(1) 液体窒素により,ホウレンソウの凍結を行ない,パーオキシダーゼを中心とし,ポリフェノールオキシダーゼおよびアスコルビン酸オキシダーゼの活性変化を調べた。
(2) 凍結方法はホウレンソウの全葉または細切り葉および,それらの磨砕物をポリエチレン袋に詰め,液体窒素中に浸漬し,最大60分間凍結を行なった。解凍方法は4℃および20℃付近にて,空気中および攪拌水中にて行なった。
(3) パーオキシダーゼ活性は全葉凍結においては解凍温度が高いほど活性増加がみられ,磨砕物凍結においては解凍により活性の増減あるも変化は比較的少ない。しかし,超低温凍結によっても活性低下はみられない。
(4) ポリフェノールオキシダーゼおよびアスコルビン酸オキシダーゼの変化については,活性がきわめて低いため明らかでない。
(5) 以上の結果,生凍結の場合,凍結温度の高低にかかわらず,酵素活性の低下はほとんどみられない。したがって,超低温凍結による酵素の不活性化は望みえないため,液体窒素は超急速凍結による組織の破壊防止の手段として利用し,酵素の不活性化手段は他の加熱によらない方法を考究すべきであろう。
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