日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
13 巻, 1 号
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  • 液状酵素製造に関する2, 3の知見
    大橋 実, 小堤 惇一
    1966 年 13 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    酵母工業製品の一利用策として,いまだ国産化されていないショ糖転化酵素インベルターゼを製造し,これを食品工業に広く利用することを考えて研究に着手した。
    まず,輸入商品のインベルターゼ液について筒単な調査を行ない,これと同等の酵素液の製造工程について検討し,つぎの知見をえた。
    (1) インベルターゼ抽出原料としては,ある種のパン酵母が有望とみられるが,現在市販されているパン酵母,食飼料用野生酵母などはインベルターゼ含量がはなはだ低くインベルターゼ原料としての希望が持てない(第1図参照)。
    (2) 酵母細胞よりのインベルターゼ抽出は,圧搾酵母にトルオールを20ml/100g酵母の割合に混和,30℃で48時間自己消化後,水抽出すればよい(第2図参照)。
    (3) インベルターゼ抽出液とほぼ等量の冷エチルアルコールを添加すれば,インベルターゼをほぼ定量的に沈殿分離できる(第3図参照)。
    (4) 沈殿酵素は,pH 4.5の緩衝液に溶解しておけば長期間活性を保持できる(第4図参照)。
    (5) 上記各工程の検討にもとずき,酵素液の試作を行なった(第5図参照)。
    酵素液製造は技術的には比較的容易であるが,インベルターゼ低含有率の酵母を用いると沈殿剤の所要量が増し,非常にコスト高になる。インベルターゼ高含有率の酵母を用いれば,酵母1.5kgより酵素液1lを約500円の材料費で製造可能と認められる。
    (6) 酵母からインベルターゼを製造するさいに重要な点は,(1) インベルターゼ高含有率の酵母から出発すること,(2) 沈殿剤添加時の温度をできるだけ低く保ち失活をふせぐこと,(3) 沈殿剤(エチルアルコール)の回収,合理的使用に意を用いる,(4) 酵素液はpH 4.5付近の液に保存する,などである。
  • 凍結乾燥ニンジン,カボチヤの貯蔵中における色およびカロチンの変化について
    柴崎 一雄, 浅野 三夫, 伊藤 京子
    1966 年 13 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ニンジン,カボチャは,乾燥方法および凍結条件によって組織が非常に異なるので,凍結および熱風乾燥したものを30, 0および-20℃に5ヵ月にわたって貯蔵し,色およびカロチンの変化について検討した。
    (1) ニンジン,カボチャとも退色は貯蔵温度による影響が非常に大きく,高温ほど退色が大であり,低温では非常に安定であった。
    (2) 退色していく場合の色の変化は,色の3属性中,明度および彩度の変化が大きいが,色相の変化は少なかった。
    (3) 測色結果から,凍結条件による影響は,はっきり表われなかった。
    (4) 貯蔵中における試料のカロチン含量を定量した結果,ニンジン,カボチャとも貯蔵温度による影響はほとんど測色結果同様の傾向を示したが,凍結温度によって組織の違いが著しいニンジンでは,その影響が顕著に表われ,表面積の大きい急速凍結品のほうが,緩速凍結品に比べてカロチンの減少が著しかった
    (5) 萎縮して表面積の小さい熱風乾燥品は乾燥時の損失が大きいが,各貯蔵区において色およびカロチンの減少が少なく安定であった。
  • 牛乳カゼインに対する染着性
    中林 敏郎, 橋本 博司, 河井 昌三
    1966 年 13 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    牛乳蛋白のカゼインとその構成分であるα-およびβ-カゼインに対する食用色素の染着性を検討した結果。
    (1) ローズベンガルの吸着pH曲線は各カゼイン類の等電点で最低となりその両側で最高になるという特異な形状を示す。
    (2) カゼイン類に対してローズベンガルはpH3.5と3.8では平衡吸着を行なわないがpH 5.1では平衡吸着を行なう。
    (3) カゼインに対するアシッドレッドとタートラジンの吸着pH曲線はローズベンガルの場合と同じ型を示す。
    (4) 溶液法と寒天柱法とで測定したカゼイン類に対する色素の染着能はよく比例し,キサンテン系とトリフェニールメタン系色素がよく吸着された。
  • 凍結乾燥魚肉の復元性に及ぼす超低温予備凍結の影響
    上岡 康達, 岡 弘康, 末光 栄充
    1966 年 13 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    超低温予備凍結が,凍結乾燥魚肉の蛋白変性,復元性にどのように影響するかをみる目的で魚肉(イサギ,メバル,シログチ)を-196℃, -75℃, -20℃の3種の温度で凍結後(第1図参照),乾燥板温度35℃で乾燥し(第2図),その間における肉蛋白の変性を調べるとともに,復元性ならびに,肉組織の変化を調べて,つぎのような結果を得た。
    (1) ごく新鮮な魚肉の場合には超低温(-196℃)で凍結直後においては,塩溶性蛋白の溶出量,流動複屈折,および粘度曲線からみた肉蛋白の変性はほとんど起こっていなかった。
    -75℃, -20℃凍結肉では,溶出量,流動複屈折に変化がみられなかったにもかかわらず,粘度曲線に変化がみられた(第2表,第3図(A) (B))。
    (2) 乾燥後においては凍結温度が低くなるほど,蛋白の溶出量は低下,流動複屈折は観察しにくくなり,さらに粘度の濃度依存性は著しく弱くなって量的にも質的にも蛋白の変性が大きいように考えられた(第2表,第3図(A) (B))。
    (3) 凍結乾燥肉の吸水率は-196℃および-20℃区の間では差異はみられなかったが,-75℃区では前2区より若干低い傾向を示した。しかし吸水肉の保水性,官能検査の結果では-75℃区は他の区よりすぐれていた(第3表)。
    (4) 凍結乾燥後の肉組織は凍結温度によってそれぞれ特有の組織を示した(写真2)。また吸水後の組織は(3)の結果を裏付け-75℃区で比較的よく筋繊維内部が復元していることを示したが,他の2区ではそれ程の復元性がみられなかった(写真3, 4)。
    以上の諸結果から超低温(-196℃)で凍結乾燥しても復元性の向上は認められなかったが,これは超低温まで凍結温度を下げて乾燥したために生じた蛋白の変化に基因すると考えられた。したがって復元性の向上をはかるためには超低温で急速に凍結すると同時に超低温に至らないある中間温度で凍結をとどめることが必要とみなされた。
  • 笠原 文雄, 小林 貢
    1966 年 13 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    アルギン酸ゼリーを食品に応用する場合に各種甘味剤により味付けされ,あるいはかなりの高温度に加熱されたりする。これら甘味剤,高温加熱などがアルギン酸ゼリーにどのような影響を与えるかについて検討した結果,つぎのような知見を得た。
    (1) 各種甘味剤の10~20%の低濃度溶液に浸漬した場合ゼリーの保形性はよくないが,40~60%濃度では保形性および食感は良好である。膨潤度は,濃度に伴い小さくなる。上白糖,グラニュ糖およびブドウ糖では濃度80%,水あめ,シロップでは濃度100% (Brix 70°)の場合にはゼリーは堅くなり食感を低下させる。
    (2) 上白糖味付けゼリーの調製に当たっては,NaAlg液中に上白糖を添加した場合には食感および保形性を良好にする。濃度30%以上になるとCa-Alg率が60%以上になってもゼリーの食感を不良にしない。
    (3) アルギン酸ゼリーの耐熱性はきわめて良好で300℃でも安定であるが,ペクチンゼリーは220℃ですでに溶出崩壊することが認められた。
  • 梶本 五郎, 井上 昭, 湯本 甫, 加茂 公子
    1966 年 13 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    大豆油,ゴマ油,サフラワー油,ヤシ油,ラードでオコノミアラレ,フライ豆を調製し,間接添加法にて保存性を検討した。その結果
    (1) 各種のフライ油で調製したオコノミアラレ,フライ豆とも間接添加法で油脂の酸敗は防止され,保存性は高められた。
    (2) 紙,ナイロン,セロファンおよびナイロンとセロファンラミネートなどで,オコノミアラレ,フライ豆を包装し,保存性をみると,紙包装食品がもっとも酸敗しやすく,他の包装紙では大差がなかった。
  • 笠原 文雄, 小林 貢
    1966 年 13 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    実際にアルギン酸ゼリーを食品に応用する場合における甘味剤の濃度およびその添加方法が,ゼリーの加熱あるいは凍結により受ける変化に及ぼす影響について検討した結果つぎのような知見を得た。
    (1) アルギン酸ゼリーの加熱あるいは凍結後のゼリーの保形性および食感に関しては,その甘味剤による味付け方法が重要な要素となる。
    (2) Na-Alg溶液中に甘味剤を添加する方法は,加熱および凍結に対しゼリーの縮小をある程度防止できるが完全ではない。また保形性および食感を悪くした。
    (3) 2段浸漬方法によったゼリーは,加熱あるいは凍結によるゼリーの縮小は少なく,保形性および食感に関しても大きな悪影響は認められなかった。
    (4) アルギン酸ゼリーは熱不可逆性ゼリーであるため,甘味剤による味付方法さえ適しておればビスケット,パン,罐詰類のように高温に加熱される食品またアイスクリームのような凍結処理をする食品にも応用できることが認められた。
  • 東 秀雄
    1966 年 13 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 13 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 1966/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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