTLを添加することにより,本研究の実験条件下において, MLn自動酸化の誘導期が約10日となり,無添加系の1日と比べて延長した.
    (2) GL画分添加系とPL画分添加系では誘導期の延長は認められなかった. NL画分添加系の誘導期は4日であったが, Toc除去NL画分添加系では誘導期の延長はみられなかった.
    (3) NL+GL+PL添加系, NL+GL添加系, NL+PL添加系はTL添加系とほぼ同じ誘導期が認められた. GL+PL添加系では誘導期は延長しなかった.
    (4) NL画分をα-Tocに置き換えた場合も上記NL添加系, NL+GL添加系およびNL+PL添加系とほぼ同様の誘導期が得られた.
    (5) 酸化の初期にPL画分はMLnヒドロペルオキシドを速やかに二次酸化生成物へと分解するものと考えられた.
  • 加藤 丈雄, 田原 豊之, 杉本 勝之, 佐藤 泰
    1990 年 37 巻 9 号 p. 715-721
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    スターターとして乳酸菌を使用した発酵ソーセージを調製し,熟成中の蛋白分解について検討した.
    (1) 乳酸菌は37℃, 24時間培養で1.7×108 cells/g以上に増加した.その後徐々に減少し,熟成6ヵ月後には1.5×106 cells/gとなった.
    (2) SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動,ペプチド分析の結果,発酵ソーセージの熟成に伴って肉蛋白質が分解し,低分子蛋白質,ペプチドが生成することが確認された.また,分解は6ヵ月後においても継続しており,熟成期間の延長によりさらに進行すると思われた.
    (3) 熟成に伴って遊離アミノ酸が増加し,中でもSer,Glu, Gly, Ala, Val, Leu, Lysが顕著に増加した.これは豚肉の熟成中における変化とほぼ一致した.
    (4) 乳酸菌接種の効果が比較的小さいこと,及び乳酸菌プロテアーゼ活性が低いことから,発酵ソーセージ熟成中の肉蛋白質分解は主として肉由来のプロテァーゼの作用によると推定された.しかし,乳酸菌未接種のソーセージに比べて,乳酸菌接種ソーセージの遊離アミノ酸量が約2倍多いこと, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンに差が認られることから,乳酸菌が肉蛋白質の分解に促進的寄与をしていると推定された.
  • 佐伯 明比古
    1990 年 37 巻 9 号 p. 722-725
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    アルギン酸カルシウムゲルを担体とした固定化酵母と固定化酢酸菌を用いて,エタノール発酵と酢酸発酵を連続的に行うことにより,糖液から食酢を製造する条件について検討した,その結果,グルコース濃度8%,酸度1.1%の米飯糖化液から, 2つの発酵槽の全滞留時間11.4~15.3時間で, 4,7~5.3%の米酢が短時間に効率よく製造できることを明らかにした.現在のところ,ゲルの耐久性や発酵槽の容量と滞留時間と原料液の糖濃度の関係などに問題が残っているが,固定化酵母と固定化酢酸菌を用いてエタノール発酵と酢酸発酵を連続的に行わせた本研究は,食酢の新しい製造法を提起するものであり,かつ,ここで得られた成果も本法は非常に有効な方法であることを示した.
  • 伊藤 三郎, 愛場 美津子, 石畑 清武
    1990 年 37 巻 9 号 p. 726-729
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    3産地,指宿(鹿児島県),名瀬(奄美大島)及び名護(沖縄県)のアセロラ果実について,未熟果(淡緑),中熟果(淡赤),適熟果(赤)の3熟度別の果実のビタミンC含量をそれぞれ測定し,比較した.
    ビタミンC含量は未熟果ほど高く,熟度が進むにつれて減少した.ビタミンC含量の最高値は未熟果で3200mg/100gの高い値を示した.また,いずれも還元型ビタミンCの占める割合が90%前後と非常に高く,ビタミンCの給源として極めて優れていた.産地別では,名護>名瀬>指宿の順で,南にゆくほどビタミンC含量が高いことがわかった.
    一方,果汁の加熱及び貯蔵中の安定度については,加熱処理前の新鮮果汁のビタミンC含量が高い果汁のほうが,加熱処理に対し安定度がすぐれていた.また, 葉中のビタミンC含量はそれほど多く含まれていないことが認められた.
  • 瓜谷 郁三, バイロン グレイシア L, サモンテ ジョセフ L, アルバレ アンへリーナ M, アルマリオ メリーアン R, フローレス ...
    1990 年 37 巻 9 号 p. 730-736
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    バナナつぼみ中のポリフェノール成分は主要成分としてフラバナンタンニン(縮合型タンニン),副次成分としてカテキン,そのオリゴマー,ドパミン及びドパから成っていた.数品種のつぼみのうち,調理用バナナである‘サバ’品種のつぼみにおいて,フェノール全量やバニリン陽性フェノール量は最も少なかった.ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性の品種間差異は著しくはないが,つぼみ中の部位による差は顕著であり,又その活性は果実の場合よりもかなり大きかった.つぼみのPPO活性は, 0.13M食塩で約20%抑制された.なおフィリピンにおいて,‘サバ’品種つぼみを加熱・調理する際に,その薄片に約10%(1kg当り約1.71M)の食塩を加え,汁液をしぼりとるが,これは食塩によりPPO活性を抑制して加熱後の色を鮮やかな淡赤色にするためであり,他には食塩添加により膨圧を失わせ,渋味・苦味の原因となるポリフェノ―ルを除くためであることが分かった.他の品種の場合には,食塩添加,搾汁,加熱によっても渋味・苦味は十分に除去されなかった.
  • 林 清, Allan J. CLIFFE, Barry A. Law
    1990 年 37 巻 9 号 p. 737-739
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    B. linensのアミノペプチダーゼおよびプロテイナーゼは,表面熟成チーズの蛋白分解に関与しており,酵素添加による硬質チーズの熟成促進に適した酵素であると考えられる.両酵素活性とも,菌体内より菌体外の方が高かった.塩化ナトリウムは,プロテイナーゼの生産には影響を及ぼさなかったが,アミノペプチダーゼの生産には阻害的であった.プロテイナーゼは,対数増殖期に生産されたが,アミノペプチダーゼは,定常期に生産された.両酵素生産に適した培地組成,および粗酵素の性状を検討した.
  • 渋谷 直人
    1990 年 37 巻 9 号 p. 740-748
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 均
    1990 年 37 巻 9 号 p. 749-750
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 9 号 p. A33-A36
    発行日: 1990/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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