日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
34 巻, 6 号
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  • 山辺 重雄, 近藤 泰男
    1987 年 34 巻 6 号 p. 347-355
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販麦味噌を用い-10℃,4℃,20℃および37℃で3ヵ月保存した間の一般成分,抗酸化力,糖および脂質の変化について調べた.
    (1) 一般成分は保存温度が高いほど,変化が著しかった.特に,37℃区における直接還元糖,ホルモール窒素の減少およびpHの低下は顕著であった.
    (2) リノール酸に対する抗酸化力は,着色度の高い20℃,37℃区のほうが強かった.
    (3) 全糖画分および遊離糖画分の構成糖はグルコースが最も多く,その他フラクトース,ガラクトース,アラビノースおよびキシロースが少量検出された.保存中のこれらの糖は,4℃以下の場合,全期間を通じて大きな変化はなかったが,37℃区では,期間が長くなるに従ってグルコースの減少,フラクトースの増加が認められた.
    (4) 主要脂質成分はトリアシルグリセロール,脂肪酸エチルエステルであった.保存中の脂質成分の消長は,高温で,長期間保存ほどトリアシルグリセロールは減少し,脂肪酸エチルエステルは増加した.遊離脂肪酸は,保存温度が高いほど減少し,逆に各区とも期間が長くなるに従って増加した.
    (5) 全脂質画分,トリアシルグリセロール画分,遊離脂肪酸画分および脂肪酸エチルエステル画分の脂肪酸ではリノール酸が最も多く,次いでオレイン酸,パルミチン酸の順であった.遊離脂肪酸画分でのパルミチン酸は,他の脂質画分に比べて多く,逆にリノール酸は少なかった.脂肪酸エチルエステル画分では,トリアシルグリセロール画分に比べて,パルミチン酸およびリノール酸が多かった.保存中の脂肪酸組成の変化は全般的に少なかったが,パルミチン酸は保存温度が高いほど,遊離脂肪酸画分では少なく,逆に脂肪酸エチルエステル画分では多かった.
  • すんきに関する研究(第10報)
    板橋 雅子
    1987 年 34 巻 6 号 p. 356-361
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    すんき中に見出されている乳酸菌の単菌数種を用いてすんき漬を行ない,すんき漬種を用いた場合と比較して,以下の結果を得た.
    (1) 漬物中の粗たんばく質の量は,単菌使用のものがすべて漬種使用のものより多い.
    (2) 漬物中の遊離アミノ酸中,旨味アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸の和の値はB.coagulans使用のものが,最大で,このものは官能試験でも最高に評価された.
    (3) 漬汁中の乳酸含量の測定結果により,菌種により乳酸菌発酵能が大きく異なることが知られた.すなわち,L. buchneriは非常に大でS. faecalisは非常に小さい.
  • 中西 載慶, 横塚 弘毅
    1987 年 34 巻 6 号 p. 362-369
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 天然物起源のゲル化剤としてアルギン酸ナトリウム,κ-カラゲニン,寒天およびペクチン酸を用いて包括法により固定化酵母を調製し,ワイン醸造への応用について調べた.試験した中では,アルコール生成能が優れていること,ゲルの調製が容易であることおよび発酵経過中ゲルからの菌の漏出が少ないことからアルギン酸Caゲル固定化酵母が最適であった.
    (2) 甲州ブドウからのワイン醸造において,固定化酵母を用いた場合の発酵経過について調べ,通常の発酵(対照)の場合と比較した.固定化酵母を用いた場合,適当な発酵温度とゲル添加量の条件下においては,アルコール生成および糖消費の経過は対照の場合と類似していた.しかし,発酵温度が低い場合やゲル添加量が多い場合には,アルコール生成量は低い値となった.
    (3) 甲州種ブドウより固定化酵母を用いて製造されたワインと通常の方法により製造されたワインについて,その成分比較を行った結果,ワインの主成分に関しては顕著な差は認められなかったが,総フェノール量,総窒素量,灰分量およびアミノ酸組成においては異なっていた.
  • 杉山 直和, 斎藤 謹一, 佐藤 寿
    1987 年 34 巻 6 号 p. 370-375
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    熱分解キャピラリーカラムGC-MSを糊料の識別に応用するに当たり,熱分解生成物の共通成分の一つである5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールを基準ピークと考え,任意に選定した12本の相対面積を用いパイログラムの再現性を検討した.その結果,RSDの範囲は1.91~17.47%(平均値7.06%)となりほぼ満足しうる値であった.
    構造内に水酸基のみを有する,グアーガム,タマリンドガム,ローカストビーンガムおよびプルラン(A群)と水酸基およびカルボキシル基とその塩を有する,クインスシードガム,カラヤガム,ガッティーガムおよびアルギン酸ナトリウム(B群)の熱分解キャピラリーカラムGC-MSを測定したところ,A群からは5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールが多く生成し特性ピークとなり,B群ではカラヤガムの場合,酢酸が主熱分解生成物となり,又,アルギン酸ナトリウムの場合,フルフラールが主熱分解生成物となりA群とは異っていた.しかしいずれも熱分解の共通生成物であり他に特性ピークは認められなかった.即ち,5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールのピークに注目することにより,A群とB群の識別が可能であった.又,類似パイログラムを示す糊料にあっては,主たる熱分解生成物である酢酸,メチルグリオキサール,アセトール,フルフラール,2-ヒドロキシ-3-オキソブタナール,3-メチルシクロペンテノンおよび5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールの分子イォンを用いたMCを測定し,共通成分であるフルフラールに規格化することにより識別が可能となった.しかしグアーガムとタマリンドガムについては,パイログラムの特定ピークの存在の有無を調べることにより識別が可能となり,パイログラムとMCの両方の結果より判断するのが望ましいことが分った.
  • 小宮山 美弘, 辻 政雄
    1987 年 34 巻 6 号 p. 376-379
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    '甲州百目'ガキを用いて,硫黄くん蒸後干しガキを製造し,その工程中のインベルターゼ活性と糖組成との関係を調べた.
    (1) 乾燥工程中の重量,水分及びSO2は初期に大きく減少したが,SO2は特にその割合が大きく,乾燥初期(6~12日)に当初の30~17%の濃度まで減少した.
    (2) 果実内の可溶性タンパク質含量は硫黄くん蒸により著しく減少し,乾燥工程では一旦減少した後増加した.果実のインベルターゼ活性も減少したが,製品干しガキ中にその活性は残存していた.
    (3) 果実内のショ糖は硫黄くん蒸後直ちに加水分解され,24日後には全く認められなかった.製品にはブドウ糖と果糖のみが認められ,その比率は51:49であった.白粉では同様に79:21の比率であった.
  • 加糖餡の品質改善に関する研究
    安部 章蔵
    1987 年 34 巻 6 号 p. 380-385
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    煮熟時に小豆の体積増加を抑制しないで調製した生餡を対照区とし,体積増加を2.22倍以下に抑えて90分煮熟して調製した生餡を改良区とした.これらの生餡を使って練り餡を製造し,それらの品質特性を比較した.
    その結果,改良区の生餡の収率は0.6~3.5g小豆乾物100g当たりの生餡乾物収量増し,この練り餡の遊離でんぷん含量は対照区の2.5倍以上となり,いわゆる“粘る練り餡”に相当するものとなった.そこで,遊離でんぷん含量を減らす目的で餡練り条件を検討した.
    (1) かくはん羽根回転数を減じた場合:餡練り機として用いたアミログラフのかくはん羽根の回転数を対照区の約1/2(32rpm,周速0.151m/sec)に減じた練り餡は収量が5%以上増えたが,品質特性は徒来法のものと変らず,この点で優れたものであった.実用化の際にもこのようにすると練り餡の品質向上が可能だと考える.
    (2) 餡練り時間を短縮した場合:餡練り時間の短縮により遊離でんぷん含量を減じることは出来たが,冷却後離水するので,好ましい方法とは考えられない.
  • 温州ミカンのペクチンの性状と機能
    猶原 順, 真部 正敏
    1987 年 34 巻 6 号 p. 386-391
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果実の生長過程におけるペクチンの挙動を定量,定性面から調べた.
    (1) AIS量は果実の生長に伴いフラベド,アルベド部では減少し,じょうのう部では増加した.
    (2) 果実生長のどの時期においても可溶性ペクチンの中でHSPが最も高かった.AIS当りのHSP量はフラベド,アルベド,さじょう部では果実が大きくなるにTable 4 Changes in molecular weight of pectins prepared from component parts of fruits during development of Satsuma mandarin (1984)従って増大したが,じょうのう部では8月中旬から12月上旬にかけて少し増大したに過ぎなかった.
    (3) 果実の各構成部位から調製したペクチンの無水ガラクツロン酸量は,果実の生長に伴いアルベド部で減少し,さじょう部で増加した.ペクチンのイオン交換クロマト分画による酸性多糖分子から7種類の中性糖が検出された.その中でアラビノースが最も高く,ガラクトース,グルコースの順であり,これらの糖は全中性糖の80%以上を占めた.中性糖の組成比は果実の生長時期によってあまり変わることはなかった.
    (4) ペクチンのエステル化度,平均分子量は果実の構成部位により異なったが,果実の生長との関連性は認められなかった.
  • 平田 明弘, 増田 哲也, 木村 貞司, 大武 由之
    1987 年 34 巻 6 号 p. 392-401
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    産卵鶏の腹腔脂肪組織および皮の脂質のトリアシルグリセロール(TG)組成ならびに構造に及ぼす大豆油,ココヤシ油,ラードおよび牛脂給与の影響を検討した.産卵鶏の脂肪組織および皮のTGの脂肪酸組成は,それぞれの鶏に与えた油脂の脂肪酸パターンを反映していた.大豆油,ラード区および牛脂区の脂質はC50, C52およびC54を主要TG成分とし,ココヤシ油区の脂質はC50~C54に加えて,C36~C48の中鎖TGを多く有していた.脂質のTG種の組成は,さらに硝酸銀付加薄層クロマトグラフィーによって測定した.大豆油区の脂質は他の飼料区の脂質に比べて,U3およびSU2が多く,ココヤシ油区の脂質は他飼料区に比べて,S3およびS2UのTGを多く有していた.一般に,鶏の脂肪組織ならびに皮の脂質のTGでは,C16:0およびC18:0はTGの1-位置に優先的にエステル化し,C18:2は2-位置に多く存在し,ココヤシ油区の組織脂質に含まれている短鎖脂肪酸は,大部分TGの3-位置に分布していた.大豆油区,ラード区および牛脂区の脂質に最も多いTG成分はsn-UUUでついでsn-SUUおよびsn-UUSで,ココヤシ油区は,その脂肪組織と皮のいずれの脂質にあっても,主要なTG成分はsn-SSS, sn-SUSならびにsn-USSであった.トリアシルグリセロール組成および構造に及ぼす飼料油脂の影響は,産卵鶏の皮よりも脂肪組織に一層顕著にあらわれることが認められた.(C50はアシル炭素原子数50のTG, Sは飽和酸,Uは不飽和酸,sn-は立体特異的番号をあらわす.)
  • 下田 満哉, 松井 利郎, 筬島 豊
    1987 年 34 巻 6 号 p. 402-406
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    香気成分のポリエチレンフィルムにおける拡散,透過,溶解度係数の測定法を新たに設定した.中密度ポリエチレン中におけるn-オクタン,エチルカプロエート,n-オクタナール,n-オクタノールの拡散の活性化エネルギーは,それぞれ14.6, 10.5, 15.0, 19.2kcal/moleであった.これらのペネトラントの分子容積はほぼ同じであったが,ペネトラントがPE中で拡散,すなわちジャンプするのに必要な微穴の容積はかなり違うことが示唆された.一方,これらの成分の気相からの収着におけるエンタルピー変化は,それぞれ-9.1, -8.2, -2,7,-10.7kcal/moleであり,すべて発熱過程であった.エンタルピーの減少は,ペネトラントの沸点が高いほど,そしてPEに対する親和性が高いほど著しかった.
  • 齋尾 恭子
    1987 年 34 巻 6 号 p. 407-416
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 戸田 準
    1987 年 34 巻 6 号 p. 417-421
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 河端 俊治, 清水 賢
    1987 年 34 巻 6 号 p. 422-424
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 34 巻 6 号 p. A34-A39
    発行日: 1987/06/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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