余剰スラッジの利用性を高めるために可及的栄養素の破壊をさけて,アミノ酸濃縮物をえる方法として,温和な希酸添加熱処理とプロナーゼ(Str. griceusの産生した蛋白分解酵素)消化とを併用した分解方法を,可溶性全N,遊離アミノ酸,アンモニアおよびトリプトファンなどを指標として検討し,次のような結果を得た。
(1) 希塩酸添加熱処理後のスラッジ酵素分解物中の可溶性全N量が,全N量の約80%以上となる前処理条件は,(1) 塩酸添加量がスラッジ乾物g当り10mlの場合では,120℃, 60分加熱では0.5
N以上,30分加熱では1N以上であり,140℃では60分加熱で0.25N以上,30分加熱では0.5N以上の条件であった。そのさい,140℃, 60分加熱で,酸濃度が1
N以下では,トリプトファン溶存量は全量中の30%以上であった。(2) 塩酸添加量がスラッジ乾物g当り約60mlでは,120℃, 60分加熱で0.1
N以上,30分加熱で0.5
N以上,140℃, 60分加熱で0.01
N以上,30分加熱で0.05
N以上の条件であった。そのさい,140℃, 60分加熱で酸濃度が0.1
N以下では,トリプトファン溶存量は全量中の約65%以上であった。
(2) 塩酸の代わりに硫酸を用いても類似の結果がえられた。
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