日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
18 巻, 4 号
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  • (第2報)全卵液の凍結貯蔵条件および解凍条件と解凍後の粘度および起泡性との関係
    森 高明
    1971 年 18 巻 4 号 p. 135-141
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    凍結貯蔵後解凍した全卵液のpHは,凍結温度が低いほど大きくなったが,pHと粘度あるいは起泡性との関係は明らかでなかった。
    全卵液を-20°で貯蔵したのち解凍すると,貯蔵前に比べて粘度が大きくなったり,起泡性の低下が認められた。しかし,-5~-8°あるいは-10°で貯蔵すると解凍後の粘度や起泡性の変化は非常に少なかった。
    凍結貯蔵による全卵液の粘度や起泡性の変化は凍結温度より貯蔵温度の影響が大きいが,これらの変化は解凍温度によっても異なり,30°の恒温水槽中で解凍した方が,10°の冷蔵庫で解凍したものより粘度が小さく,泡立ちがよかった。
    凍結貯蔵後解凍した全卵液で作ったカステラは,凍結前の全卵液で作ったものより品質が劣った。しかし,製菓用乳化起泡剤を使用してカステラを製造する場合には,泡立時間やカステラの品質は,新鮮殼付卵のものと差が認められなかった。
    以上のことから,全卵液の凍結貯蔵は,実用的には-20°~-30°で汚染細菌の増殖温度以下まで冷却したのち,-10°付近で貯蔵するのがよいと考えられる。
  • (第2報)エタノールの香り立ち(その1)エタノールの香り立ちにおよぼす各種液体の影響
    伊奈 和夫
    1971 年 18 巻 4 号 p. 142-146
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) エタノールの香り立ちをhead gas法で試験し,各種溶媒のエタノール保香性を調べた。
    (2) エタノールに対する溶媒の保香性の強さは水,有機酸類,そしてアルコール類,エステル類,カルボニル類はほぼ同じで最後に炭化水素類の順番であった。
    (3) 溶質に対して溶媒が顕著な保香性を示すためには,溶質対溶媒のモル比が1:10以上が有効であった。
    (4) 同一族の溶媒ではモル当たりの保香性は同じような傾向を示し,族が異なることで保香性に差を生ずることは溶媒,溶質間の相互作用の差によるものと判断した。
  • (第1報) TLCによるカロチノイドグループの系統的な分離法
    梅田 圭司, 川嶋 浩二
    1971 年 18 巻 4 号 p. 147-154
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    TLCによって温州ミカンのカロチノイドの系統的な分離法を検討した。
    1) Alumina-Kiesel (1:1)を吸着層とし,石油エーテル-アセトン-メタノール(110:5:2)を展開剤とするTLCで,温州ミカンのカロチノイドをhydrocarbon, monol, monol monoepoxide, diol, diol monoepoxide, diol diepoxide, polyolなどのグループに分離することができた。
    2) サンプル量はプレート1枚(20×20cm)に対し0.1mg程度が適量で,通常の定量の操作での回収率は約95%であった。またサンプルをプレートにスポットしてから,各フラクションの吸光度測定まで要する操作時間は45~50分である。
    (3) 特定カロチノイドグループの大量分取を短時間で行なうため,シリカゲルカラム(φ2×5cm)を用い,2時間45分で5フラクションを分離溶出した。フラクションIはhydrocarbon, IIはmonol+monol monoepoxide, IIIはdiol, IVはdiol monoepoxide+diol diepoxide, Vはpolyolであった。このカラムのサンプル容量は0.25~0.5mgでI~Vフラクションを合わせたカロチノイドの回収率は95.5%であった。
  • (第2報)温州ミカンの成熟過程におる果皮のカロチノイドパターン
    梅田 圭司, 川嶋 浩二
    1971 年 18 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    10月から12月中旬まで,成熟過程を6期に分けて各種温州ミカンを調べた。
    (1) 全カロチノイドは11月初旬から急激に増加しはじめるが,普通温州の杉山,晩生の佐藤などよりも早生温州の宮川,中間早生の米沢の方が増加率が高い。
    (2) 一般の温州ミカンの果皮をTLCにかけるとH,M, MM, D, DM1, DD1, DM2, DD2, Pの9グループに分かれるが,果皮の着色が真紅となる紅土橋ではMMが消え,その代わりMとDの間に未知のカロチノイドU1, U2, U3が現われる。U1, U2, U3は同一カロチノイドの異性体と推定される。
    (3) 成熟過程のカロチノイドパターンをみると,オレンジ色の着色が進むに従ってパターンは変化し,M,MM, DM (DM1+2), DD (DD1+2)が増加し,H, D,Pは減少する。またカロチノイドグループの量的なパターンをみると,全期間にわたりH, D, Pの含量はほとんど変化なく,オレンヂ色の着色はM, DPの急激な増加に負うところが大きい。
    (4) 紅土橋のU (U1+U2+U3)は成熟にともない急激に増加し,最終採取期にはカロチノイドグループ中では最も多くなり26%を越える。このUグループの存在が真紅色の原因で,Uを除くと他の温州のカロチノイドパターンとよく一致する。また紅土橋の成熟過程でのパターンの変化で他の温州と異なるのは,Uの存在の他にDが成熟とともに減少することである。
    (5) 各種の完熟した温州ミカンのカロチノイドパターンをみると,オレンヂ色の濃いものほどMとDD2の量が多くなり,またDD1/DD2は小さくなる。
  • 梅田 圭司, 白石 正英
    1971 年 18 巻 4 号 p. 161-166
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    平核無と四ツ溝の2品種のカキを用いて,電子線を照射したのちのカロチノイドの変化を調べた。
    (1) ほぼ完熟に近い平核無に電子線を0.1, 0.5Mrad照射して5℃貯蔵しておくと,15日目の全カロチノイド量は未照射の8.71mg%に対して0.1Mradは9.31mg%, 0.5Mradは8.17mg%であった。0.1Mradの照射でカキのカロチノイド生合成が賦活されたとみられるが,とくにcryptoxanthinの増加が著しい。また完熱した平核無のカロチノイドグループの構成は,h drocarbon: 23.7%, monol: 41.5%, diol: 6.3%, diol monoepoxide: 12.7%, diol diepoxide: 14.9% polyol: 2.7%であった。
    (2) 四ツ溝の青い未熟なものから完熟までのカロチノイドパターンはかなり変動し,完熟期には,hydrocarbon: 15.6%, monol: 19.3%, diol: 20.9%, diol monoepoxide: 15.4%, diol diepoxide: 24.4%, polyol: 5.4%であった。
    (3) ほぼ完熟した四ツ溝に0.1, 0.3Mradの電子線を照射して室温に放置しておくと,0.1Mradは8日目に全カロチノイドが最高値に達し未照射の約1.3倍になる。
    (4) 0.1Mrad照射した四ツ溝の全カロチノイドが最高値に達した8日目のカロチノイドパターンは完熟期のパターンによく似ており,電子線照射によるカロチノイドの増加が,正常なカロチノイド生合成経路の賦活によって行なわれたことを示唆している。これに対し0.3Mrad照射は,全期間を通してカロチノイドパターンの変動が激しく,全カロチノイドが最高値に達した5日目のパターンも完熟期の四ツ溝のパターンとはまったく異なり,照射によるカロチノイド生合成経路の攪乱に伴う一時的な増加と考えられる。
  • 鈴木 たね子
    1971 年 18 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    魚肉からどの程度水を取ると筋原繊維たん白に影響を与えるかを検討した。シリカゲルに魚肉切片を埋没して種々脱水率の試料をつくり復水性,0.6M KClによるたん白溶解性,溶解たん白の流動複屈折を測定した。いずれの脱水率(本実験では残存水分量12%まで)のものも完全に鮮肉の水分に復元し,また復水に要する時間は脱水率に比例した。一定の残存水分を境にして,それよりも脱水が進むとたん白の溶解性の減少が急に激しくなった。この境界の水分は,NMRスペクトルで求めた脱水肉中の水の活性度が急に変化する点とよく一致した。この境界の水分は原料,脱水方法によって異るであろうが,冷凍セイゴでは27~28%,コイ,セイゴの活魚では20%近辺にあった。
  • (第6報)缶詰あさり並びに煮熟したあわびの内臓の緑色色素について
    長田 博光
    1971 年 18 巻 4 号 p. 172-177
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    缶詰あさり並びに煮熟したあわび分臓の緑変が何に由来するかを知るために,両者の緑色色素を缶詰かき並びにアオサの緑色色素の抽出法に従って分離精製した結果,両者ともに缶詰かきと同様に5つの緑色色素に分別できた。これらの緑色色素の物理化学的性質は缶詰かきの緑色色素のそれとよく類似していることが認められた。
  • 竹林 やゑ子
    1971 年 18 巻 4 号 p. 178-182
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 牛乳と脱粉液では加熱時粘度増加勾配はコーンスターチでは牛乳の方が脱粉液より大きいが小麦粉ではあまり大きな差はないことを知った。
    (2) 配合液の濃度では加熱時粘度増加勾配,最高粘度,冷却時粘度増加勾配,最終粘度は,水が最も小さく,牛乳,脱粉液の配合濃度が増加するにしたがい大きくなることを知った。
    (3) 以上の結果からカスタードクリームを作る場合コーンスターチは小表粉より少量用いればよいこと,配合液では栄養と風味の点を除けば小麦粉と粘度変化の少ない水で作るのがよいことを知った。
  • 1971 年 18 巻 4 号 p. 183-185
    発行日: 1971/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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