日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
27 巻, 8 号
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  • 逆井 直利, 林 和也, 延原 昭男, 山本 常治
    1980 年 27 巻 8 号 p. 371-376
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) キクラゲ,ネショウガなどの種物をすり身に添加して調製したカマボコは,その弾力が著るしく低下した。加熱処理した種物を添加した場合は,この現象は観察されなかった。
    (2) これらの種物にはプロテアーゼ活性が見られ,70~80℃, 10分間の加熱処理により失活した。
    (3) 種物のプロテアーゼ加価と同じレベルの麹菌精製アルカリプロテアーゼを,すり身に添加して調製したカマボコは,著るしい弾力の低下が観察されたしかし種物添加による弾力の低下の方が大であった。
    (4) プロテアーゼを添加して調製したカマボコは,細胞内の空隙が顕著に大きく容易に,分断され得る状態になっていることが観察された。
    (5) 種物中のプロテアーゼ活性と,同レベルの活性を有する精製プロテアーゼを添加して,著るしく弾力の低下したカマボコにおいてゲル濾過パターンによる,蛋白質の明らかな低分子化が観察されたが, TCA可溶性窒素の上昇は認められなかった。
    (6) 以上の事実から,キクラゲ,などの種物の添加により,カマボコの弾力が著るしく低下した主な原因は,種物に含まれる微量のプロテアーゼの作用により,すり身蛋白質の低分子化が起ったためと推定した。
  • 中山 重徳, 白川 武志, 大西 利男
    1980 年 27 巻 8 号 p. 377-380
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食酢製造中に発生する厚膜性酢酸菌(Acetobacter xylinum)が生産する粘性多糖類の特性および利用面を検討し,次のことを明らかにした。
    (1) 本多糖類は食塩濃度0~20w/v%で粘度低下をきたさず,また,各種酵素を含む唐辛子抽出液中および80℃, 1時間の加熱, pH5.0~11.0においてもほとんど粘度低下はなかった。
    これに比較して, CMC-Naやタマリンド種子ガムのような市販粘稠料は唐辛子抽出液中, 2日間で粘度低下がみられた。
    (2) しょう油および食酢に本多糖類を添加し, 30℃で1か月間保存した場合,粘度の低下はみられなかった。
    (3) 本多糖類をさしみしょう油に0.1~0.2w/v%,すし酢に0.05~0.15w/v%添加した場合が,官能検査の結果からよい評価を得た。
  • 久保 田清, 藤本 真紀子, 鈴木 寛一, 保坂 秀明
    1980 年 27 巻 8 号 p. 381-387
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    前報において,米,豆,いもなどのクッキング速度式の設定に関する研究を行なってきた。本報では,スパゲティとひやむぎのクッキング速度式の設定に関する研究を行った。低含水率の食品においては,クッキングの進行程度が,水の吸水現象関と係づけられるということから,クッキング速度を,重量測定法により測定した。
    クッキング速度式を,簡単な経験的速度式と,殼状吸水モデルに基づく半理論的速度式とで表わした。スパゲティとひやむぎの簡単な経験的速度式は,次のように表わされた。
    x-(w-w0)/(we-w0)
    dx/dθ=kn(1-x)n; n=2
    スパゲティ:
    kn=2=5.11×103exp(-8.72×103/RgT)
    ひやむぎ:kn=2=2.48×105exp(-1.05×104/RgT)
    ここで, x:クッキング率〔-〕, w, w0, we:クッキング中途,初期,平衡状態における重さ〔g〕, θ:クッキング時間〔min〕, T:クッキング温度〔°K〕, Rg:気体定数〔cal/g-mol・°K〕である。
  • 佃 信夫
    1980 年 27 巻 8 号 p. 388-392
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マイワシ脂質の酸化安定性ならびに各種抗酸化剤の効果を試験した。その結果,組織別では皮の脂質が最も酸化されやすく,腹腔内脂質および血合肉脂質がこれに次ぐが,普通肉脂質は著しく安定であった。
    (1) 脂質群別ではリン脂質が最も不安定であり,次いで遊離脂肪酸および中性脂質の順であった。
    (2) 各種抗酸化剤中, BHA, 0.02%およびトコフェロール, 0.08~0.12%の添加が皮あるいは腹腔内脂質の酸化防止に対して最も効果的であった。
    (3) -20℃で凍結貯蔵したマイワシでは, 0.1%亜硫酸水素ナトリウム, 1%エリソルビン酸ナトリウム,市販のトコフェロール製剤あるいはBHA-BHTの混合液等で浸漬またはグレーズ処理を行うことにより,脂質の酸化を効果的に阻止できた。
  • 鈴木 寛一, 藤上 朝生, 久保田 清, 保坂 秀明
    1980 年 27 巻 8 号 p. 393-396
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    振動流動層を用いておからの乾燥を行なった。本実験で得られた結果を要約すると以下のとおりである。
    (1) おからのように嵩が大きく,形状が不定でしかも付着性のある材料でも,設定した空気流速に対して適当な振動条件を与えれば,材料が移動,混合し,条件によっては層全体をほぼ均一含水率で乾燥することができた。
    (2) 材料の移動性は材料の性状,空気流速および振動強度などに依存するが,空気流速または振動強度が大きくなるにつれて移動性または層含水率の均一性は増大した。
    (3) おからを篩でふるい,試料の径を小さく揃えたものは,篩を通さないそのままのおからより低い振動強度で均一乾燥ができた。
    (4) おからはその形態,性状から,無加振の場合には,乾燥用空気は層内の空隙の粗な部分から選択的に吹き抜けを起こし,含水率のばらつきが大きくなり乾燥効率が低下した。従って,乾燥時間は層の入口空気条件から計算される値よりも長くかかった。
    (5) しかし,これに振動を加えた場合には,材料の移動,混合によって含水率の均一性が増し,吹き抜けが防止され,乾燥時間は理論値にほぼ等しかった。
    (6) よって,おからの乾燥に対しては,層含水率の均一性と乾燥効率の良さの両面で振動流動層乾燥の有用性を認めた。
  • 宮原 昭二郎, 西村 喜久雄
    1980 年 27 巻 8 号 p. 397-400
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ミカン缶詰に異臭のあるものが発見されたのでその原因をGCおよびMSによって追究した結果,異臭物質はミカンのじょうのう膜の脱皮に用いられた塩酸の中に不純物として微量に含まれていた1-クロルブタンとクロルベンゼンであって,これら不純物がミカン缶詰の中に移行したものであることがわかった。
    また,ミカン果肉中には醋酸プロピルが存在することがわかった。
  • 上田 成子, 浅草 すみ, 桑原 祥浩
    1980 年 27 巻 8 号 p. 400-402
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    乾燥製品78,ビン詰製品44及びカン詰製品10検体,計132検体のベビーフードについて生菌数の測定と共に, Bacillus属の分布について検討した。
    (1) 生菌数については,ビン詰及びカン詰製品の殆んど全てのものが102/g以下であった。乾燥製品については, 102/g以下のものは, 65.5%あったが,全体的に前2者よりも菌数が多く,とくに乳製品を素材とする製品の汚染度が高かった。
    (2) どの製品からもB. subtilisB. licheniformisが高頻度に検出されたが,乾燥食品からは,これらのほかに, B. cereus, B. pumilus, B. megaterium, B.circulans, B. coagulansなどが検出された。
  • 中山 重徳
    1980 年 27 巻 8 号 p. 403-406
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食酢製造法の合理化の一方策として,中小企業に適すると考えられる食酢の通気製造装置を設計,製作した。
    (1) 小企業では200L容の装置で十分であり,その際の平均酢酸生成速度は0.149/100ml/hrであった。
    (2) 中企業では1,000L容の装置が適当である。また,この時の平均酢酸生成速度は0.14g/100ml/hr,酢化率は96.6%とよい結果であった。
    (3) 酢化率,食酢膠のアルコールの有効利用,装置の占有面積などを考えると通気製造が食酢製造において有利であった。
  • 金子 勝芳, 今井 徹, 片山 脩
    1980 年 27 巻 8 号 p. 407-410
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁の揮発性成分の分析法にTenax GCを用いたheadspace volatiles捕集濃縮法を応用するための条件について検討した。試料ビン中果汁のheadspace volatilesを窒素気流によりTenax GC充てんの試料捕集管に通じ,捕集濃縮させた後GCで分析した。
    この方法は比較的簡易で短時間に揮発性成分の捕集濃縮が出来,また分離検出される成分数が従来法よりはるかに多く,分離も良好であり,試料量も少なくてすむなどの利点が認められた。しかし, Tenax GCは大気中の臭気成分等試料以外の揮発性成分も捕集しやすいこと,また吸着特性を持っており,吸着しない成分もあることを考慮する必要がある。
  • 邨田 卓夫
    1980 年 27 巻 8 号 p. 411-418
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 27 巻 8 号 p. A34-A37
    発行日: 1980/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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