日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 8 号
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  • 通風マイクロ波乾燥に関する研究(第2報)
    赤星 亮一, 又重 英一
    1990 年 37 巻 8 号 p. 581-588
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    薄切りにした馬鈴薯を種々の条件でマイクロ波通風乾燥を行ない,乾燥プロセス,乾燥試料の断面組織の変化,及び水分復元性を調べ,通常の通風乾燥及び減圧乾燥との比較を行なった.
    (1) 通風空気温度や雰囲気温度を30℃の低温にした場合には通常の通風乾燥では乾燥に9時間,減圧乾燥では24時間を要した.一方,90℃の場合には乾燥時間を通風乾燥の場合2時間,減圧乾燥では4時間に短縮できた.しかし,試料表面に澱粉の糊化や硬化が生じ水分復元性が著しく劣化した.
    (2) マイクロ波通風乾燥の場合,マイクロ波電力が過小であったり,通風空気温度が高すぎると,乾燥は試料表面から進み,その表面に硬化や糊化が生じ復水性が悪くなった.
    (3) マイクロ波電力を増大すると,試料内部温度が表面温度より高温となり乾燥時間をさらに短縮できる.しかし供給マイクロ波電力が強すぎると試料内部の澱粉が糊化,発泡し水分復元性が困難になった.
    (4) 30℃通風乾燥に,150Wの微弱なマイクロ波電力を供給し,品温を31℃から42℃に保持しながら乾燥すると,2.5時間で乾燥を終了した.乾燥速度は2.95kg/kg・hで,通常の30℃通風乾燥の場合の3.5倍である.馬鈴薯の中心部から表層部まで,澱粉粒の破壊が見られず,澱粉粒間に適度な間隙が保たれ,均一に乾燥が行なわれている.得られた乾燥馬鈴薯の水分復元性はこれまでの実験で最も優れていた.
    (5) 乾燥時間が短く,かつ水分復元性の良い製品を得るためには,表層部に澱粉糊化を生じさせないよう通風空気温度を低く抑え,また内層部の澱粉が糊化しない温度範囲で,内部温度を表層より高温に保持することが望ましい.これは供給マイクロ波電力を調整することにより可能である.このような状態で乾燥すると,内部水分を蒸気の状態で急速に表面に移動することができる.またこれが表面硬化を防ぎ,水分復元性を良くする要因と考えられる.
  • 宮尾 茂雄, 小川 敏男
    1990 年 37 巻 8 号 p. 589-593
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    カブの発酵漬物で,正常な発酵が進行せず,pHの低下が遅延する例に遭遇し,その原因について検討を加え,以下の結果を得た.
    (1) 原料野菜であるカブに付着している細菌叢を調べたところ28.7%の細菌が亜硝酸生成能を有しており,Pseudomonas属菌やEnterobacteriaceaeに属する細菌が主要な構成細菌であった.
    (2) 原料野菜や発酵漬物から分離した細菌を対象に,亜硝酸が細菌の増殖におよぼす影響について調べたところ, Pseudomonas属菌やEnterobacter属菌はpH5.0では亜硝酸により増殖がかなり抑制されたが,pH6.4ではあまり抑制されなかった.
    (3) 乳酸菌のなかではLeuconostoc属菌が亜硝酸により増殖が抑制される傾向が見られた.
    (4) 以上の結果から,漬物製造開始後にグラム陰性細菌,なかでもPseudomonas属菌やEnterobacter属菌などの亜硝酸生成菌が急激に増加した場合,過度の亜硝酸が生成されて乳酸菌の増殖が抑制され,pHの低下が遅延するものと考えられた.
  • 六車 三治男, 速水 紀文, 杉本 浩二, 中村 豊郎, 沼田 正寛, 吉原 忠志
    1990 年 37 巻 8 号 p. 594-601
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    血液プラズマ分画成分と筋肉構造タンパク質であるミオシンBとの相互作用の一端を明らかにすることによって,血液タンパク質の有効利用に貢献するために行った実験より次の事が明らかとなった.
    (1) 直線的温度上昇法は一定温度加熱法と比べて濁度が変化しはじめる温度がグラフより明確に読み取れるという利点がある.プラズマ, Fr-1, Fr-II+IIIおよびFr-Vの濁度はそれぞれ73, 53, 70および88℃付近で上昇しはじめ, 82, 63, 76および96℃付近で最大濁度に達した.このことからプラズマおよび各分画成分の濁度はある一定温度に達すると急激に増加することが明らかとなった.一方,ミオシンBの濁度は徐々に増加した.
    (2) ミオシンBとプラズマ, Fr-II+IIIおよびFr-Vをそれぞれ混合した場合の濁度は低温域ではそれぞれ単独標品の中間位の値となったが, 55℃付近以後高温度になると混合物の濁度は中間の値をとらなくなり,ミオシンBのそれに似たカーブを描くようになった.しかしいずれの混合物の場合も70℃以上の高温度で両者の相互作用により濁度が上昇する部分が認められた.ミオシンBとFr-Iの混合物は全体的にミオシンBに似た濁度変化を示すが55~60℃付近と70~80℃付近に両者の結合により生じたと考えられる濁度の増加が観察された.
    (3) SDS-PAGEの結果からもミオシンBとプラズマを混合するとミオシンB中のミオシンおよびアクチンとプラズマタンパク質が結合することが示された.特にFr-Iに相当するフィブリノーゲンがFr-II+IIIのグロブリン系やFr-Vのアルブミン画分よりも結合力が強いことが明らかになった.
  • 国産大豆の品質(第20報)
    平 春枝, 田中 弘美, 斎藤 昌義
    1990 年 37 巻 8 号 p. 602-611
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    (1) 北海道農業試験場(5品種),東北農業試験場(13品種),北陸農業試験場(9品種),新潟県農業試験場(7品種),愛媛県農業試験場(5品種)において, 1980年に各品種をそれぞれ普通畑と転換畑で栽培し,得られた種子の全糖,遊離型全糖,遊離糖類を測定した.
    (2) 転換畑大豆は普通畑に比べて全糖,遊離型全糖,ショ糖,ガラクトピニトールBの各含量(グループ1の糖類)が高く,ピニトール,グルコース,ガラクトピニトールA,ラフィノース,スタキオースの各含量(グループ2の糖類)に低い傾向が認められた.しかしながら,多くの早生品種,または十勝長葉,ネマシラズ,白毛9号,鼠〓,滝谷の系統を引く品種においては,グループ1, 2(ガラクトピニトールAを除く)の糖の変化に,逆の傾向が認められた.
    (3) 各種糖質含量への品種と栽培条件の影響を寄与率よりみると,愛媛を除き品種の影響が全糖,遊離型全糖シヨ糖,ラフィノース,スタキオース含量に大きく,栽培条件の影響がガラクトピニトールAにおいて大きかった.
  • 神山 かおる, 西成 勝好, 志水 寛
    1990 年 37 巻 8 号 p. 612-618
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    かまぼこの足の質を評価する客観的測定方法を確立するために,官能評価ならびに3種類の力学的試験を行い,足の力学的指標を探究した.
    (1) 引っ張り試験法で得られる破断応力と破断伸長比の積は足の強さと相関があった.破断応力/破断伸長比,ヤング率と硬さは対応しなかった.坐らせたかまぼこと小田原式かまぼこの変形曲線は凹型であった.変形曲線のパターンが直線に近いものは概して質が良かった.Mooney-Rivlinプロットを行うと,坐らせたかまぼこは直線性を示し,逆に関西式のかまぼこは屈曲した.
    (2) 圧縮試験法では破断応力/破断歪は硬さに対応したが,ヤング率は硬さとの対応がよくなかった.
    (3) 微小振動試験法で粘りのないかまぼこは損失弾性率が顕著に小さかったが,それ以外の点では,食感との対応があまりみられなかった.
    かまぼこの足の質を力学的指標だけで表現するのは本研究で試みた方法では完全にはできなかった.しかし,変形曲線の型がかまぼこの質を客観的に評価できる鍵になり得ると我々は考える.いずれにしても,かまぼこの品質を客観的に評価する方法の確立には,まだ多くの研究が必要である.
  • 澱粉ケーキに関する研究(第2報)
    藤井 淑子, 久山 純子, 団野 源一
    1990 年 37 巻 8 号 p. 619-624
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    等量の鶏卵(全卵)と砂糖からなるフォームに,等量の小麦粉を混和したバッターを,焼成してスポンジケーキを調製した.小麦澱粉ケーキは,小麦粉の等量を小麦澱粉で置き換えて調製した.同一条件で調製した小麦澱粉ケーキ(S-100)は,小麦粉ケーキ(W-100)より比容積が大きかった.この両者のスポンジ組織のレオロジー的特性の差異,殊に,弾性についてそれぞれの特性を明らかにすることを試みた.
    (1) 小麦澱粉ケーキ(S-100)のスポンジ組織に,試料の厚さが1/10になるまで圧縮を加えても,それを除荷重したときに回復性は低下せず,残留歪みは10%以下であった.最大変形率30%以内におけるクリープ曲線から得た弾性率,粘性率は小さく,コンプライアンスは大きかった.試料の厚さが1/2以下になるまで圧縮したとき,著しい応力増は認められなかった.小麦澱粉ケーキのスポンジ組織は,柔らかく,顕著な弾性を示すものであった.
    (2) 小麦粉ケーキ(W-100)はスポンジ組織を1/2の厚さになるまで圧縮したときには,小麦粉ケーキ(W-100)と小麦澱粉ケーキ(S-100)の回復性には大きな相違は見られなかった.しかし,スポンジ組織を1/2以上圧縮すると圧縮に対する応力は顕著に増大した.スポンジ組織の厚さの50%以上圧縮したのち,加えた荷重を除いたとき,その回復性は著しく低下した.スポンジ組織の最大変形率30%以内におけるクリープ曲線より得た弾性率,粘性率は大きく,コンプライアンスは小値であった.
  • 大豆リポキシゲナーゼに関する研究(第4報)
    門間 美千子, 杉本 敏男, 橋詰 和宗, 斎尾 恭子
    1990 年 37 巻 8 号 p. 625-627
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    大豆を磨砕する時に10種類のSH試薬,金属キレーター,カルシウム塩,アスコルビン酸等のリポキシゲナーゼ阻害剤及び活性抑制剤を添加し,ホモジネートのリポキシゲナーゼ活性に対する効果を調べた.ジチオスレイトールの添加によってL-1, L-2/3活性がそれぞれ68.8%, 19.2%に低下した. EDTA,塩化カルシウム,アスコルビン酸によってL-2/3活性はそれぞれ52.2%,51.3%, 36.3%に減少したが, L-1活性は変化しなかった.いずれの場合も可溶性タンパク質量にはほとんど影響を与えなかった.大豆食品のオフフレーバー成分の生成にはL-2が関与していることが明らかになっており,アスコルビン酸によって大豆不快臭の抑制の可能性が示された.
  • 渡邉 悟, 草間 正夫, 草間 薫, 茂呂 周
    1990 年 37 巻 8 号 p. 628-630
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    The presence of anti-T (Thomsen-Friedenreich antigen) antibody in bovine milk and fetal bovine serum was demonstrated by an enzyme immunoassay using asialoglycophorin as an antigen. A high level of anti-T antibody was detected in bovine milk but not in fetal bovine serum. The reactivity of anti-T antibody in bovine milk decreased by heat treatment, suggesting the effectiveness of pasteurization for inactivation of anti-T antibody.
  • 三宅 正起, 綾野 茂, 前田 久夫, 伊福 靖
    1990 年 37 巻 8 号 p. 631-636
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    温州ミカン搾汁粕(乾燥品)からのヘスペリジン抽出,回収条件について検討し,次の結果を得た
    .(1) ヘスペリジンの抽出効率は,抽出時間0.5時間(撹拌区),抽出温度20℃および40℃のとき最も高かった.
    (2) 抽出液からヘスペリジンを結晶化させるための最適pHは5.0付近であると推察された.また1抽出液を70~90℃の範囲で加熱することにより回収率は高くなった.
    (3) ヘスペリジンの回収に及ぼす試料への加水量を検討した結果,最適条件は試料100gに対し水を800ml加えたとき得られ,回収した粉末粗ヘスペリジンの純度は93.7%,回収率は27.3%であった.しかし,試料からのヘスペリジンの抽出効率は,加水量が多くなるほど高く,加水量4000m1区で最高82.2%を示した.この二次抽出液を5倍濃縮することにより,高い回収率(53.0%)が得られることが示された.
    (4) このように回収工程に二次抽出液の濃縮処理を併用した場合,回収率は大幅に上がることがわかった.また,ヘスペリジンの回収率は抽出液中のヘスペリジン濃度が500mg/100ml程度のとき最も高い値を示した.
  • 柯 文慶, 田中 宗彦, 長島 裕二, 田口 武, 天野 慶之
    1990 年 37 巻 8 号 p. 637-642
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    加圧処理したマイワシおよびスケトウダラ肉糊とミオシンの熱ゲル化反応を,アクトミオシンの圧変性との関連で調べた.加圧処理は肉糊およびミオシンの加熱ゲル強度を増大した.加圧効果は,肉糊およびミオシン共に,マイワシでは200および500気圧で1.3~1.6倍,スケトウダラでは3000気圧で約1.5倍の値を示した.アクトミオシンに対する加圧処理(200および500気圧, 15分間)は, Ca-ATPaseの熱変性(30℃)を抑制した.しかし, Mg-ATPaseの熱変性に対しては,明瞭な加圧効果は認められなかった.
  • 中山 照雄, 木全 智裕, 大井 淳史, 長崎 仁志, 山本 五郎, 内田 安三
    1990 年 37 巻 8 号 p. 643-650
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    魚肉の用途をひろげる試みとして,スケソウダラ肉を限定的に酵素分解したものとヤシ油から新しい魚肉加工品を製造した.官能検査で魚肉加工品は塑性が感知され,かまぼことは異なりプロセスチーズにかなり似ていた.プロセスチーズでは塑性とともに少し弾力性も感知された.クリープおよび回復測定において,魚肉加工品は瞬間部分,遅延部分の両方に塑性(回復しない挙動)を示し,プロセスチーズは瞬間部分にのみ塑性を示した.魚肉加工品の応力緩和測定では応力が急速に減少した.魚肉加工品のプランジャー侵入度試験では,カ-変形曲線の最初のピーク直後の,力の急激な減少は見られず,線の原点における勾配(瞬間弾性率)が大きいにもかかわらず,ジェリー強度と凹みは小さかった.魚肉加工品の挙動はこれらの点でかまぼことは異なり,プロセスチニズに似ていた.しかし,クリープ・応力緩和測定でも,プランジャー侵入度試験でも,構造破壊は魚肉加工品の方がプロセスチーズより著しかった.
  • 北川 博敏
    1990 年 37 巻 8 号 p. 651-657
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 増田 恒男
    1990 年 37 巻 8 号 p. 658-662
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 前田 万里
    1990 年 37 巻 8 号 p. 663-664
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 8 号 p. A29-A32
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
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