(1) 落花生脱脂粉末について硫安による濃度勾配抽出を行なった結果,3個の紫外部吸収を示す画分が得られたが,硫安飽和度1付近で抽出される画分Iは透析性の非蛋白態成分からなり,結局,飽和度0.5付近および0.3付近でそれぞれ抽出される画分IIおよびIIIに分けられた。
(2) この2個の画分を単離し,それぞれオートクレーブで1kg/cmcm
2で60ないし180分間加熱した場合,ヒスチジンはほとんど減少しなかったが,リジンおよびアルギニンの減少がみられ,とくにリジンの減少が甚しかった。
画分IIより画分IIIの場合が,リジンの減少が大きかったが,その他は両画分の間に明らかな差は認められなかった。
(3) 画分IIおよびIIIに各種の糖を添加し1kg/cmcm
2で120分間加熱した場合のリジンおよびアルギニンの減少を見ると,キシロース添加の場合が両アミノ酸の減少がもっとも著しく,以下グルコース,フラクトース,蔗糖の順であった。澱粉は影響を及ぼさなかった。画分IIIの場合キシロースおよびグルコース添加によりリジンの減少が比較的大きかったが,その他の場合は画分IIおよびIIIの間に糖添加の影響の差は認められなかった。
本報告の概要は本学会第14回大会(1967年4月)において発表した。
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