日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
31 巻, 3 号
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  • 矢沢 悦子, 島田 淳子, 桑島 みどり, 荒井 綜一
    1984 年 31 巻 3 号 p. 145-152
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1)パパイン逆反応を利用して親水性タンパク質であるゼラチンに,疎水性のL-ロイシンn-ブチルエステルを共有付加させて,泡沫特性に優れた酵素修飾ゼラチン(EMG-4)を調製した。
    (2)EMG-4溶液を,ミキサー使用による低速攪拌条件およびホモゲナイザー使用による高速攪拌条件で処理したところ,いずれの場合も,卵白溶液(対照)を同様に処理したときよりも,オーバーランは大きく,平均気泡体積は小さく,泡沫の離漿率は同等以下という結果を得た。
    (3)EMG-4泡沫の動的粘弾性値は,砂糖無添加の場合は卵白泡沫より大きい傾向にあり,砂糖添加では小さくなった。tonδ(損失正接)は,どの条件でもEMG-4泡沫は卵白泡沫より大きく,粘性的要素の強い泡沫となることがわかった。
    (4)EMG-4泡沫の調理加工への応用例として気泡混合ゼリーを試作し,卵白を用いて同様に調製したゼリーと比較したところ,オーバーラン,平均気泡体積は,上記単純泡沫系における比較結果と同様の傾向を示した。
    (5)EMG-4および卵白気泡混合ゼリーについて,テクスチュロメーターでクリアランスを変化させて硬さと凝集性を測定したところ,低クリアランス領域においてオーバーランが大きい程硬さは小さく,凝集性はゼリー間で差がなかった。
  • 鈴木 寛一, 池田 正昭, 大西 博司, 久保 田清
    1984 年 31 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    加熱体を材料層内に設置した振動流動層凍結真空乾燥を試み,乾燥特性,加熱体の熱効率,乾燥速度および材料層-加熱体間の総括伝熱係数を検討した。材料にはイオン交換樹脂球,水戻し後細断した高野豆腐およびおからを用いた。実験の結果,振動エネルギーの一部が乾燥エネルギーとして回収され得るという興味ある現象を明らかにした。本法での凍結真空乾燥は可能であり,以下のような結果を得た。
    (1)加熱体を材料層内に設置しても材料は流動化し,層内は均一温度,均一含水率で乾燥した。
    (2)材料層の含水率は時間に対して直線的に減少し,加熱体へ供給する熱量を変化させることなく材料温度は乾燥期間の大半で0℃以下の低温かつほぼ一定温度であった。
    (3)材料層の温度が壁面温度より高くならない場合には乾燥中の熱損失はほとんど無視でき,さらに振動発熱による乾燥への寄与のため見かけ上加熱体の熱効率は100%を越えた。しかし,乾燥水分量が少なくなり供給熱量が乾燥熱量と釣り合わなくなると材料温度は上昇した。
    (4)材料-加熱体間の総括伝熱係数は,高含水率材料の乾燥初期では含水率の低下とともに減少した。しかし,ある程度乾燥が進行すると以後ほぼ一定値を示した。低含水率材料では,乾燥の初期から高含水率材料の下限値と同程度の値であった。
    (5)本実験装置での乾燥室単位底面積当りの乾燥速度は6kg-H2O/mm2・h程度まで得られているが,排気系設備の能力を改善すればこの値はさらに高まるものと考える。
    (5)加熱体に供給した熱量と乾燥室壁面およぱ上蓋からの伝導伝熱量および放射伝熱量の和に対する材料乾燥に要した熱量の超過分を振動発熱量と考えたが,その値は振動流動の起るawaw2/g>1で算出され,awaw2/g=4程度までは振動強度の増加とともに増加した。
  • 佐竹 一郎, 杉浦 元彦, 窪田 拓男, 小林 猛, 佐々木 卓治, 牧野 志雄, 佳山 良正
    1984 年 31 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    White cloverから酸沈殿によって得た緑色の緑葉蛋白濃縮物(LPC)をエタノールで脱色,脱脂を行い,エタノール抽出LPCを調製した。エタノール抽出は蛋白の溶解度をいく分減少させるが脂肪,色素の除去に効果的な方法であった。エタノール抽出法により通常の酸沈殿法によって得られるWhite LPCとほぼ同一の色調,化学組成を持つLPCをWhite LPCの約4倍の収率で得た。またLPCの色調および形状は乾燥法に依存し,LPCの食品への利用を考えるうえで乾燥法が重要な要素であることが示唆された。
  • 清家 典子, 山野 善正
    1984 年 31 巻 3 号 p. 168-173
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆から調製したリン脂質,粉末レシチン(CSL),エタノール抽出レシチン(EL), phosphatidylcholine (PC), phosphatidylethanolamine (PE)及びphosphatidylinositol(PI)で調製したケロシン-水系o/w型エマルションのクリーミング安定性に対するpHの影響と,生成したエマルションの電導度変化を測定したところ,次のような結果が得られた。
    (1)単一リン脂質系のエマルションでは,総じて,中間のpH領域でクリーミング安定性が高くなったが,PC,PEエマルションではpH6~8付近で特に安定性が高かった。
    (2)2,3成分系エマルションの安定性は,各成分の効果が累積された形となった。PIを含む系ではPI成分が増えるほどその効果が強く現われ,広い領域pHで安定性はほとんど変わらなかった。
    (3)エマルションの電導度は総じて経時的に低下した。
    (4)CSL試料の電導度は,どの精製リン脂質試料のそれよりも高かった。
    (5)精製リン脂質試料の電導度の高さの順序(PI>PE>PC)は,クリーミングに対する安定性の順序と一致し,特に,極端に不安定なエマルションを作るPC系ではその値も小さく,電導度は時間とともに急速に低下した。
    (6) 2, 3成分系エマルションの電導度は非常に大きく,特に,PI成分の多い試料ほどその値は大きかった。
    これらのことから,リン脂質のイオン性により油-水界面に配列する粒子集団の構造及び荷電状態が規定され,それがエマルションの安定性に大きく関与すると結論される。
  • ガンマ線照射揚げかまぼこの成分変化(第4報)
    奥 忠武
    1984 年 31 巻 3 号 p. 174-179
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    マイワシを主原料とした揚げかまぼこのガンマ線照射およ貯蔵中に生ずる油脂の変質を調べるために,揚げかまぼこを含気包装し3kGyの照射を行なった。抽出油脂の脂肪酸組成,諸特性(IV,AV,POVおよびTBA値)および総菌数の測定をした。結果は以下の通りである。
    (1)照射による揚げかまぼこ中の油脂の脂肪酸(18種)組成および諸特性の変化は僅小であった。
    (2)30℃貯蔵区では,照射および非照射試料とも18種脂肪酸中,飽和および大半のモノエン酸は21日間変化しないか,あるいは僅かの変化であった。しかし,試料中に含量の少ない不飽和のC16:1,C17:1,C20:3,C20:4ω6およびC22:5酸は貯蔵中に消失した。不飽和のC22:6,C20:5,C18:3およびC18:2酸は大きな減少を示した。また,両試料のPOVとTBA値の増加速度は速く,油脂の劣化の進行が顕著であり,総菌数の増加も短期間で急激で,外観の異常や異臭の発生も認められ食用に不向と考えられた。
    (3)10℃貯蔵では,非照射試料中の油脂の劣化は21日間を通じ大きくないが,総菌数は7日以降急増し,10日以降に外観の異常や異臭の発生が認められ,食用に不適と推定された。照射試料では,56日目においても油脂の劣化は僅かであり,総菌数の増加も少なく,外観の異常や異臭の発生も全く認められなかった。すなわち,マイワシを主原料とした場合もスケトウダラ主原料の場合とほぼ同様に,照射と低温貯蔵の併用効果の大きいことが明らかであった。
  • 小宮山 美弘, 原川 守, 辻 政雄
    1984 年 31 巻 3 号 p. 180-186
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ソルダムスモモの成熟及び貯蔵中のAlaとGluの増加現象を酵素化学的に明らかにするため,これらの生合成酵素であるGPT, ADH, ADC, GOT及びGDH活性を調べた。
    (1)成熟期におけるAlaとGluの増加を誘導する酵素はそれぞれGPTとGOTと考えられ,熟期の進行に伴ってその活性は増加し,特にGOT活性は顕著であった。またGPTとGOT活性の増加と平行的に果実内のAlaとGluは増加した。
    (2)20℃に貯蔵中の果実のGPTとGOT活性はそれぞれ7日及び3日以後急激に増加し,特にGOT活性の増加はGPT活性の増加に先行し,かつより顕著であった。この時の果実のAlaとGluも各酵素活性に平行して増加した。30℃に貯蔵した果実の酵素活性とAla及びGlu含量はいずれも20℃貯蔵より少なく,抑制傾向が認められた。
    (3) GPTとGOTの基質であるGlu,Pyr,α-Kg及びAspの果実内の変化は,樹上成熟の過程ではいずれも増加した。しかし貯蔵中では,Pyrとα-Kgはいったん減少し,その後20℃では増加したが,30℃ではPyrは減少し,α-Kgは増加した。Gluは貯蔵中例外なく増加した。一方Aspは20℃では一定の傾向は認められなかったが30℃では増加した。
    (4)以上の結果からAlaとGIuの増加はそれぞれGPTとGOTの活性の増加によるものと考えられ,GOT活性の増大が先行し,これによって生成されるGluの蓄積によりGPT活性の増大が誘導されるものと思われた。
  • 佐藤 匡, 宮尾 茂雄
    1984 年 31 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1)ガス発生のみられたソースから酵母を分離,同定した結果,Saccharomycesbailiiと推定した。
    (2)25℃における浸透圧を計算する数式の算出を試みた。食塩:P25°=(759-8.4c)c/100-0.35catm,ショ糖:P25°=71.4c/100-0.62catm,ブドウ糖:P25°=135.6c/100-0.62catm,酒精:P25°=530c/100-c(但しcは濃度%で食塩,ショ糖,ブドウ糖はw/v,酒精はv/v)
    (3)前記酵母を用い,濃度をかえたソースでガス発生について試験を行い,ガス発生防止の限界について検討し,y=-55.2x+167.4なる傾向線を得た。(y:浸透圧,x:酸濃度)
    (4) アルコールを添加した場合,その浸透圧を加算することで防止限界の式が適用可能と考えられた。
  • 宮尾 茂雄, 佐藤 匡, 谷津 富高
    1984 年 31 巻 3 号 p. 192-199
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    生うどんおよび生中華めんを対象に,炭酸ガス,窒素ガス置換ならびにエタノール添加による生めんの保存性と微生物相に与える影響について検討し,次のことが明らかとなった。
    (1)炭酸ガス,窒素ガス置換により,グラム陰性菌および真菌の増殖が抑制される傾向がみられた。
    (2)エタノールは,グラム陰性菌の増殖を抑制し,2%添加では,大腸菌群の増殖はほとんど認められなかった。
    (3)生中華めんはpHが高いことから,通常包装においても,グラム陰性菌の増殖はほとんど見られず,Micrococcus,Streptococcusが優勢であった。
    (4)ガス置換およびエタノールを添加した生めんでは保存経過にしたがい,Streptococcusが優勢菌となる傾向が強く,それは生中華あんにおいて顕著であった。
    (5)炭酸ガスは生めんに吸収され易く,品質に与える影響も大きいので窒素ガス置換の方が生めんを保存する上では効果的と思われた。
  • 鈴木 忠直, 岩元 睦夫, 趙 来光, 魚住 純, 今井 徹
    1984 年 31 巻 3 号 p. 200-202
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ソバ粉中の水分,たん白質及び灰分測定に対する近赤外法の適用性について検討した。54種類のソバ粉の常法によるそれぞれの成分分析値と複数波長における近赤外吸光度との重回帰分析の結果,重相関係数ならびに化学分析値と回帰値間の標準偏差は,水分(6波長)で0.997;0.172%,たん白質(6波長)で0.906; 0.301%,灰分(8波長)で0.952; 0.125%と比較的良好な結果を得た。
  • V ガルシア バーヒリオ, M フローレス ドゥルセ, 瓜谷 郁三
    1984 年 31 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    熱帯地域においてキャッサバ・フラワーを製造する適切な方法を確立し,又キャッサバ・フラワーやチップの食品としての品質を評価する方法を確立することを目的として,キャッサバ・フラワー製造法と乾燥中の二,三の生化学的変化の関係を調査した。キャッサバ・フラワー中のクマリン類やペルオキシダーゼ活性はその製造法に対応して量的に異なり,熱処理をしない場合は一般に時間をかけて調製した場合に増加することを知り,これらの分析は上記目的のための指標になるものと考えた。乾燥中にフェノール類が生成されるが,一方で速かに酸化を受けるらしく,本成分の含量はキャッサバ・フラワー製造法と関連していなかった。
  • 数野 千恵子, 三浦 洋
    1984 年 31 巻 3 号 p. 208-215
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 高橋 穣二, 緒田 原蓉二, 清水 範夫
    1984 年 31 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 芝崎 勲
    1984 年 31 巻 3 号 p. 222-223
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 31 巻 3 号 p. A15-A24
    発行日: 1984/03/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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