日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
33 巻, 5 号
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  • 小川 美江子, 中嶋 睦安, 名取 正彦, 室岡 治義
    1986 年33 巻5 号 p. 303-309
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    腐敗した食用コンニャク中にコンニャク分解菌の存在を認め,これを純粋分離し,本菌をB. circulansと同定した.本菌はコンニャク粉のみから成る培地にも生育したが,さらにリン酸水素ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸アンモニウムを添加した培地(F培地)に良好な生育を示した.本菌の生育におよぼすpHの影響を検討した結果,pH 5.5~10.5の範囲で生育が可能であり,pH 6.0~9.5では最も良好な生育が見られた.
    本菌をF培地で培養すると培養初期に,急激な培地の液化が見られ,菌の生育に伴い,還元糖が蓄積された.
    本菌の菌体外にコンニャク分解酵素の存在が認められ,その酵素の至適温度30℃,至適pH 6.4~7.2, 55℃で40分間の処理では安定であった.
    培養液中のコンニャク分解生成物は,薄層クロマトグラフィーにより,遊離糖としてグルコースとマンノースおよびその他分解中間生成物と患われるスポットが検出された.
  • 米糠中の脂質分解機構に関する研究(第1報)
    高野 克己, 鴨居 郁三, 小原 哲二郎
    1986 年33 巻5 号 p. 310-315
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    米糠中の脂質分解機構に関する基礎的知見を得るため,米糠の貯蔵試験を行い,各脂質成分の変化ならびに脂質分解酵素の存在について検討した.
    1. 米糠100g中にトリアシルグリセロール約11.5m mol,糖脂質(グルコースとして)約0.85m molおよびリン脂質(リンとして)約0.7m mol含有されていた.
    2. 米糠貯蔵中における各脂質成分の変化を詳細に知るため,米糠を31℃で貯蔵し,経時的にその変化を調べた.
    その結果,各脂質の分解速度はリン脂質>トリアシルグリセロール>糖脂質の順であり,トリアシルグリセロールの分解に先立ちリン脂質の分解が起こっていることが認められた.
    3. 米糠を貯蔵すると,まずリン脂質の分解が起こるので,米糠中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの経時的変化について検討した結果,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールは貯蔵初期に急速な減少を示したが,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの分解はやや緩慢であった.
    4. 米糠中の主要糖脂質であるトリグリコシルジグリセリド,ジグリコシルジグリセリド,モノグリコシルジグリセリド,アシルステリルグリコシドおよびステリルグリコシドの貯蔵中における経時的変化について調べたところ,各成分共にリン脂質成分に比べ,初期における分解速度は小さかった.
    5. 米糠の脂質分解酵素活性について検討したところ,米糠中に初めてホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDの存在を認めた.また,米糠100g中にはリパーゼ34 Unit,ホスホリピトアシルヒドロラーゼ8 Unit,ホスホリパーゼC 12 UnitおよびホスホリパーゼD 13Unitが存在し,その活性比は100:24:35:39であった.
    6. 米糠貯蔵中における各脂質分解酵素活性の変化について調べた結果,リパーゼ,ホスホリピドアシルヒドロラーゼ,ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDは貯蔵60日目でも約30~60%の活性が残存し,これら酵素は米糠中において比較的安定であった.
  • カレーに関する研究(第1報)
    小泉 幸道, 永島 俊夫, 山田 正敏, 柳田 藤治
    1986 年33 巻5 号 p. 316-322
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    市販調理済カレー25点の化学的成分分析に主成分分析を適用した.また,14点のカレーについて香味の官能試験を行ない,カレーの特徴を解析した.
    (1) 化学的成分分析においては,各成分の平均含量は,水分72.81%,タンパク質4.38%,脂肪8.84%,灰分1.90%,繊維1.64%,全糖9.63%,直糖0.75%,ショ糖1.88%,デンプン6.30%,過酸化物価2.77,チオバルビツール酸価0.61であった。各成分共,含量のバラツキが多かった.
    (2) 化学的成分分析の主成分分析では,第1主成分は炭水化物と水分の成分として,第2主成分は油脂の品質表示と甘味を表わす成分であった.
    (3) 香味の官能試験において,香りについては香辛料や肉の香りが強くない方が良く,色については明るい方が良く,褐色の強いものが悪かった.味については旨味があり,甘味と辛味のバランスがとれているものが良かった.評点法による香味の官能試験より,5つの特徴あるグループに大別された.
  • カレーに関する研究(第2報)
    小泉 幸道, 永島 俊夫, 山田 正敏, 柳田 藤治
    1986 年33 巻5 号 p. 323-328
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    市販調理済カレー23点の脂肪酸組成と,遊離脂肪酸の分析を行った.脂肪酸組成より,使用している原料油脂の推定を行うと共に,9成分を特性として,特性間の相関行列に主成分分析を適用し,カレーの脂肪酸についての特徴を解析した.
    1. 脂肪酸組成については,各脂肪酸の平均組成は,ラウリン酸1.4%,ミリスチン酸2.6%,パルミチン酸23.8%,パルミトオンイン酸2.7%,ステアリン酸10.3%,オレイン酸44.4%,リノール酸11.3%,リノレン酸1.4%,未定性酸2.3%であった.使用している原料油脂の推定は,脂肪酸組成より4つの特徴あるグループに大別された.
    2. 脂肪酸組成の主成分分析では,第1主成分はラウリン酸の成分として,第2主成分はリノレン酸の成分であることがわかった.
    3. 遊離脂肪酸については,各脂肪酸の平均含量は,ラウリン酸8.0mg/100g,ミリスチン酸7.6mg/100g,パルミチン酸25.0mg/100g,パルミトオレイン酸2.0mg/100g,ステアリン酸6.5mg/100g,オレイン酸40.2mg/100g,リノール酸20.2mg/100g,リノレン酸1.8mg/100g,未定性酸1.6mg/100gであった.
    4. 脂肪酸組成と遊離脂肪酸組成の割合を比較すると,脂肪酸組成の大きい脂肪酸が多く遊離する傾向がみられた.
  • 高崎 禎子, 久保田 紀久枝, 小林 彰夫, 赤塚 慎一郎
    1986 年33 巻5 号 p. 329-335
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    脱脂大豆とかつお節だしけ抽出残渣を加水分解し調製された新しいタンパク質加水分解調味料(混合調味料)の香気成分を減圧蒸留法およびヘッドスペース法により分離し,GCおよびGC-MSから香気構成成分の同定を行った。香気成分は,有機酸,ピラジン類,ラクトン類,フラン類,含硫化合物,ピロール,アルデヒド類などから成っており,それらの多くは,オキアミ加水分解調味料の成分と共通していたが,混合調味料からは,オキアミ調味料の特有香気に関与している2-フェニル-2-ブテナール,4-メチル-2-フェニル-2-ペンテナール,5-メチル-2-フェニル-2-ヘキセナール等のアルドール型縮合物は見出せなかった。混合調味料とオキアミ調味料の香気濃縮物およびヘッドスベースの香気成分を比較することにより,混合調味料の穏やかな香気について考察した。
  • 原 敏夫, 藤尾 雄策, 上田 誠之助
    1986 年33 巻5 号 p. 336-341
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    農産廃棄物の微生物による有効利用の観点から,温州みかん果皮を含む培地で培養した糸状菌が生産したベクチン質分解酵素によるりんご果汁の清澄化ならびにプロトベクチンに対する吸着と分解について検討した。ベクチン質分解酵素としてAspergillus niger 35-1株から得たendo-PGI, IIとexo-PGI, IIおよびAsp. oryzaeA-3株から得たPEIを用い,印刷用ポイント活字が識別できるか否かで75%りんご果汁清澄度の判定を行った。Endo-PGIIとexo-PGsには果汁清澄作用はなく,endo-PGIとPEIに果汁清澄作用があり,しかも両者の共存下でのみ果汁清澄化は起こった。Endo-PGsはプロトベクチンに対して高い吸着能を有していたが,endo-PGIIはendo-PGIに比べてプロトペクチン分解能が劣っていた。
  • 谷下 準一, 小幡 斉, 徳出 泰
    1986 年33 巻5 号 p. 342-344
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
    カタラーゼはケイ酸エチルを用いた酸性白土に固定した。生カタラーゼに対する固定化カタラーゼの相対活性はpH 7.0, 25℃で,5分間バッチ法による反応で23%であった。2.0g固定化カタラーゼのカラムで3.6mM過酸化水素を含むフスマ廃液(25℃)を処理した場合,3000mlフスマ廃液中の過酸化水素の85%を連続的に分解した。
  • 松本 清, 石田 耕一, 筬島 豊
    1986 年33 巻5 号 p. 345-348
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
    食品中の食塩含量測定のための電導度検出フローインジェクション分析法に対する温度補正およびチェック法について検討した。20℃を中心温度として5℃きざみで温度依存性を直線近似し,得られた直線の傾き(dC/dt)を算出した,dC/dtを基準温度(Ts:各温度範囲内で20℃により近い温度)における実測導電率(Cs)で除した商を温度係数とした。
    温度係数,α=dC/(Cs・dt)
    各温度範囲内での任意の温度(t)における導電率(Ct)は次の式で算出される。
    Ct=Cs{1+(t-Tsn}
    ここに,αnはtが属する特定の温度範囲の温度係数を意味する。
    この補正法の妥当性を種々の温度で検討したところ,0.2w/w% (NaClとして)のカタヨリ内で一致することがわかった。
  • 筒井 知己
    1986 年33 巻5 号 p. 349-357
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 相島 鐵郎, 中井 秀了
    1986 年33 巻5 号 p. 358-365
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
  • 奥村 統, 谷口 等
    1986 年33 巻5 号 p. 366-368
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 1986 年33 巻5 号 p. A39-A44
    発行日: 1986/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル オープンアクセス
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