以上を要約すれば次のとおりである。
(1) 小麦粉は第1報での薄力粉を混合粉に変えたために,他の因子の関係を第1報より明瞭に知ることができた。しかしやはり強力粉は味覚,軟らかさ,比容積においてよい結果を得た。
(2) 砂糖は味覚では多いほうがよいが,軟らかさ,比容積では少ないほうがよい。また混合粉では砂糖が多くても気孔数はあまり悪くない。
(3) イーストが多いとき,比容積,軟らかさ,気孔数はよくなるが,味覚が悪くなる。
(4) 油脂は多量であれば味覚はよくなるが,軟らかさ,比容積,気孔数では少ないほうがよい。しかし軟らかさは油脂の融点に関係があり,固形脂であれば質良であっても菓子パンをかたくする。
(5) 液は牛乳のほうがやや味をよくするが,軟らかさ,比容積,気孔数では水のほうがよい,しかし液の影響は他の因子に比べて少ない。
(6) 工程平均の推定の結果,味覚と比容積から考えて本実験の2つの水準から選べば,小麦粉は強力粉,イーストは8%,砂糖と油脂はおのおの30%,液は牛乳を用いるのがよいであろうと推定される。
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