工場規模および実験室的規模においてスープ別添ラーメンを製造し,ラードおよび製品の酸化安定性を検討した。
(1) 37℃における製品の保存試験では,P.O.V.は変動しながら増加傾向を示したが,Co-Vはほとんど変化せず,6ヵ月後も変敗臭は認められなかった。
(2) 工場規模におけるラードの製造日数の経過においては,P.O.V., Co-Vの変動による熱酸化は小さく,A.V.の増加による加水分解的変質および着色性がみられた。製造時間の経過による誘導期の変動は小さく,実験室的規模におけるフライ試験に比べ,BHTの損失は少ないようてある。
(3) 実験室的規模においては,フライ時間の経過とともに,P.O.V., Co.V, A.V.の増加がみられ,新油添加によりラードの酸化安定性の回復が認められた。フライ製品の保存試験(60℃)では数日の誘導期の差異が認められたにすぎなかった。
(4) ラードおよび製品の酸化安定性は添加抗酸化剤(BHT)の残存性に大きく影響される。BHT含量(mg/50g)とラードの誘導期日数(x)およびフライ経過時間(分,t)との間にはlog(y-c)=a+bxおよびlogy=loga+blogtなる関係式が認められた。
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