日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
41 巻, 10 号
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  • 余 仲賢, 早川 功, 藤尾 雄策
    1994 年41 巻10 号 p. 657-661
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    静電誘導泳動を水/油(W/O),グリセリン/油(G/O),澱粉スラリー/油(S/0)及びアルカリ溶液/油(Sp/O)のエマルジョン解乳に応用する為の基礎研究を行ない,次のような結果を得た.
    (1) 静電誘導泳動によるW/O及びGO/Oエマルジョンの解乳は石油のそれに類似し,静電誘導泳動はエマルジョンの解乳に有効であった.
    (2) 静電誘導泳動法による水及びグリセリンの限界分離率は0.1%であった.
    (3) 試作静電誘導泳動装置は澱粉及びアルカリ性エマルジョンの分離に問題を残し,改良を必要とした.
  • 森高 初恵, 西成 勝好, 中浜 信子, 福場 博保
    1994 年41 巻10 号 p. 662-669
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    Differential scanning calorimetry, dynamic viscoelastic and breaking stress measurement were carried out for gellan gum gels containing NH4I, NH4Cl, NH4Br or NH4F. Breaking stress andstorage shear modulus G' of gellan gum gels containing NH4I, NH4Cl and NH4Br increased in proportion to an ammonium salt (0-50mM) concentration. But in the case of gels containing fluoride ions, these increases were only observed for samples with low salt concentration and after the sharp drop of these values, then these increased again. The exothermic peak temperatures accompanying sol-to-gel transitions shifted to higher temperatures with increasing salt concentration. This has been attributed to the shielding of the electrostatic repulsion of carboxyl groups in gellan gum molecules by ammonium ions. In both thermal and rheological properties, gels containing fluoride ions showed different behaviors from those containing iodide, bromide or chloride ions.
  • 大豆タンパク質の冷蔵ゲル化現象に関する研究(第1報)
    添田 孝彦
    1994 年41 巻10 号 p. 670-675
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    分離大豆タンパク質の冷蔵ゲル化に及ぼす種々の要因について調べ,以下の知見を得た.
    (1) 分離大豆タンパク質の冷蔵ゲル化発現には,大豆タンパク質調製時において100℃以上の加熱が必要であった.
    (2) 冷蔵ゲル物性は5℃, 3日間処理で一定となり,90℃加熱ゲルのゲル強度の約80%,変形率は150%に達し,非常に弾力のあるしなやかな性質を有した.
    (3) 大豆タンパク質の7S成分が冷蔵ゲル化に関与し, 11S成分の関与は小さかった.
    (4) 冷蔵ゲル化はタンパク質濃度に依存し,ゲル化の最低濃度は約12%であった.
    (5) pH 7まではpHの上昇に伴って直線的にゲル強度は増加し, pH 7以上ではゆるやかな増加を示した.
    (6) 5℃付近での冷蔵ゲルは加熱ゲルとは区別されるゲル強度ピークを示し,かつ変形率のピークは冷蔵ゲルに特異的であった.
    一般の加熱ゲル化メカニズムは加熱によりタンパク質分子がほぐれ,分子間でS-S結合を主体として相互作用を起こし,その後の冷却によりさらに水素結合や疎水結合などを生じゲル化する.冷蔵ゲル化は加熱ゲル化における加熱後の冷却過程でのゲル化と考えられるが,冷蔵ゲル化を発現するためにはタンパク質分子が水素結合や疎水結合を起こし易いようにunfolding化されることが必要であると考えられた.現在,冷蔵ゲルのS-S結合,水素結合,疎水結合の寄与については検討中である.
  • 大豆タンパク質の冷蔵ゲル化現象に関する研究(第2報)
    添田 孝彦
    1994 年41 巻10 号 p. 676-681
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    大豆タンパク質の分子形態に及ぼす加熱の影響を調べ,以下の結果を得た.
    (1) 超遠心解析パターンより, 80℃以下の加熱では7S及び11S成分は維持されたが, 100℃加熱では両成分は減少, 140℃加熱で殆ど消失し高分子化した.
    (2) DSCパターンより,加熱温度上昇に伴って7S及び11S成分の吸熱ピークが減少, 100℃以上の加熱で消失し,超遠心解析結果と一致しなかった.
    (3) 尿素並びにメルカプトエタノールによるタンパク質可溶化は100℃加熱で最大であった.
    (4) 蛍光強度の変化より,タンパク質分子の疎水性は加熱温度上昇に伴って増加, 100℃加熱で最大となった.
    (5) SH含量は加熱温度上昇に伴って減少した.
    (6) アミログラムより, 100℃以上の加熱では膨潤による粘性ピークが認められた.特に, 100℃加熱で高い膨潤性を示した.一方,未加熱及び80℃加熱では粘性ピークは認められなかった.
    (7) 固有粘度は100℃加熱までは増大し, 140℃加熱で若干低下した.
    以上より,大豆タンパク質分子は100℃加熱において分子が最も解膠化し,かつ分子間での相互作用が起こり易い状態にあることが示唆された.一方,前報1)において冷蔵ゲル化が100℃以上の加熱分離大豆タンパク質で発現し,特に, 100℃加熱で最大であることを報告した.これらの知見から,冷蔵ゲル化発現のためにはタンパク質分子が解膠し,分子間相互作用が起こり易い状態にあることが必要であると考えられた.
  • 小林 彰夫, 板垣 里絵子, 時友 裕紀子, 久保田 紀久枝
    1994 年41 巻10 号 p. 682-686
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    タマネギを0.2kGy, 5.0kGyで照射後,保存して一定期間後の香気組成について非照射試料と比較検討した.
    香気組成の分析はTCT法により, Head SpaceVaporを直接ガスクロマトグラフィーに注入し分析した.各化合物はGCによるKI値, GC-MSによるスペクトル解析により行ない, 23種を同定および推定した.
    主要成分の変化は, 0.2kGy照射, 3週間保存においても認められず, 5.0kGyでは催涙成分thiopropanal Soxideと2-methyl-2-pentanalの減少とdi-およびtri-sulfide類の増加が見られた.
    3カ月間の保存においても非照射と0.2kGy照射のGCパターンと類似率は極めて高く,ほとんど0.9以上の値となったが, 5kGy照射では他試料との比較,保存期間において,前者に比べ低い値を示した.
  • 松田 敏生, 矢野 俊博, 丸山 晶弘, 熊谷 英彦
    1994 年41 巻10 号 p. 687-701
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    各種の有機酸の最小発育阻止濃度を,細菌15株,酵母6株,カビ2株に対して, pHを4.0より0.5刻みで, 7.0まで変化させた培地上で測定した.
    (1) ギ酸,酢酸,プロピオン酸は良く似た作用を示し,pHが低下すると,抗菌作用も増大した.しかし,乳酸菌に対しては,ギ酸の作用が強く,逆に酵母とカビに対してはギ酸は他の二者と比べて劣った.
    (2) ソルビン酸の作用は脂肪酸系の有機酸では,酵母に対して細菌に対するよりも強い作用を示す点で特徴的であった.
    (3) 乳酸は,非常に特徴的な作用を示し,乳酸菌に対しては,すでての菌株を3.0%もくしはそれ以下の濃度で発育を阻止した.しかもその作用は, pHの変化の影響を少ししか受けなかった.しかし,カビと酵母に対しては,乳酸は効果がなかった.
    (4) リンゴ酸,酒石酸,グルコン酸は強い発育阻止作用を示さなかったが,クエン酸のみが特に乳酸菌の一部に対して阻止作用を示した.
    (5)アジピン酸は, pHが低いと非常に強い作用を示したが, pH 6.0以上では,ほとんど発育阻止作用が認められず,作用に対するpHの影響が最も強かった.また酵母とカビにはほとんど阻止作用が認められなかった.これより有機酸の抗菌作用は,それぞれの酸に固有の作用があり,作用の発現に当って解離定数の値や,疎水性などに影響されるものと考えられた.
  • 渡邊 智子, 高居 百合子, 田中 浄, 鈴木 彰
    1994 年41 巻10 号 p. 702-704
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    ナメコ栽培におけるO3暴露(対照区およびO3試験区: 0.03ppm区, 0.1ppm区)の有効性を脂肪酸組成を介して検討した.
    O3暴露により増加したものは,傘,柄および全子実体のパルミチン酸とO/L比,傘および全子実体のオレイン酸であった. O3暴露により減少したものは,傘,柄および全子実体ともにリノール酸およびP/S比であった.傘は柄に比べO3暴露の影響を受けやすいことが分かった.
  • 渡邊 智子, 土橋 昇, 高居 百合子, 田中 浄, 鈴木 彰
    1994 年41 巻10 号 p. 705-708
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒラタケ生育工程におけるO3暴露(対照区および03試験区: 0.03ppm区, 0.1ppm区, 0.3ppm区)の影響を重量および化学成分面から検討した.
    O3暴露により全03試験区で全子実体の重量が増加した. O3暴露により全O3試験区で対照区に対し増加した成分は,傘では水分,タンパク質, Na, K, Zn, V.B2およびV.C,柄では水分, Ca, KおよびV.C,全子実体では水分,タンパク質, Ca, K, Zn, V.B2およびV.Cであった. O3暴露により全O3試験区で対照区に対しusした成分は,傘では炭水化物,FeおよびV.Bl,柄ではV.B1,全子実体ではFeおよびV.B1であった.
  • 福家 洋子, 大石 芳江, 岩下 恵子, 小野 晴寛, 篠原 和毅
    1994 年41 巻10 号 p. 709-711
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    沢わさびの水抽出画分は,胃がん細胞MKN-28の細胞増殖を著しく抑制することを見いだした.活性成分は,限外ろ過による分子量分別の結果,分子量5000以下の成分であり,わさび中に存在する酵素および辛味前駆物質(シニグリン)辛味成分ではないことが確認された.また活性は90℃, 10minの加熱条件によってもほとんど影響を受けず安定な成分であることが確認された.
  • 食品糖類成分表の作成と糖類摂取量の調査
    吉川 賢太郎, 村田 由美子, 曽根 寛友, 寺下 隆夫, 獅山 慈孝
    1994 年41 巻10 号 p. 712-718
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    市販即席デザート75検体について,各袋装に記してある製法どおり水または牛乳を加え,食する状態にし,HPLC法により糖類(単糖類とその二糖類)の含有量を測定した.それにより市販即席デザート一食当たりの糖類成分表を作成した.
    市販即席デザートは製造会社が異なれば糖類含有量が大きく異なること,またデザートの種類により糖類含有量が変わることなどから糖類成分表には,商品名を記載する必要があった.糖類別含有量を比較すると,いずれのデザートにおいてもショ糖の含有量が最も多く,一食当たりの摂取でショ糖が10gを越えるのは75検体中29検体あった.果糖は殆ど検出されなかったす,果肉またはペクチンが添加されている液状の製品には検出された.乳糖はほとんど添加した牛乳由来であった.
    大阪在住の男子大学生の一日に摂取する市販デザートを含めた間食の糖類摂取推定量は,果糖5.9±4.Og(平均値±標準偏差),ブドウ糖6.1±3.7g,ショ糖26.7±10.0g,麦芽糖0.6±0.5g,乳糖7.1±5.Ogであった.女子大学生の間食の糖類摂取推定量は,果糖3.3±3.5g,ブドウ糖439±7.3g,ショ糖14.1±7.7g,麦芽糖0.9±0.7g,乳糖3.7±3.3gであった.
  • 吉川 修司, 浅野 行蔵, 太田 智樹, 佐々木 茂文, 富永 一哉
    1994 年41 巻10 号 p. 719-723
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    サケ(特に秋サケ)すり身は,香りや色調,味などが優れているにもかかわらず,すり身が低温でゲル化しにくいためにねり製品への利用が制約されていた.本研究では,サケすり身を素材とした発酵ゲル化食品を製造する方法を開発した.
    秋サケすり身の発酵には, 4菌属の乳酸菌(L. plantarum JCM ll49, Leu. mesenteroides JCM 6124,Lac. lactis subsp. cremoris IFO 3427, P. acidilactici JCM 5885)を用いた.いずれの菌株によって発酵させた場合でも,ゲル化しにくい秋サケすり身から,十分な硬さと弾力性を持つ発酵ゲル化食品を製造することができた.さらに,サケの優れた色調や風味を損なうことなく,発酵による風味が付与された.
  • 庄 邨, 水野 卓, 伊藤 均, 志村 圭志郎, 隅谷 利光, 川出 光生
    1994 年41 巻10 号 p. 724-732
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    液体培養マイタケ菌糸体から抗腫瘍活性多糖類を分画,精製する系統的な方法を確立した.得られた23種多糖画分について抗腫瘍試験(マウスSarcoma 180固型癌実験)においては水溶性多糖FI0-a-α, FI0-a-β, FA-1, FA-2-b-αは良好な抗腫瘍効果を示し,水不溶性多糖FIII-1-a, FIII-1-b, FIII-2-a, FIII-2-b, FIII-2-cには顕著な抗腫瘍効果が見られた.マウスマクロファージによるC 3補体の政出実験(BRM効果)においてはFI0-a, FIII-1-a, FIII-1-b, FIII-1-c, FIII-2-a, FIII-2-b,FIII-2-cには顕著なC 3補体の放出の上昇が認められた.これらはいずれもヘテログリカン或いはヘテログリカン蛋白複合体であり,動物実験結果によって活性多糖体はBRMの一種として担癌マウスの防御系の賦活を通して,腫瘍の増殖を抑制あるいは縮小させることが考えられる.
  • 庄 邨, 水野 卓, 伊藤 均, 志村 圭志郎
    1994 年41 巻10 号 p. 733-740
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
    マイタケ菌糸体多糖9点から化学修飾多糖23点(ポリアルデヒド多糖5点,ポリアルコール多糖10点,ホルミル化多糖4点,ホルモリーシス多糖4点)を調製した.原多糖(FA-3, FA-2-b-β, FII-3)には抗腫瘍活性が認められなかったが,それらのポリアルデヒド多糖,ポリアルコール多糖,ホルミル化多糖或いはホルモリーシス多糖には活性の発現と増大が認められた.比較的低い抗腫瘍活性を示した原多糖(FI0-a-β)から調製したポリアルデヒド多糖,ポリオール多糖に活性の増大が認められた.比較的高い抗腫瘍活性を示した原多糖(FIII-1-b,FIII-2-b)から調製したポリアルデヒド多糖,ポリオール多糖にも活性の増大が認められた.比較的高い抗腫瘍活性を示した原多糖(FIII-1-insoluble)から調製したホルミル化多糖,ホルモリーシス多糖の抗腫瘍活性の増大は少ないが,C3補体放出活性の増大が認められた.
  • 永田 雅靖
    1994 年41 巻10 号 p. 741-746
    発行日: 1994/10/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル オープンアクセス
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